中国人一億人電脳調査 共産党より日本が好き?

城山英巳 / 文春新書
(2件のレビュー)

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  • polyhedron

    polyhedron

     中国のネットユーザー(罔民)に,中国版ツイッター(新浪微博)を通して意識調査。その結果を紹介。反日の声が大きかった中国のネット世論に,大震災後,日本見直しの動きもある。
     中国では共産党が情報を独占してきた。しかしこれもネットの普及により変わりつつある。民衆もネットを通して伝統的メディアより先に情報を取得し,吟味できるようになってきた。当局は検閲を強化するが,なかなか追いつかず,ネットの中には共産党の支配が及びにくい言論空間が広がっている。
     「官」の下で「民」がうごめく中国社会。中国の検閲システムは「防火長城」と呼ばれ,中国でツイッターをやるには特殊ソフトでその壁を越えなくてはならない。これはいかにも敷居が高く,多くの人は中国当局の管理する「微博」を使ってコミュニケーションする。もちろん検閲が入る。
     共産党が都合の悪い情報への規制を強める中,ジャーナリストや民衆は新聞上では闘えず,ネット上で闘いを挑む。検閲が入るものの,「微博」はその即時性からくる大衆動員力によって,一定の影響力をもつようになった。
     とはいえ一般の「微博」の使い方はそれほど政治的ではない。ネットを通して日本文化を楽しむ罔民たちは多い。言論の自由がない中国では役者や歌手はどうしても国家のプロパガンダの道具になり,彼らのメッセージは愛国心に傾きがち。その隙間を日本のアイドルが埋めている。
    「蒼井空老師」やジャニーズが特に若い世代に人気だという。その一方で,90年代からの愛国教育の影響によって,若者の間では反日感情も強い。戦争の反省がないと憤る罔民も。尖閣諸島(釣魚島)も中国の領土だと譲らない。
     そもそも愛国主義教育は,冷戦が終結してマルクス主義や毛沢東思想が色あせる中,その代わりに国民を繋ぎとめるアイデンティティの道具として導入された。民衆や知識人を愛国で共産党に取り込む狙いがあった。罔民の反日感情は,その愛国教育が一定の成功をおさめた結果ともいえる。ただこのナショナリズムは,暴走の危険もはらむ。共産党は民を利用しながら民を恐れる,結局は検閲や拘束を駆使して,力で民を抑えるしかない。
     最近のネットによる言論と当局の締め付けの鬩ぎ合いは,50年前に似たような例がある。56年のスターリン批判により体制への危機を感じた毛沢東が,民主的雰囲気を醸し出そうと知識人の自由な議論を容認する「百花斉放百家争鳴」を提唱。「言う者に罪なし」とするが,予想以上に党批判が高まり,毛沢東はてのひらを返す。「反右派闘争」で知識人を弾圧するのだ。自由な発言を促す政策が,共産党の敵をあぶりだすおとりになった格好。近年のネット言論では,劉曉波の「08憲章」が有名。彼はノーベル平和賞を受賞するが,当局に拘束されてしまう。
     またチュニジア・エジプトでネットを使った民衆蜂起による政変が起きたことも,中国政府を敏感にしている。今後,中国の一党独裁体制はどうなるのか,興味深いところ。罔民の存在が鍵を握っているのかも知れない。
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    投稿日:2011.11.30

  • kun92

    kun92

    どの本を読んでも、中国の身勝手さ、日本の無責任さは感じますな。
    「電脳調査」自体は若干出汁のように感じるところもあるけども、共産党という王朝のほころびを感じるのもいい。

    投稿日:2011.08.28

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