【感想】異世界迷宮の最深部を目指そう 5

やっとすっきり

妹のもとに帰る、それだけのために迷宮の最奥をめざしていたのに、英雄を求める者たちや、英雄になりたい者たちの思惑に振り回されてきたカナミ。
記憶と妹への思いをゆがめられ、パリンクロンの狙い通り、ギルドマ…スターとしてどんどん名をあげていく。
だがそのおかげで「ジーク」と名乗っていた頃を知る人々との接触も増え、現状を理解し始めた結果、ついに本当の過去を取り戻すために積極的に動きだす。

主人公も含め、主要キャラのほとんどが、不安定だったり偏っていたり、さらには人為的な操作が加わっていたりと、精神的にどこか問題あり。
しかも、まさにその精神状態をメインに描くストーリーで、そこがよくある異世界ヒーローものと違って面白いところではあるのだが、読む側も精神的に疲れる。
が、ようやくこの巻で前向きな展開になってほっとした。
１～３巻では問題を持つ側だったラスティアラが、今はいちばんまともなのがありがたい。

腕輪を壊そうにも、カナミ本人があまりに超人的すぎるので、大変な苦労をするところがけっこう面白い。
記憶が戻れば不幸になるとさんざん脅されたわりには、結末はなんだかお笑いな状況。
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