【感想】オリンピックの身代金(下)

奥田英朗 / 講談社文庫
(53件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
21
18
8
0
0
  • 東京オリンピック当時、10歳でした!

    東京オリンピック開会式、テレビで見て感動した事を覚えてます。
    その成功の裏に多くの低所得現場労働者が犠牲を強いられていたなど、当時は考えもしなかった。
    深刻な問題提起をしながら、関わった人々のそれぞれの立場でストーリーが展開していき、全ての登場人物が主人公として描かれ、それぞれの立場に正義がある…、非常に考えさせられる。
    「沈黙の町で」でも登場人物の数だけ正義がある描き方は同様で、奥田英郎作品の面白さの所以だと思う。
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    投稿日:2016.08.27

ブクログレビュー

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  • ゆうゆ

    ゆうゆ

    下巻も期待以上の手に汗握る怒涛の展開。熱すぎる刑事魂とどこまでも冷静な国男の対比がラストまで印象的だった。それにしても村田さんのキャラ立ちが際立った。国の威信をかけたオリンピック。そこにかける人たちの思いが様々にぶつかり合っていた。時系列を前後しながら落合さんの目線だったり、国男の目線だったり、魅力的な登場人物と布石を織り混ぜながら最後まで目が離せない最高の物語だった。ラストはやはりそうだよねーという感じかな。続きを読む

    投稿日:2024.01.31

  • ゆきだ

    ゆきだ

    島崎国男は秋田の貧農の村、政治から捨てられたような地域の出。国男にはスリの相棒、村田がいる。読んでいて村田の言動が愛嬌があって微笑む。いつのまにか国男を応援していた。堪能しました。

    投稿日:2024.01.22

  • ともあつ

    ともあつ

    時点を前後させながら描くスタイルが新鮮で、より一層興味をそそられた。
    中でも、開会式当日のやり取りは、緊迫感が伝わり、正に手に汗握る展開。もう少しラストの余韻を楽しめれば、☆5をつけていた。

    投稿日:2024.01.05

  • ☆HIRO☆

    ☆HIRO☆

    東京オリンピック時代の雰囲気がひしひしと伝わってくる。
    オリンピックに向けての建設現場で労働しているなか、東京、田舎の差による不平等さなどを感じながら主人公がテロリストになっていく。ただ、共感ができてしまう部分もある。
    長編だが、最後まで読ませる書き方はさすが。
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    投稿日:2023.12.23

  • norun

    norun

    1964年、東京オリンピックが控える日本を舞台にした爆破テロ事件を起こす青年の話。当時実際に起きた草加次郎事件を参考に描かれた作品です。
    東京大学院生の島崎国男が兄の死をきっかけにオリンピック工事の日雇い人夫となり、貧しい労働者層の過酷さを知る。華やかになる東京開発の一方で使い捨てされる労働者層に疑問を持ち、日本を相手取ってテロを企てるお話。

    これから発展していく期待を持った日本人の感情、一方で地方での残る貧困やそれに対する労働者層の感情が詳細に描かれており、自分の親、祖母の世代の当時の感情などに興味を持つきっかけになりました。

    聞き慣れない言葉が多く最初は慣れないですが、慣れると奥田英朗ワールドが広がって読みやすかったです。
    ただ、テンポが悪いところがいくつかある点、終盤の島崎や村田視点での語りが少ない点は少し残念。みんなそこが読みたかったのでは?と思ってしまいましたが、自分で想像することにしますmm

    戦後日本がもっと知りたくなり、同じ時代背景の他の本も読んでみたくなりました!
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    投稿日:2023.11.26

  • gaia

    gaia

    1964年のオリンピックは聖火リレーの見物客として、父の肩車で眺めている写真の記憶
    開会式や競技の鮮やかな光景が本当に見たのか、記憶が上塗りされたのかもはっきりしない

    その鮮やかさや晴れがましさの裏にさまざまな人間の事情、思惑、犠牲があったんだろうと思わせる作品だった。

    その時代、時代の自分の立ち位置からしか、思いを馳せることができないけど、本当は人間の数だけ、嬉しいこと、楽しいこと、辛いこと、悲しいことがあると改めて思った。つい忘れて瑣末な身辺に囚われる自分が情けない。

    以下は後日の追加です。

    先日、クイズ番組の中で昔の「お宝映像」なるものがあった。 東京タワー建設時の鳶の人たちがまったく命綱なしで移動したり降りて来たりしていて、それを見て出演者たちが、凄いとか怖いとか騒いでいた。 ああ、こういうことか、私も前ならそういう感想で終わってしまってた。だけど、今なら、「この時代この人たちの命がいかに軽んじられていたか。たまたま、誰かが犠牲になっても、(なったかもしれないが、)人知れずうやむやにされていたんだろう」と想像した。
    その映像と出演者のはしゃいだコメントが、今だに心にわだかまっている。
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    投稿日:2023.11.19

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