【感想】京都ぎらい

井上章一 / 朝日新書
(192件のレビュー)

総合評価:

平均 3.2
20
42
62
30
8
  • 京都はほんまに恐いとこや

    京都市民やのに、洛中の人にいけずされた洛外の井上先生のお気持ち、よぉわかります。私は京都市民ですらない乙訓の出身なので、「宇治のくせに、京都と言うな」と言われる方のクチですから。まさにルサンチマンですね。けど、返す刀で東京の人にいけずしてはるとこがまた可笑しい。
    たぶん、御所を中心にして、洛中>洛外(京都市内)>洛外(京都市外)>京都府以外(大阪など)>>東夷(笑)という図式があるんでしょうな。ま、東京は東京で、皇居を中心にして、旧江戸(御府内)>山手線内>山手線外の東京>神奈川>千葉・埼玉>その他大勢という図式があるんでしょうけど。
    ということで、私も「かみひちけん」が正しいと思います。
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    投稿日:2016.01.22

  • 大阪生まれ、大阪育ちで、

    この30年近く京都に住んでいるわたしにとって、違和感のある書き出しでした。確かに、京都にいると、「なんでこいつら関西人のくせに東京のまねしてエレベーターで左に寄るんや、どうせまねするんやったらロンドンのまねして右に寄れよ」などと未だに思うのですが、それは、大阪大国主義の現れなのでしょう。。。京都の方にとって、大阪に習うなど、論外なのでしょう。でも、東京に習わなくってもいいじゃない。。。
    それはさておき。最初の4分の3ほどは、2点にしてやろう、と思っていたのですが。最後の方、日本の古代の人々の思いに寄り添い、近代の自己防衛的で他者に攻撃的な流れを、本当の意味での日本の古くからの保守とはちがうのではないでしょうか、という提示には深く共感しました。
    ので、3点。読む価値あり。
    でも、やっぱり京都に関係なければ、あまり面白くないかも。その上、最初の書き出しがショッキングなせいで、書いてある歴史の流れを、信じていいのやら歴史の素人には、判断できなくなってしまいました。。。
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    投稿日:2016.03.03

  • そないに卑下せんでも

    「京都いうのは、碁盤の目の中の地域のことを言うんや」というのは、京都の人から、本当に聞いたことがあります。だけど、洛外の京都人というのをそんなに卑下しないといけないかなぁという気がします。そういう私も、京都府民で洛外の人です。
    京都は、島国根性がさらに先鋭化したような土地柄で、高校時代を大阪で過ごし、京都で働いている自分にとっては、ものをはっきり言わんうっとうしい土地です。ちなみに、祇園祭はよそさんの祭りで1回も行ったことがないし、京都の通りの名前も、ほとんど知りません。そういう意味で私も「京都嫌い」です。
    その感覚に共感できますが、そんなに卑屈になることもないので、少し心情的には違うかも。また、後半の歴史の部分は、退屈で読まずに飛ばしたので、星三つ。
    最後の七条(ひちじょう)は、興味深かったです。多分「七」を「しち」と呼ぶのは、東京の訛り(標準語)の影響と思います。あちらは、飛行機を「しこうき」と言ったり、「ひ」が話せませんから。四(し)と七(しち)は間違えやすく、「ひち」と呼ぶ方が合理的です(東京を馬鹿にしている訳ではなく、大阪は「うどん」を「うろん」と言ったり、地域によって言えない(言わない?)文字はあります)。
    秘密のケンミンSHOWをご覧の方は、西村和彦(伏見区出身)が京都を語れば語るほど、「洛外」の人やのにえらい言わはるなぁ・・・という思考に陥らないことを願います。
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    投稿日:2016.03.22

  • 残念

    本屋で推されていて、面白そうだったので読んでみました。
    が、期待とは違う内容の本でした。
    京都人が嫌いと言っても、何が嫌いか徹底的に掘り下げる訳でもなく、かといって、結局は京都愛が感じられてほっこりする、というわけでもない。途中から京都が嫌いという話から外れていって、何の話でしたっけ?という話題になってしまい、、、
    一つ一つは面白い話だった様な気がするのですが、結局何が言いたかったんだろう?という感想が残りました。
    関東人だから、あまり深く共感できなかったのかもしれません。
    まわりに京都人もいませんし。
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    投稿日:2016.05.26

  • 京都にもいろいろ種類がある?

    京都人どうしでこれだけ劣等感があることは大発見だった。
    と言うよりは、無知だった。
    また、人を見下すことで得られる優越感、その嘲笑する。痛快だ。
    人々中にある怖れ、
    そんな優越感に対して節度を持って接してあげるのが恐らく成熟した大人の礼儀なのだろう。それが出来たら達人ということか?
    そんなことをいろいろな例を挙げて説明してくれる。
    京都の寺が大きくなり得たのは誰のお陰?、花街とお寺の関係、
    などなど。
    南北朝、応仁の乱、京都人を語る時には外せない話題もてんこ盛りで楽しい一冊だった。
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    投稿日:2016.07.03

  • よーわからん

    京都の中でもヒエラルキーがあるとは、初めて知った。京都人は大阪、神戸を見下しているという意識があるのは有名(?)ですが。大阪で育った私としては、淀川と大和川を境として、北摂となにわと、大阪南部(河内とか和泉とか)の3つがあって、それぞれ「別もん」の意識があるとは思うが、上下があるかと言えば ??である。
    しかし、著屋は何を言いたかったのだろう。京都市の辺縁からみた洛中、ひとくくりの京都人から見た東京、そこらへんを語っているが、定まったビジョンが感じられず、何を伝えたかったのが、まさに「よーわからん」なのでした。
    ちなみに、「かみひちけん」は賛成です。本文読んでいて、ルビにわざわざ(ママ)がついていたのは、何で?と思っていたが、後書きを見て納得。
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    投稿日:2017.08.21

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ブクログレビュー

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  • nizaco

    nizaco

    このレビューはネタバレを含みます

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    投稿日:2024.01.18

  • teoの読書家

    teoの読書家

    なんといっても井上節がこの本の魅力。
    もちろん言葉選びが秀逸。
    辞書を片手に読むことになったが、つまりは、言葉の奥行きがあり、とても興味深かった。

    そして京都に行くとこの本を思い出す。あまり歴史に興味をもってこなかった私に、この通り、この街、この寺、この建物‥改めて歴史背景を知りたいなと感じさせてくれた。
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    投稿日:2023.09.05

  • たきゆか

    たきゆか

    私は子供の頃大阪に住んでいたのですが、しち、なのか、ひち、なのか悩んでました。神奈川県に引っ越しして、しちが正しいと思った時に「じゃあ、ずっと間違えていたのか?でも、友達も先生も、ひち、って言っていたような気がする。」って思いました。この本を読んで分かりました。方言だったのですね。でも七条の読み方は地名なんだから、ひちじょう、で良いような気がします。先日、秦野市の名古木と言う地名「ながぬき」と読むと知り、ますます「ひちじょう」で良いと思えてきました。続きを読む

    投稿日:2023.07.12

  • ゆきりんパパ

    ゆきりんパパ

    京都の方々のコアな部分を拝見させて頂いた一冊です。県民比較のテレビ番組等の影響で、コアな京都人(The京都人)のなんとなくのイメージはありましたが、本書の内容はそのイメージを固定化させる感じでしょうか。独特の人当たりもなんとなく理解できたように思いますが、観光レベルではわかりませんね。続きを読む

    投稿日:2023.03.18

  • parupito

    parupito

    京都ぎらい/井上章一/朝日新書/2015年/110円 

    嵯峨出身宇治生活者の著者が書く、洛中京都人への恨みつらみ。結局狭い範囲で攻撃し合っていて部外者から見ると同じ穴のムジナで面白い。芸妓文化は京都のなまくら坊主が、税金を取られない拝観料で維持している話も良かった。

    1986年に京都市が古都税として、寺院から税金を取ろうとして、寺院側が反対し、銀閣寺は10ヶ月もストライキで拝観停止を行ったらしい。結局市側が折れて取り下げて今に至る。泥臭くて生々しくて良いわ。

    後半1/3くらいの歴史にまつわる箇所は日本史を勉強し直してから再読したい。
    今後も京都讃美ではない面白い本を読んでいきたい。

    #読書 #読書好き #古本 #京都本 #京都 #洛外 #新書好き
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    投稿日:2023.03.05

  • 湖南文庫

    湖南文庫

    井上章一(1955年~)氏は、京都市生まれ、京大工学部建築学科卒、同大学院修士課程修了、京大人文科学研究所助手、国際日本文化研究センター助教授・教授・副所長を経て、同センター所長。建築史家、風俗史研究家。
    私は新書を含むノンフィクションを好んで読み、興味のある新刊はその時点で入手するようにしているが、今般、過去に評判になった新書で未読のものを、新・古書店でまとめて入手して読んでおり、本書はその中の一冊である。(本書は2016年の新書大賞を受賞)
    本書は、京都市右京区嵯峨に生まれ、現在京都府宇治市に住む著者が、京都で見聞きした様々な話を、歴史への言及を含めて、綴ったものである。具体的には、洛中に住む京都人の「洛中だけが唯一つの京都」と考える「中華思想」的振る舞い(著者は洛外に生まれ育ち、住んでいるので、この京都人には含まれない)、京都の僧侶の世俗的な日常、京都の寺院の特権的な扱い、北朝と南朝の争いとその歴史的な影響等々を取り上げているのだが、そのトーンは、「京都人」に対して相当に挑戦的・敵対的なものとなっており、それが「京都ぎらい」というタイトルに結びついている。
    私は、関東に生まれ育った人間なので、内容自体は新鮮に読んだが、少々毒気が強過ぎる印象を持ったし、加えて、各々の事象の記述が表面的なものに留まっているように感じ、その詳細や背景について、もっと調査・確認をした上で書いてもよかったのではないかと思った。そういう意味では、新書大賞としては、他の年のものの(平均的な)クオリティには達していないし、帯に書かれた、佐藤優氏の「京都の洛中の特殊性を語ることを通じて日本人の思考の鋳型について論じた秀逸な文化論」というのは、佐藤氏ならでは深読みに過ぎると思われる。
    それでも、最後に書かれていた、北朝と南朝の争いとその歴史的な影響については、(高校の日本史で、ある程度習っていたはずなのだが)なかなか興味深かったので、このテーマについて(学術的に)書かれた本を、いずれ読んでみたい。
    トリビア的に流し読むのはいいかも知れないが、好みは分かれる一冊だろう。
    (2022年9月)
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    投稿日:2022.09.27

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