【感想】ハルビン・カフェ

打海文三 / 角川文庫
(24件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
7
6
5
3
0
  • 報復の連鎖は怖ろしい

    北陸の小都市が舞台。Pという警察官の地下組織に監察官が闘いを挑む。
    Pは伝説を作り上げ正義感の強い警官を巻き込んでいくがその熱気は些細なことで破壊衝動と報復テロへ変わっていった。

    難民流入による治安の悪化、経済の疲弊、国家とマフィアとの二重権力、キャリアと下級警官に分断された警察組織内の権力闘争。
    シリアや欧米で起きていることを考えるとタイムリーな作品を読んだという感じがするがこれは15年前の小説である。
    警察官が日々直面する恐怖や組織の重圧などを丁寧に書くことで何故報復の連鎖に繋がっていったのかを解明していく。

    複雑なストーリーで登場人物も多く600ページの大作なので時間をかけてジックリ読むつもりでいたが想像以上に時間が掛かった。
    前半は混乱して読み辛かったがこの部分を丁寧に読まないと後半の感動はなかったと思う。
    ハイライトと書籍内検索を駆使して8日目で読了。感動と達成感のひと時である。

    それにしても舞台上の全員が興味を失うまで終わらない報復の連鎖は怖ろしい。「復讐するは我にあり我これを報いん」という言葉の重さをあらためて感じている。
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    投稿日:2017.02.21

ブクログレビュー

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  • あやこ

    あやこ

    福井県にある海市は中・韓・ロシアのマフィアがはびこる無法地帯となっていた。
    現場の警官たちは殉職していった仲間たちの仇を打つため地下組織「P」を結成し、対抗していく。

    こういう系が苦手だと痛感させられた……!
    物語は色んな人の視点から描かれ、序盤は点ばかりだったのが中盤から徐々にそれぞれが繋がり始めていくと景色が見え始めるんだけど、とにかく人が死にすぎ!それが苦手なんだ……。
    どんな組織にも色んな側面があって、必要悪ってほんとに必要なのかと思いつつ読みました。
    読了後はどっと疲れた……。
    続きを読む

    投稿日:2020.04.12

  • qozaicbooks

    qozaicbooks

    2回目。やっぱり骨太。読めば読むほどいろんな登場人物のエピソードのかけらが高密度で合体してすごい重量感になっていく。ハードボイルド?なんだろうか?打海さん独特の文体のせいか、2回目も一気読みしてしまった。骨太ハードボイルド読みたい方に一番にオススメしたい本。続きを読む

    投稿日:2019.07.07

  • Bookrium

    Bookrium

    福井県にある架空の都市を舞台に、実力行使の報復でマフィアに対抗する下級警官達のゲリラ的活動の表と裏を描いた物語。
    総括するとこんな感じですが、ボリュームのある作品の中で1つの出来事が視点によって複数の意味を持ち、偽名と裏切りが多発する中で人間関係が非常に複数で、仕事の合間に読んだせいか充分に理解できなかった。
    多くの登場人物が目的を達成することなく死んでいき、全体的には救われない印象でしたが、時間のある時にもう一度落ち着いて読み返してみたい。
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    投稿日:2016.10.21

  • Yoshi_Navyfield

    Yoshi_Navyfield

    中国・韓国・ロシア系の各マフィアが覇権争いを繰り広げる、福井県の海市を舞台に、それらマフィアと警察内の報復組織P、そして警察組織自体の抗争を描く骨太なハードボイルド小説です。
    細かくカット割りされるように、何人もの登場人物の視点が切り替わって事件の進行が語られ、600ページにも及ぶ長編ながら緊迫感を持続したまま読み通すことができました。
    また、これは僕が男やからかも知れませんが、出てくる女性キャラがみんな力強く、たくましく、したたかで、セクシーに描かれていると思いました。
    打海文三さんは初読でしたが、積ん読も含め、他の作品も読んでみたいと思えました。
    続きを読む

    投稿日:2014.02.03

  • umekou

    umekou

    これはいい作家と出会えました。

    全く伊坂幸太郎に感謝。



    単行本で592Pがあっという間です。

    というか一度に読んでしまいたい、読んでしまわないと理解できないんじゃないか。

    そんな風に思いました。



    舞台設定などからすれば村上龍の作品などとオーバーラップするところがあり、話の進め方からすれば伊坂幸太郎作品にも共通する箇所が見受けられます。

    ただインパクトの強烈さは先に挙げた両者を凌駕するものを感じます。

    序盤に発生した事件をきちんと把握・理解していないと度々ページを戻すことになります。

    無駄な文章は一切なし。

    作品の世界にのめり込んでしまい、読み終えた後はその重みでグッタリしました。
    続きを読む

    投稿日:2014.01.13

  • tsubakiko

    tsubakiko

    硬質な文章に見合ったハードボイルドさ。ハードボイルド小説、というよりは大人のヒーローものです。男でも女でもぞわりとくるヒーローを明かそうと奮闘する話。しかしストーリーが多重構造を極めていて一回では全貌を理解しきれず…続きを読む

    投稿日:2013.12.07

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