【感想】愛すべき娘たち

よしながふみ / メロディ
(150件のレビュー)

総合評価:

平均 4.5
84
40
13
1
0
  • よしながふみ、最高傑作のひとつ。

    全ての女性というのは「娘」だった。

    当たり前なんですが、そのことを、胸の傷を抉るように描き出しています。
    「わたしだけのお母さんでいてほしい」というのも「母も、その母からの言葉を受けて生きている」とか、
    まさにその通りなのです。

    その中でも娘として、というより一人の人間として
    世の中で説かれている建前をグっと切り込んだ、中盤のお話が好きです。
    愛するということ、の意味を暴く筆力はさすがです。

    すごい。
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    投稿日:2017.04.01

ブクログレビュー

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  • 放浪金魚

    放浪金魚

    母麻里と娘雪子を中心とした5編の連作短編。

    よしながふみ先生が母娘の絆や呪縛を物語に落とし込むと、こうゆう怪作が生まれるのだなと。母、娘、女性、恋人、恋人未満、女友達…登場人物それぞれの細やかな心情が多くを語らず、でも痛いほど丁寧に伝わってくる。
    育ってきた環境も立場も生き方も異なるけれど、皆それぞれ誰かの「愛すべき娘」。
    でも人はいつだって不器用で、勝手で、不完全な生き物。愛を与える側も、愛を受け取る側も。
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    投稿日:2023.10.11

  • Kazu

    Kazu

    三浦しをんさんが「女性同士の会話がまさにコレ」と言ってた。
    つまり"本質的な感情"が書いてあるのだろうと思って読んだ。

    しをんさんが「男性にもお勧め」と言うので読みたいと思ったのだが、凄いものを読んでしまった感が強く残った。
    このように勧められなければ男性は手に取りにくい本なので、しをんさんの推しに感謝だ。

    父と息子だと愛情は希薄だが、母と娘の間の愛情は複雑に感じてしまうのは自分が男だから?

    最終話の最後の雪子のセリフ「あたしは、お母さんが死んだら……」がぐさりと刺さったなあ。
    この物語を締めるのに相応しいセリフだ。

    読み終わって結構な衝撃が残っている。
    名著だと思います。
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    投稿日:2023.05.28

  • kuma0504

    kuma0504

    三浦しをんさんが、エッセイ「乙女なげやり」において「自信を持って、男性でもお勧めできるコミックスである」との発言があった、とKazuさんが紹介していたので紐解いた。

    よしながふみは2002-3年で女性誌「メロディ」でこの連作短編を描き、そのあと「大奥」を連載始めたらしい。「きのう何食べた?」等の長期連載のエッセンスがこの短編の中に凝縮されている気がする(「大奥」は原作未読だけど映画とテレビドラマは観た)。つまり、テーマはジェンダー問題なんだけど、人々のさりげない行動を描くのが上手く、また視点がどちらかというと男性・女性両方からみた世界観の感じがして、確かに「男性が見るべきジェンダーマンガ」になっている。2000年代初頭に、此処まで(精神的な意味での)骨太の作画ができているのにビックリする。2009年に「大奥」で手塚治虫文化賞マンガ大賞を獲っただけある。

    アラサー雪子の家族と友人にまつわる、様々な事情をほぼ1話完結方式で見させてくれる。その1話1話には、サラサラと描かれている割には考えさせるものが多いのだけど、詳しく語ろうとすると、どうしても自分と比べながら語りたくなってしまうという厄介な構造になっていて、それはあまりにも恥ずかしいので、語れないという「内容」である。なんのこっちゃ。

    いやあ、確かに名作です、三浦さん。
    14巻で止まっていた「きのう何食べた?」を最近巻まで読んでみよう!

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    投稿日:2023.05.03

  • 本屋さんが大好き!

    本屋さんが大好き!

    新刊、古書と買い、今回は図書館で…
    そんなに好きなら手元に置いとけば?と家族に言われましたが、置いときたくない…そういう本。
    たまに読み返して、納得する本。どなたかも書いてらしたのですが、古典なのです

    母と娘、母と息子、男女のあり方などが書かれていますが、父親の存在だけは薄い。唯一牧村の父について言及。若林の祖父は、ある意味父親とも言えますが…。

    言霊、呪詛…それがテーマではないのはわかっているつもりですが、勝手に深読みしています。
    「分かってるのと許せるのと愛せるのとはみんな違うよ」(P199)
    辛い言葉です。

    言葉で人を傷つけたり縛ったりしたくない。でも実際はそうしてしまい、互いにつらくなることが多い。かと言って、誰とも関わらずに生きれないし…

    私にとってそういう本なのです。
    たまに読み返したくなる。でも、そばには置いときたくな
    い本なのです。

    NHKのある番組で紹介されたことをきっかけに再読。
    若林のエピソードが一番心に残り続けています。
    第二話の女の子と、牧村はニガテです。
    若林のお見合い相手たちも…(龍彦さんのおかあさんも)
    龍彦さんも、何か抱えてますよね、と深読み…

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    投稿日:2022.10.27

  • NORIS

    NORIS

    2022.10.10市立図書館 →購入済
    (よしながふみさんの最新刊インタビュー本を読む前に過去の作品をさらっておいたほうがよさそうなので借りられるものを順番に読む)

    初出:メロディ(2002年7月号〜2003年10月号まで随時)の連作短編集。雪子を狂言回しに、家族や友人の女たちとの間の愛憎や友情などさまざまな「愛のカタチ」が描かれている。
    それぞれの短編でさまざまな年代、さまざまな問題を扱いつつ、6編を通してある母娘の微妙な距離がちょっと縮まる局面をていねいに描いていて、物語の構成・展開といいキャラ造形といい手練れというほかない。

    第1話 如月雪子(娘)と麻里(母)と母の若き再婚相手(大橋健)
    第2話 和泉清隆(大橋の友人)と滝島舞子(教え子)
    第3話[前編]若林莢子(雪子の大学の友人)の見合い行脚
    第3話[後編]若林莢子(雪子の中学の友人)続き
    第4話 牧村優子と佐伯友惠(雪子の中学時代の友人たち)の生き方
    最終話 雪子の祖母の女学校時代の経験と娘(麻里)の育て方

    第3話の、マルクス主義者の祖父の薫陶を受けた孫娘がだれにも分け隔てなくを目指した結果、恋や結婚が選択できなくなって修道院に入ったしまうというのは、ちょっと他人事とは思えない話だった。(どうでもいいことだけど、莢子とか雪子とか、かつて娘たちの名前の候補にあげてた名前ばかり…)
    あとすごいのは最終話、「母というものは要するに一人の不完全な女の事なんだ」、母親を反面教師にした娘の子育てという循環のなかで、完璧な親なんてどこにもいなくても仕方がないよねぇという諦念が伝わってきた。これは手元においてときどき読み返したいかも。
    高3の次女もおもしろく読んでるようだし。

    「分かってるのと許せるのと愛せるのとはみんな違うよ」とさらっと言えちゃう大橋健ができすぎ〜。やっとの時代劇デビューは大奥の第十四代家茂っぽくてどこかにスピンオフないのかなあ。
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    投稿日:2022.10.10

  • hosinotuki

    hosinotuki

    連作短編.
    母と娘の深いつながりと反発し合う気持ちなど,わかりすぎて恐いくらいうまい描写が溢れている.

    投稿日:2022.10.08

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