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齋藤元紀 / 講談社選書メチエ (2件のレビュー)
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snow--t
グローバル化によって生じた「危機」を、哲学者たちがどうとらえているのかが分かる本。 現代日本にそこはかとなく漂う不安感・危機感を、「知」「ことば」「いのち」「戦争」の4つに分類し、12名の哲学者がそれ…ぞれの専門分野のトピックスを使って説いている。 「危機」がなぜ生じたかという私なりの感想は、それぞれの危機が向かうベクトルが「平和」な時代とは違う方向動き出しているからなのではないか? という事だ。 特に「ことば」に関して言えば、日本人同士であっても万人に共通でなくなっているのではないか? だからこそ確かな過去の偉人たちの足跡を振り返りつつ、自分の立ち位置を説明し、これからを論ずる哲学的な語り口が、より一層必要とされていくのではないか? そんな気がした。続きを読む
投稿日:2015.11.19
riglavi
あんまりおもしろくなかったなあ。僕は想定された読者ではなかったということだろう。危機の言葉じゃなくて、来るべき時代からの言葉を聞きたかった。 何となくみんな近代的な主体性を取り戻したいと考えているのか…な、あるいはそれを失ったことを嘆いているのかなと思った。 それはどうしても「危機の時代と未来の哲学」ってテーマゆえなんだろうな。「危機」ってフレーミングの時点でどうしても現在を過去の欠如として語ってしまうから、何となく創造的じゃないような感じになる。 一方で「てつがくカフェ」の実践について書いてた文章はこれだけ読んでも物足りないけど、それが会場で話されると多分いい議論の種になるんだと思う。 西山雄二さんの大学の危機の文章は「現場の創造」っていう一節があって良かった。あと、森一郎さんの文章も「世界の終わり」という思考パターンの外に出る方法を考えよう、という点ですごく生産的だったように思われる。 これは青臭い僕の感覚かもしれないけど、他の論者は哲学すると言いながらもカギカッコつきの「哲学」にだいぶ寄りかかっている感じがしたのだ。 しかし、他方で、乏しい紙幅で哲学について書くにはどうするのか、という問題提起がむしろあるように思う。哲学=問いと答えだとして、答えは文字数を食う。要約してしまっては意味がない。だから、①答えきるために問いを小さくするか、②答えをシンプルにしてしまうか、③答えをいっそ切ってしまうか。 ②は「ああでもないこうでもない」とその場で苦しむ代わりに、誰かの説を紹介するという形になる。しかし、僕はそれはつまらないと思う。それだったら問いを磨ききる③の方が好ましい。だが、問いを提示するというのはどういうことか? 問いは現実から出発する。こういう現実があって、こうも言えそうああも言えそうというところに挟まれて、さてどう考えるべきかという問いが生まれる。つまり、いかに細かい目線で現実を見るのかということだが、現実の羅列はどうしても「哲学っぽくない」ものになるのではないか。 哲学は何より問いの立て方の技法であるべき、という偏った哲学観がある。続きを読む
投稿日:2015.09.14
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