【感想】地球外生命 9の論点 存在可能性を最新研究から考える

立花隆, 佐藤勝彦, 長沼毅, 皆川純, 菅裕明, 山岸明彦, 重信秀治, 小林憲正, 大石雅寿, 佐々木晶, 田村元秀, 自然科学研究機構 / ブルーバックス
(23件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
2
8
9
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  • 2012年の本ですが

    生物学者や天文学者が集まったシンポジウムを土台にしたアンソロジー。「9の論点」とあるが、論点がはっきり9つあるんじゃなくて9人集まったから「9の論点」にしたみたい。

    火星運河論争に決着がついて以来、地球外生命はSFの定番ネタでこそあれ科学の対象にはなりにくい時期が続いた。ドレイクらによるSETIの活動などはあったわけだけれど、夢物語か酔狂の類と一般には看做されていた。ところが最近では地球外生命の存在はにわかにリアリティを持って語られだした。背景には、以下のような事実が明らかになってきていることがある。
    ・彗星や隕石には生物の素材になりうるような有機物が多く含まれている
    ・系外惑星が次々と見つかっている。特に地球型のあまり大きくない惑星も技術進歩で見つけられるようになった
    ・地下深くや熱水噴出孔近くなど、極端な環境で生きる生物の様子がだんだん分かってきた
    ・太陽系内で、液体の水や火山活動など生命が存在しうる環境が見つかってきた

    この本では、生物学や天文学などさまざまな分野の研究者が地球外生命関連のトピックスを論じている。こんな本に参加するくらいだから、もちろん地球外生命の可能性について肯定的な人ばかりだが、一般的にはどちらかといえば物理学者に地球外生命肯定派が多くて、生物学者に否定派が多いらしい。しかし系外惑星が次々と発見されたり、太陽系内でも生命が存在しうる環境が見つかったりする中で、徐々に肯定的な見方が増えてきて、学問として成立するようになった。でも、まだ知的生命の存在までは簡単には考えられないが、微生物くらいなら本当に太陽系内にもいそうな気がしてくる。

    この手の話題に興味を持ってニュースを追いかけたりしている人だと目新しい話題は多く含まれてないはず(2012年出版なのでむしろ少し古い)。逆に、ここ15年くらいの地球外生命や宇宙関連の話題に明るくない人ならば、読めばちょっとした驚きを覚えるんじゃないか。学校で習ったようなこととは随分違ってきているはずだ。この宇宙のなかで生命と言うものが、地球だけの特別な孤立した存在なのか、それとも本当は平凡などこにでもある存在なのか。自分の生きている内には何らかの見通しが立ちそうで楽しみ。
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    投稿日:2016.10.09

  • 知的生命体というよりも

    地球での海底熱水帯での化学合成を行う生物の発見、星間物質の発見、地球型惑星の発見、土星の衛星における火山活動の発見、衛星などにおける液体の存在の予想などから、化学合成を行う生物の可能性について論じており、SETIが対象とする知的生命体については、この時点ではあまり想定していないようです。比較的最新の知見を知るといった目的では、読みやすい本かと思われます。続きを読む

    投稿日:2017.04.28

ブクログレビュー

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  • hamakoko

    hamakoko

    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000057323

    投稿日:2022.09.05

  • palebluedot

    palebluedot

    9人の最先端な科学者が、それぞれの専門領域から地球外生命あるやなしやを論じてくれる一冊。

    「SFの世界でのお話に過ぎないと思われがちだった地球外生命は、いまや科学の最先端にある重要なテーマとなっています。」

    光合成の成り立ちを延々と書いて地球外生命の話はちょっとだったり、
    アミノ酸が非人為的にどうやって合成され得るかを延々と書いてみたり、
    地球の極限環境の生命についてだったり、
    色んな観点で、いないと思うよとか、いやいるよとか話を聞かせてくれる。

    一見、地球外生命の話としては回りくどいようにも思えるけど、その実すっごく直接的に生命発生についての話になっていて、つまりすっごく面白い。

    科学系ノンフィクションは、SFを読むのと同じ感じの楽しさがあるけど、これが本当にこの世界の話だっていうところが興奮ポイントですね。
    事実は小説より奇なり、を、最先端科学ほどに地で行く分野もなかなかないと思います。

    10年以上前に笹本祐一が、太陽系の外の惑星を望遠鏡で見つけた!っていうネタだけで一冊出していたけど、まさにそれと全く同じことがリアルタイムで起きているこの現状はエキサイティングです。
    宇宙には、地球そっくりの惑星がたくさんあることがほぼ確かになってきたのです。
    SF者の基礎知識、ドレイク方程式のいくつかの要素が埋まりつつあるのです。わー!

    ここ3年(2012年基準)の系外惑星発見ラッシュで、

    「かつては、まっとうなサイエンティストなら、『地球生物以外の宇宙生命体はない』と考える人の方が圧倒的に多かったろうが、(中略)宇宙のどこかに存在しても不思議ではない』と考える人が、むしろ多数派になりつつある。」

    なんて面白い状況だと思いませんか?
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    投稿日:2019.10.06

  • aki

    aki

    代謝・自己複製が生命とは何かを考えるためのキーワードになる。さらには外界との境界・進化するということもその特色である。
    高度に知的な生物はわざわざここに自分がいるということを外に対して知らせないのではないかとうことと、宇宙人に会いたかったらまずわれわれが滅びるなという2点はおもしろい視点だと思った。続きを読む

    投稿日:2019.09.15

  • TaHi

    TaHi

    立花隆/佐藤勝彦「地球外生命9つの論点」読了。生物から宇宙物理へ各専門家のリレー形式での章立てに興味を引き出されながら読み進める事ができた。ハビタブルゾーンに沿う系外惑星の発見が近年増加している事から知的生命はともかく地球外生命の存在はかなりあり得ると思えた。続きを読む

    投稿日:2018.11.25

  • bookkeeper2012

    bookkeeper2012

    生物学者や天文学者が集まったシンポジウムを土台にしたアンソロジー。「9の論点」とあるが、論点がはっきり9つあるんじゃなくて9人集まったから「9の論点」にしたみたい。

    どちらかといえば物理学者に地球外生命肯定派が多くて、生物学者に否定派が多いらしい。しかし系外惑星が次々と発見されたり、太陽系内でも生命が存在しうる環境が見つかったりする中で、徐々に肯定的な見方が増えてきて、学問として成立するようになった。でも、まだ知的生命の存在までは簡単には考えられない。

    フェルミのパラドックス:広大な宇宙には知的生命が他にもいそうなのに、誰も人類にコンタクトしてきていないのは何故か?
    電波で何光年もの距離を通信するのはとんでもない大出力がいるので、電波以外の手段を使うのでは(by大石先生)

    平凡原理:わたしたちは特殊な存在ではないと考える。他にも知的生命がいると考えるのが素直。

    ドレイクの方程式:地球外に知的生命体がどれだけいるかを推定する。系外惑星の発見で、少しオッズが上がった。

    生命の定義・・・定説はないが、、、
     1.境界をもつ
     2.複製をする
     3.代謝をする

    最初の生命はどんなものであったか?
    DNA/RNAがないとたんぱく質をコードできないし、たんぱく質がないとDNA/RNAを作れないし。。。ニワトリ・卵問題
    RNAワールド仮説:最初の生物は、RNAで体を作り、RNAで自身を複製したいたのではないか。
    そんなことができるRNAを人工的に作る方向で研究が進む
    RNAは反応性が高いので情報を保存するには不向き。ある程度高度な生命のデザインまで進化した時点で、うまいデザインを保存できるDNA生物にスイッチしたのではないか。

    アミノ酸を熱すると出来るプロテノイドが、膜を作って生命にとっての境界になったとする説。そこからRNAワールドへ進む。

    スタンリー・ミラーの実験。メタンやアンモニアがあれば放電で簡単にアミノ酸が生成される。化学進化。しかし、原始地球にはメタンやアンモニアがそんなに豊富には存在しなかった可能性が高いと判明。スターダスト(メタン、アンモニア、一酸化炭素、メタノール)に宇宙線があたると、アミノ酸の前駆体ができると判明。前駆体は分子量が大きくて安定してる。これが地球に降り注いで、加水分解されて酸で煮られてアミノ酸へ。

    ホモキラリティ。宇宙空間で円偏光にあたって左手型が増えたのでは。

    電波望遠鏡で星間物質にアミノ酸を探す研究も。糖とかの有機分子はけっこう見つかっている。

    系外惑星の探し方。ドップラー法→トランジット法。人工衛星ケプラーにより2009年以降続々と見つかっている。ハビタブルゾーンにも。
    続きを読む

    投稿日:2018.11.05

  • yoshio2018

    yoshio2018

    地球外に生命が存在するか?それを考える上での論点をここのつにまとめて最新の知見を入れてまとめられたもの。地球型惑星が今までより多く存在することが分かってきて、生命が存在する可能性があると考える研究者が多くなってきているとのこと。でも、それはあくまでも微生物などの原始的な生命を想定していて、知的生命の存在にはまだまだ疑問符がついているようだ。続きを読む

    投稿日:2018.10.11

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