【感想】おもかげ橋

葉室麟 / 幻冬舎時代小説文庫
(17件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
2
6
8
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0
  • 及川恒平の名曲を想起させるタイトルに惹かれ…

     どことなく藤沢周平の名作「蝉しぐれ」に似ているかなぁ、と読みかけたときは思いました。でも、もっとミステリアスで、誰が敵で、誰が味方なのかわからない展開で楽しめました。葉室麟にしては、少々ロマンチックな香りが強い小説であります。
     そして、途中に出てくる蛍の群れの中での斬り合いシーンは、頭の中で想像しても、とても美しく幻想的な気がしまた。数ある時代劇の映画やドラマでも、このようなシチュエーションの決闘シーンは思い当たりません。今の技術ならば、CGを駆使して、殺伐とした決闘の中、刀がぶつかる火花と、体にまとわりつく蛍の光で、おそらく、とても素敵なシーンになると思うけれど、いかがでしょうか。話そのものの展開も二転三転しているので、映像化しても面白い作品になると思うけどなぁ。
     一方、「ひとの争い事は見栄から起きるのだ。」の台詞には、至極納得のいくものでした。これは、小さな喧嘩から国家間の争いまで、総てのことに通じるものですよね。
     この小説、葉室麟ファンならば、その期待を裏切られることはない1冊ですよ。
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    投稿日:2017.06.30

ブクログレビュー

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  • Bookrium

    Bookrium

    いかにも葉室作品という、真っ直ぐ潔く生きる無名の男たちの物語。
    小藩の権力争いに巻き込まれて致仕せざるを得なくなり、江戸に出てきた幼なじみの2人は方や浪人、方や武士を捨てて商家に婿入りして暮らしていた
    ところがそんな2人はまたしてもぶり返した旧藩の権力争いに巻き込まれる。。
    弥市と喜平次ほ最後までブレることがなかったけれど、ヒロインともいうべき荻乃の思わせぶりな態度は目に余る。それだけに弥生との対比が際立つんだけど、一貫して彼女を信用していなかった椎原亨は小物だけど一番人を見る目があったりして。
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    投稿日:2023.06.14

  • taro & kotetsu

    taro & kotetsu

    二人の武士の純な心を弄ぶかのような人妻になった初恋の人の思わせぶりな態度。
    あれ、これは誰の作品だっけと思わせるような葉室麟らしからぬ恋心や嫉妬心がちりばめられた作品。でも底流には男の友情が流れている
    藩一の剣の使い手である草場弥一と頭脳明晰な小池喜平次は幼馴染で、上司である勘定奉行にそそのかされ、藩政を壟断しお家乗っ取りをたくらむ重臣を襲い顔に瑕を負わせる。重臣は失脚するが二人も藩を致仕することに。それから16年、弥一はは江戸で町道場もどきを開いているが閑古鳥がなき旗本の剣術指南で糊口をしのいでいる。一方喜平次は、飛脚問屋の主人に見込まれて婿入りし商人に。そんな中、失脚した重臣が復帰し、勘定奉行の娘であり二人の初恋の人である萩乃が父の密命を帯び江戸へ。二人は今は人妻になってしまった萩乃を匿い守ることに。再びのお家騒動に巻き込まれていく二人。若き日の恋心を蘇らせつつ萩乃のコケティシュな言動に惑わされる。
    やきもきするような話だけど老中を巻き込んだ藩の騒動や関係する人たちの魅力的な人物像に物語の中にぐんぐん引き込まれていく。
    舞台となった「おもかげ橋」は現在の面影橋。自分の住まいからもそう遠くなく、現存する南蔵院(この東隣に萩乃を匿った喜平次の店の寮があった)や山吹の里の逸話と併せて親近感も感じながら楽しんだ。
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    投稿日:2022.06.15

  • 浩太

    浩太

    故郷を罠に嵌って追い出された二人が、原因ともなった藩の重臣の娘の警護をすることに。この警護も罠だった事が後で明かされる。この二人は娘に憧れていて、人妻となっても想いは増すばかり。
    また、この娘が思わせぶりでどちらにも好きな素振りを見せる最低な女性。敵味方ともみんな悪い人達の中にあって、新たにお見合いで知り合った女性や、商人となって婿入りした先の妻など揺るがない愛情を持って接する女性達がいることでバランスが保たれている。続きを読む

    投稿日:2022.05.06

  • masato

    masato

    面白かった
    時代小説の名を借りた純愛エンターテイメント?
    ヒロインの思わせぶりな態度に振り回される男たち(笑)

    ストーリとしては
    6年前に故郷を追われ、江戸で暮らす元武士二人。
    一人は武士の身分を捨て、飛脚問屋に婿入りした喜平次
    一人は道場のに閑古鳥が鳴いている弥市
    そんな二人のもとに、初恋の女、萩乃が密命を帯びて江戸に訪れます。
    結果、二人は萩乃の護衛をすることに。

    藩内抗争ものと思いきや、萩乃に思いを寄せていた二人の恋の行末は?
    といった展開。当然、萩乃は妻女になっているし、喜平次にも家庭があります。
    どろどろの不倫+三角関係の雰囲気です(笑)

    さらに、萩乃が天然?のようにふらふらしていて、二人は振り回されます。悪女としてふるまってくれたほうがもっとスッキリなんですが(笑)

    しかし、弥市が出会った弥生の存在によって救われます。
    「好きな女人と大切に思う友を救いに駆けつける殿方を好ましく存じます」
    弥生ってすごい女性!

    武士の恋愛
    「武士とは命がけで人を信じるもの」
    ...いいですね。
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    投稿日:2021.07.11

  • はまだかよこ

    はまだかよこ

    気楽に読める時代劇
    葉室麟さん、男性描くのはうまいのに
    女性はなぜこんな中途半端なのでしょう
    ただ美人だとしか……
    大福餅さん素敵でした
     
    ≪ 伝えたい 想いはまっすぐ 届けたい ≫

    投稿日:2020.03.26

  • ちゅー

    ちゅー

    このレビューはネタバレを含みます

    葉室麟さんの作品は初めてだったが、文章もすっきりとしていてとても読みやすかった。

    悪者退治を話しの軸に、弥市と喜平次の過去と現在の揺れ動く恋心にちょっと切なくなった。二人がいい男なだけにふらふらしていて、どっちつかずの萩乃の良さがよくわからなかった。美人は得ですなぁ。弥市が大福餅の弥生さんを選んでくれてよかった!

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    投稿日:2020.02.03

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