菜の花の沖(六)

司馬遼太郎 / 文春文庫
(42件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
20
16
2
1
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • makabe38

    makabe38

    18世期末から19世期初めにかけて、廻船業者として活躍した、高田屋嘉兵衛の伝記小説最終巻です。
     
    前巻で長いページに渡って描写された、ロシアの歴史。
    その流れを経て、千島列島を南下していたロシアの軍艦と、嘉兵衛の商船との出会いから、この巻は始まります。
     
    日本とロシア。
    これまでの二国間の関係の経緯が、巡り巡って嘉兵衛の運命を急展開させることになります。
    その運命に対してどう、嘉兵衛が対応したのかが、最終巻の読みどころになっています。
     
    そしてこの巻でも、以下のようなことを学ばせてもらいました。
     
    ・自分は何をすべきかを理解し、その目標に向かって意志を保って行動することの大切さ
    ・精神的、肉体的に過酷な状況が続くと自らの精神を保つのが非常に困難になること、しかしそれができるかが、生死の分け目となること
    ・人は社会的立場に応じて、相手への態度を決めていること、反面、個人間の信頼関係はそれぞれの人格により醸成され、その信頼はときに、社会的立場を超える場合があること
     
    歴史というのは、つきつめていくと個人個人の判断・行動によって、積み重ねられてきたのですね。
    その片隅には自分自身もいるのだということに、気づかせてもらえた作品でした。
     
    『新装版 菜の花の沖 (5)』
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/416710590X
     .
    続きを読む

    投稿日:2020.09.08

  • 臥煙

    臥煙

    司馬遼太郎が江戸時代の商人高田屋嘉兵衛の生涯を描いた長編歴史小説全六巻。日露双方、文化、風土の違いはあれど分かり合える部分も多いのが印象に残る。

    江戸時代も後半、蝦夷地の開発が進む中、高田屋嘉兵衛はロシアとの争いに巻き込まれ日本が捕虜としたゴローニンの報復的にロシアに囚われる。

    あくまで一商人の嘉兵衛なのだが使命感や大局を見渡す視点など江戸時代の人々の文化的な水準の高さを表象しているように思える。言葉遣いや態度など司馬遼太郎は浄瑠璃の影響を指摘している。

    日本が初めて本格的に直面する近代国家の進出。硬直的な幕府の官僚と対象的な嘉兵衛の生き方、態度を現代社会に置き換えてみるとどうなるのだろうか。

    嘉兵衛の故郷淡路島。対岸の本州に送る菜種油の原料の菜の花が咲きほこる地。そして故郷を飛び出し船乗りとなる嘉兵衛。江戸時代の商品経済の勃興を象徴した題名。

    司馬遼太郎ならではの日本人論とロシア論も含め、間違いなく歴史小説の名作の一つでしょう。
    続きを読む

    投稿日:2020.08.20

  • マタン

    マタン

    このレビューはネタバレを含みます

    ついに読み終えてしまいました。
    故郷に足を踏み入れたいがために言語習得に
    熱を入れ、相手側からくる不条理には
    敢然と立ち向かった嘉兵衛。

    それはひとえに幼い時の経験が
    ものを言ったのだと思いますね。
    そうでなければここまで「庶民」としては活躍しませんもの。

    そのひたむきな心は当初は嘉兵衛たちに好意を
    持っていなかったものさえも変えてしまいました。
    (その後のほかの日本人の漂流時は
    その人は厚遇で彼らを救います)

    そして、すべてが終わった後の
    言葉のやり取り…
    間とかもうね、グッとくるものがありましたよ。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2020.01.19

  • smatoga

    smatoga

    司馬さんを悼む年忌のことを「菜の花忌」という。
    一個人にして、まだ国際交流、異文化理解という言葉も存在しない時代に、日露の架け橋となった高田屋嘉兵衛を主人公にして、江戸後期の北前船、ロシア情勢、蝦夷地の様子を描く。

    司馬さんがまだ戦車に乗っていた頃、対峙していたロシアというものを、「坂の上の雲」そして、この「菜の花の沖」で書き尽くしている。

    リコルドと嘉兵衛が言語の壁を超えてわかりあい、ゴローニンの釈放、帰還という歴史的事件を成し得たということにただただ感動してしまう。「タイショウ、ウラァ」というおらび声を後に、ディアナ号が去ってゆくさまは、胸に切々と訴えかけるものがあった。

    江戸時代という時代のどうにもならなささというか、仄暗さというか、ときに歯噛みしたくなるようなおもいを感じた。
    続きを読む

    投稿日:2019.07.13

  • gohwtnb

    gohwtnb


    最終巻。

    突如、拉致され、交渉、政治物語に。

    最後になって、国を背負ってる意識 → 大物感出ちゃうんだけど、ビジネスマンとしての円熟期は描かれず。^^; 読んでる感じでは、 4 → 6 に飛んで、あれ?っていう。

    そ、そういう話じゃないのか。

    そして、家業を息子でなく、離れた弟に継がせちゃうところとか、考え方が進んでる。

    でも、他の兄弟や息子はどう思ったんだろう?

    そして、嘉兵衛のいなくなった次代であっさり高田屋が失速しちゃうんだけど、その辺の関係者の心情も描いてほしかったなー。

    まぁ、でも読んでよかった。
    続きを読む

    投稿日:2019.01.04

  • あやごぜ

    あやごぜ

    六巻読了。

    まさに、この巻の為に、いままでの巻があったのだなぁ・・。という、感動の一冊でした。
    ロシア船に囚われた嘉兵衛(とその仲間数名)。
    ディアナ号艦長・リコルドと嘉兵衛の、探り探りのコミュニケーションから、お互いの人柄を信頼し合う間柄になっていくのが良いです。
    ラストの「ウラァ、タイショウ」「ウラァ、“ぢあな”(ディアナ)」の場面は、胸がいっぱいになりました。
    続きを読む

    投稿日:2018.12.27

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

本棚の開き方(スマートフォン表示の場合)

画面左上にある「三」ボタンをクリック

サイドメニューが開いたら「(本棚アイコンの絵)」ボタンをクリック

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。