【感想】ぼくらの近代建築デラックス!

万城目学, 門井慶喜 / 文春文庫
(23件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
5
8
4
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0
  • 建築に歴史あり、設計者にも歴史あり

    最近はめっきり出不精になってしまって、遠出することもすくなくなってしまったのですが、
    むかしはたまに建築見学なんかもしてました。
    古くからあるお寺や神社などの建築もすきですが、近現代の建築もすごく魅力的で好きです。
    この本では建築を近代のものに絞って、建築自体の歴史や設計者の歴史などを交えながら紹介してくれています。
    ただ、建築を見るだけでなくその建築のたどった歴史や設計者の歴史をしるとまた見る目がかわって、違った風にみえてくるのではないでしょうか。
    出不精を直して、またふらふらと歴史的な建築物を訪ねたいような気になりました。
    その時は事前に歴史や設計者なんかを調べてからいきたいなと思います。
    良い本ですのでオススメです!!
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    投稿日:2016.02.28

  • 建築好きの愉しいおしゃべり

    作家の万城目学と門井慶喜が、東京や大阪に現存する名建築をぶらりと探訪していく本書。建築家ではなくただの「建築好き」である2人なので、マニアックな専門話しではなく、愛する建築をいかに楽しむかが語られる。

    ほとんど事前の用意をせずに企画に臨んでいたという万城目に対し、門井は編集者のために下調べした資料を持ち込むという徹底ぶり。「ホームズが立て板に水のごとく喋るのを聞いて」いるようだと万城目が語るように、門井が建物の来歴や歴史的背景を詳細にアナウンスしていきます。そこに、個人的な思い出を絡ませた万城目の掛け合いが入ることで、読み物としても愉しく近代建築に触れられます。

    写真や地図といった資料も豊富。読後は実際に気になった建築物を訪れてみれば、より一層その味わいを感じられるはずです。
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    投稿日:2016.05.17

ブクログレビュー

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  • 7591

    7591

    行ってみたい建物だらけ。なぜ昔の建物は、人を惹きつけるのか。そこに歴史の物語があるからか。二人のトークも絶品。

    投稿日:2023.07.16

  • sachi

    sachi

    このレビューはネタバレを含みます

    本屋でペラペラ見て、東京編で兼松講堂と築地本願寺、という伊藤忠太建築を2つ取り上げていたためレジに直行。
    作家お2人のテンポよい会話が楽しい。門井さんが詳しすぎてびっくり。万城目さんのほのぼの相づち、突然炸裂する空想壁も作品世界を彷彿させて面白い。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.06.15

  • かな

    かな

    手元に置いておきたい本!図書館で借りたけど、買おうーっと!

    初学者に優しく、好きな作家さんたちが大阪・京都・神戸の近代建築についてお話ししてくれるのはありがたい!散歩に行きたくなるね。
    もう少し写真が多かったら嬉しいかなー。続きを読む

    投稿日:2023.06.03

  • 夕芽

    夕芽

    このレビューはネタバレを含みます

    面白かったなぁ。
    未知の世界の新しい扉を開いた感がすごくて大満足。
    いい本に出会えました。


    『ぼくらの近代建築デラックス!』 万城目学・門井慶喜 (文春文庫)


    何がいいって、案内人の二人が建築の専門家ではなく作家さんなところですよ。
    ボキャブラリーが豊富で、蘊蓄のひとつひとつにもストーリーがあって、とにかく楽しい。

    大阪、京都、神戸、横浜、東京、そして海の向こうの台湾まで足を延ばした建築散歩。
    それぞれが行きたい場所を挙げ、実際に行き、あーだこーだ言う、というシンプルな形式である。
    服装がラフすぎるのは(特に京都の万城目さん)“散歩”だからだな(笑)


    大阪の始まりの扉に、中之島の中央公会堂がでっかく写っているのが嬉しい。
    やっぱり大阪人には身近な近代建築だから。
    つい先日も、地階のレストランに行ったばかりだし。

    辰野金吾という近代建築界の巨人による設計である。

    赤レンガに花崗岩の白い帯が入る独特なデザインは「辰野式」と呼ばれ、大阪は「中央公会堂」、京都は「旧日本銀行」、神戸は「みなと元町駅」、東京は言わずもがなの「東京駅」と、聞けば誰もが、ああ、あれね!と分かる、万城目さん曰く「不動の四番のような存在」の建築家なのだ。

    大阪の中央公会堂は、たった一人の市民の寄付によって作られた。
    後に、老朽化により壊されるはずだったところ、市民が反対して、多額の寄付が集まり、改装して永久保存することに決まったのだそうだ。

    企業や行政ではなく、市民によって守られ、愛され、そして普段使いされている。
    普段使い、最高じゃないですか。
    この建築散歩の日も、オバちゃんたちのカラオケの歌謡ショーが行われていたそうだ。

    「大阪の宝やと思いますね」と万城目さん。
    たくさんの人によって建物が生かされていることに、感動する。


    さて、この本の中で私が一番好きなのは中央公会堂だが、それ以外にも印象に残っているものがいくつかある。


    まず、これはもう何と言っても、京都の「九条山浄水場ポンプ室」。

    なんだこりゃ(笑)
    辰野金吾と同期の片山東熊という宮廷建築家による設計である。
    うっそうとした山の中に、ひっそりと建つ、派手な宮殿……
    目の前には、琵琶湖疎水……
    違和感満載、実に怪しげで廃墟感が漂う。
    ドラキュラでも住んでいそうだ。


    東京編では、「一橋大学兼松講堂」が異彩を放っている。
    これも怪しい系(笑)

    設計者の伊東忠太は、無類の妖怪好きで、なんと妖怪に関する著作もあるそうだ。
    所々に妖怪チックな謎めいた獣のレリーフが施され、建物じたいも何やら異次元の匂いがする。

    ちゃんと調べてみると、国の登録有形文化財であるとか、音響が優れているとか、ロマネスク様式で何とかいう賞をもらったとかいう情報が出てくるのに、この二人にかかると、

    門井「いきなり期待に違わぬ面白さで先制パンチを喰らいました。」

    万城目「よく政府が許したもんですよね。黒魔術のひとつもやりかねないようなこの雰囲気を。」

    なんてことになるので楽しい。


    あと、神戸の「湾岸ビル」。

    「人馬一体、新旧セット、上下合わせ技のインパクト、見た目のショッキングさがすべて。」

    という、たたみかけるような門井さんの解説に、どんだけ言うねんとクスっとなってしまう。


    それから面白いのは、台湾の「宮原眼科」というお菓子屋さん。

    名前のインパクトもさることながら、使われ方が実にパワフル。

    「この店、近代建築であるということに全然甘えてないんですよ。」

    と万城目さん。

    これも、建物が使う人によって生かされている好例かもしれない。


    台湾のポンプ室では、ポンプの一個一個に、なぜかパンダのぬいぐるみがくくりつけられていたな。


    門井さんと万城目さんの楽しいやり取りの中で、時々ハッと心を動かされる言葉に出会うことがある。

    「大阪城は夕日が似合う。朝日が似合わないのは負け戦の城だから。」
         (「大阪城天守閣」)

    「石というのは、欠けるに任せるか、一から作り直すしかない、リニューアルのしづらい素材。」
         (「芝川ビル」)

    「非日常の存在になることで、存在を許されている。」
         (「大阪農林会館」)


    近代というのは、明治から太平洋戦争の終わりまでをいう。
    こんなにも個性の強い、癖のある、そしてお茶目な建築家たちが、日本の近代化を支えてきたのだと思うと、そのスケールの大きさに胸がいっぱいになる。
    それは、翻って、彼らが存分に才能を発揮できる土台がちゃんとあった時代だったということだろう。

    使う人とともに時代を越えてきた近代建築。

    いやあ、楽しい一冊でした。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2022.08.22

  • asai

    asai

    米澤穂信さんの本でお勧めされていたので読んでみた。建築という普段の私からは遠いジャンルだったけど門井さんと万城目さんの対話形式で読みやすくおもしろかった。門井さんものすごく博識。好きという気持ちだけでこんなに詳しくなれるものなのかなぁ。説明も分かりやすくて読んでいて楽しかった。続きを読む

    投稿日:2022.02.24

  • komagoma1

    komagoma1

    このお二人がなぜ近代建築談義を?と思いつつ、読み進めるうちに、面白いは面白いは。知っている建物もあり、そうでないものもあり。どれも、一度訪ねてみたいと思えてくる。
    綿業会館と御影公会堂は是非行きたい。

    投稿日:2022.02.02

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