【感想】湿地

アーナルデュル・インドリダソン, 柳沢由実子 / 東京創元社
(68件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
15
28
17
2
2
  • ほんとは国民の幸福度の高い国が舞台

    読んでて一番ゾッとしたのは、事件の真相もさることながら、捜査の過程で数十年ぶりに墓から引き上げられた少女の解剖結果だった。検死官からその事実を告げられた主人公が「いまなんと?」と聞き返すほどの衝撃度。そこで謎がより重層的になった。
    その一方で、犯人が死体になぜメッセージを置いていったのか、釈然としない理由だったのは残念。また、花嫁の失踪劇の顛末を見ると、わざわざ同時並行で語るテーマだったのかも疑問が残る。こちらはああいう真相ではなく、もっと別の家族の再生を示す話であれば良かったのだが。

    この本よりも前に、エリック・ワイナーの『世界しあわせ紀行』を読んでなかったら、なんてアイスランドっいう国は、性的倒錯者が多いことかと偏見を持ってしまったに違いない。実際は国民の幸福度の高い国なのに。

    そういえば同書にも、出会ったばかりの男と一夜を共にした女性が、翌日に親戚のパーティーで出くわし、「わたしまた、いとこと寝ちゃった」と悲嘆に暮れるエピソードが紹介されていて、アイスランドの近親性の高さを伺わせていた。
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    投稿日:2013.12.12

  • 北欧の小国アイスランドが生んだミステリー!

    北欧はアイスランドの作家、アーナルデュル・インドリダソンによるミステリー。
    そもそも、アイスランドは人口が32万人ほどの小さな国で、それゆえかミステリーの舞台としてはあまり適していないらしい。作者はそんな土地柄でも、世の中に知られていなかった犯罪が埋れているのではないか、見過ごされてきなのではないか、という思いから、特に性犯罪を中心に物語を紡いでいるという。
    本作でも特に暴行シーンなどはかなり詳細に描かれ、それが登場人物のその後にどのように影響したのか、といった点が一つのターニングポイントになっている。
    それにしても、海外作品の主人公は問題を抱えていることが多く、本作の主人公エーレンデュルも妻と離婚し、息子とは音信不通、娘は麻薬中毒とかなりひどい。海外の家庭って、これが当たり前なのか?と訝しくなってしまう。
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    投稿日:2014.10.28

  • 未体験のレイキャビックミステリー

    ムード満点の北の果て、アイスランドミステリー。
    中身は重苦しく、不気味。
    しかし恐ろしく読みやすく、ページがどんどん進む

    投稿日:2016.01.03

  • 深いミステリーだけどなんと読みやすい文章何だろう

    良い作品です。舞台はアイスランドで雨模様。寒くて暗い空気感の中事件が起き解決に思考を巡らす刑事が活躍する話で良くある構成なんですが、何層もの事件が過去と現在と未来が重なっていく様は深くよく練られており読み応えがありますが、なんとも読みやすく綺麗に頭に整理されていく感覚を味わえる良くできた本でした。欧州ミステリーで宗教抜きだからかもしれません。寒い冬におすすめです。続きを読む

    投稿日:2018.01.30

ブクログレビュー

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  • ぼじょまる

    ぼじょまる

    このレビューはネタバレを含みます

    ・あらすじ
    アイスランド レイキャビクの湿地にあるアパートで老人の死体が発見される。その場には謎のメッセージが残されていた。

    ・感想
    アイスランドのことなんにも知らなかったからカルチャーショックなこと沢山だった。
    えっそれ許されてるの?!って事が事件の鍵だったんだけどそれもアイスランドという国の特性、社会の在り方なんだな。
    名前、人名に馴染みがなさすぎて最初読むのに戸惑ってしまった。
    読了後にアイスランドについてすこしwikiったけどとても興味深い国だと思った(それまでは治安がいいことと幸福度が高いことしか知らなかった)
    「イアン・ランキンがどこかの国を知りたかったらミステリを読むといいと言っていた」という作者インタビューがあったんだけど、その意見にはすごく納得。
    私もほぼ読むのは海外ミステリーなんだけど、そこ(海外の生活や思考、習慣、文化、風習)を楽しみに読んでる気がする。
    (勿論フィクションということは分かってるし、誇張されてたり都合よく変えられてる所もあると思うけど)

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    投稿日:2024.03.03

  • 耕介

    耕介

    初めはなかなか進まなかったけれど…
    気がつけば引き込まれていった。
    雨のシーンなど情景が目に浮かぶ。
    ただ悲しい。

    投稿日:2023.11.23

  • JUANES

    JUANES

    昔のアイスランドの伝承文学〝サーガ″(子牛のなめし革に簡潔に書かれたもの)を目指しているそうで、とにかく無駄のない文章で書かれており、一気読みで読み進められます。
    作者曰く、「犯罪小説は〝人間の条件″を描く文学、即ち、ある人物が自分や周りの人々の人生を良くしようとしていた事、ないしはしなかったことを描く文学であり、常に自作ではそれを心がけている」とのことで、降り注ぐ雨の中、暗く重苦しい感情を持つ登場人物の生き様が綴られていく。
    必ず、次作を手に取りたくなるシリーズである。
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    投稿日:2023.10.04

  • chirolin

    chirolin

    このレビューはネタバレを含みます

    2013年版このミス海外編4位。
    暗いアイスランドの空(想像です)のような静かな警察小説。但し展開は早く読みやすい。
    妻に去られ娘は麻薬中毒というベテランの刑事が部下とともに殺人事件の真相を追っていく。
    殺された老人は、レイプで訴えられた過去があった・・・というところから展開していく話で、女性にはつらい部分もあるかもしれない。
    過去が明らかになっていくことにより、悲劇が起きたという真相は、痛ましく悲しい。

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    投稿日:2023.07.18

  • モモマサ

    モモマサ

    悪意は後に誰かに災いを引き起こす。
    悪い人間はそんなことは1ミリも感じないからどうにもならない。持って生まれたものか…その一族の因果なのか…どこかでおとしまえをつけないとね。
    正義はどこまで光を信じぬけるかだ!

    ぜひ〜
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    投稿日:2023.04.24

  • toridonjazz

    toridonjazz

    アイスランドミステリーは初。以前からこのミス等で評価良かったので気になっていた。
    20年ほど前の作品ということで少し古さを感じるも無駄の無い展開でストレス無く読了。シリーズは既に14作刊行、制覇は目指さないもののあと2〜3作はいってみようかな。
    アイスランド特有の名前(ファーストネーム)がスーッと入ってこないのは北欧小説あるある。
    続きを読む

    投稿日:2023.03.29

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