【感想】罪の余白

芦沢央 / 角川文庫
(131件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
14
47
46
13
1
  • とても切ない話しですが…

    予測してたより、かな~り面白かった~。
    関係者4人の視点で話が進むのですが
    中盤以降、目を離せない展開に!
    期待せず何気に手にした本が期待以上
    だと、スッゴい得した気分ですね(*´艸`)
    終盤を読んでる時は真夏日でしたが、
    背中をツツぅ~っと冷たい汗が流れ落ち
    ましたよ。
    ラストのオチも、僕好みのモヤモヤ感とは
    違いますが、あ~ゆ~締め方、好きです。
    とっても満足♪今夜はすっきり眠れそう
    です(๑´罒`๑)

    ※個人的に登場人物の早苗さんが好き。
     僕と共通点があるので♡
     (ある意味、空気読めない人ですが)
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    投稿日:2016.05.31

  • 木場 咲 という名の 「悪」

    わが子の死―――
    事故死なのか自殺なのか、子をもつ親であれば、誰もがその真相を知ろうとするだろう。その原因が、学校での「いじめ」であったと知った時、自分はどんな行動をとるだろうか。私も高校生の子をもつ父親として、安藤の復讐への思いに共感しつつも自問自答しながら読み進めました。

    「スクール・カースト」って誰が言い出した言葉なのだろうか。人間関係の序列なんて大人の社会にもある。子どもだけの世界ではないと思うのだが・・・
    自分が中・高校生だった頃も、女子はグループをつくっていた。男子以上に行動を共にすることにこだわっていたように思いますが、スマホというコミュニケーションツールが、昔とは異質な人間関係を産み出しているのかもしれない。
    そんな息苦しい人間関係に、木場 咲という「悪」が入り込み、いくつかの条件が重なり合えば、実際に悲劇へと繋がっていくんだろうなあ。

    自我同一性を確立する大切な青年期に、わが子には一人でも多くのよき友人、よきライバル、よき大人と出会い、ポジティブであたたかい人間関係を育んでいってほしいなあーと切に願いました。
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    投稿日:2015.09.26

  • 本屋で見つけて、衝動買い

    本屋で並べられてるのを見て、そのまま衝動買い(なので、電子書籍ではありません。)
    映画にもなるようで、表紙に惹かれて、あらすじ読んで買うことにしました。
    一気読みしました。
    最初に、自殺してしまった娘の心理描写があるのが良い。それがあるので、幾分か気持ちが救われます。
    おもしろい小説でしたが、テーマがテーマだけにやっぱり気持ちは沈みます。
    孤立をとにかく嫌うが故に、不幸の連鎖。10代ならではの独占欲、自分は特別と思い他人を見下す仕草。。
    客観的に読んではいましたが、振り返ってみると、30過ぎたおっさんの自分にも、まだそんな特有な気持ちって持ってるよなぁと所々で思う。色々、考えさせられます。

    また、境界性パーソナリティー障害を持つ人が現れてくるものいろんな意味で興味を掻き立てられます。
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    投稿日:2015.11.18

  • なんなんだろう・・・

    ある『事故』によって,妻の忘れ形見である娘がこの世を去った。
    茫然自失のまま日々を過ごすうちに,あるきっかけから娘の死の原因に疑問をもつ。
    本当に娘は自殺だったのか・・・。

    同級生や父親,その同僚の視点からの回想を経ながら,真相があきらかになっていく。
    その後に待ち構えるものは・・・。

    息苦しくなる内容なので,自分の娘が高校生ぐらいなら心配になるかってしまうかも・・・。高校生ってこんなに残酷だっただろうか・・・。でも,こういうのも特別ではないのかもしれません。
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    投稿日:2017.08.13

  • 罰と償いの間に余白はあるのかなぁ

    悲しいお話でした。4人の心理描写が巧みで交互に目線を変えて書かれています。立ち位置の違いで景色が変わる様を見事に表現されており、終盤の父の複雑な思い、許すのか償わせるのか罰を与えるのかなど決めるための罠、終盤の加速度は凄く、どんどん引き込まれます。このドキドキ感が中盤にあれば星5つです。続きを読む

    投稿日:2018.06.18

ブクログレビュー

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  • まつお

    まつお

    このレビューはネタバレを含みます

    屋上からの飛び降りにより
    亡くなった娘の父親が
    その理由を追求する復讐劇

    父親、娘、その友達、父親の同僚と
    大きく5つの目線で紡がれるストーリー

    文字がそのまま情景になるような
    とても読みやすいサスペンス。

    激情する父親と父親思いの娘
    人の心情を解すことができない同僚
    エゴにまみれた友人に自己肯定感の低い友人
    登場人物の個性が物語をなお面白くしている。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.03.24

  • コルベット

    コルベット

    これがデビュー作とは
    恐るべし。

    皆が皆こんなはずじゃ
    なかった、なんです。

    転落死した主人公の娘、

    彼女を虐めていた友人、

    母親にまで誤解される
    主人公の同僚、

    そしてもちろん主人公
    も。

    こんなはずじゃ・・・
    なんで?どうして?と
    とまどう心は、

    出口なき迷宮を彷徨う
    に似て、

    行けども行けども漆黒
    の闇ばかり。

    いずれ精根尽き果てる
    前に差し伸べられた手
    にすがればいいのです。

    その手は常に目の前に
    あるのに、

    手を伸ばせばすぐそこ
    にあるのに、

    暗闇の中にいるせいで
    全く見えないのが最大
    の難点ですが。
    続きを読む

    投稿日:2024.03.01

  • あーるてぃー

    あーるてぃー

    芦沢央の作品は、これまで『許されようとは思いません』、『悪いものが、来ませんように』、この2作品読んだことがあったのですが、そのときは、面白いけど、これを「素晴らしい!」と絶賛するのは、どこか抵抗があった。

    しかし、本作は、面白かった。
    夢中になって最後まで一気に読み終えた。

    「芦沢央、面白い」と素直に思った。

    今まで私は強がっていたただけではないか。
    芦沢央の作品を絶賛するって、どこか幼いんじゃないか、と。

    だから距離をとって、「もし学生のときに読んでいたら、とてもハマっていただろうな」なんていう、言い訳のようなことを言って、素直に認められず、強がっていたのではないか。

    そう思ってしまうほど、本作は、面白かった。


    “イヤミス”なんていう言葉があるけど、そんなふうに括ってはいけないように思った。

    確かに、嫌な気分にはなった。

    例えば、父親(安藤)が、ベタの殺し合いを見つめるシーンがあるのだけど、これが絶妙に嫌な気分にさせる。わざわざこんなの差し込まなくてもいいのに、と突っ込みたくなるほど。
    それまで“良いお父さん”のイメージだったのが、変わっていく。見たくない姿に変わっていく。憎悪に蝕まれていく様がとても不快。

    「“イヤミス”なんていう一過性のブームで括ってはいけない」、
    そう思ったのは、この不快な感じは、例えば30年後に読んでもきっと不快だろうな、と思ったからだ。
    それは『許されようとは思いません』、『悪いものが、来ませんように』も同様。

    嫌な気分にさせる作風というか、その技術というか、これは一過性ブームではなく、きちんと評価されるべきだろう。文筆力がなくては不可能な技術である。人の心をしっかり動かしている。


    とはいえ、「もうちょっとこうしてほしかったな」という、気になる部分もあった。

    咲という人物。
    「こんな女子高生、滅多にいないでしょ」と思うほど、強烈なキャラクターなのだが、こんな人物が生まれるには、家庭環境が大きく影響していると考えるのが自然だろう。

    しかし、家族、家庭環境という背景がほとんど描かれていない(なんなら、お母さんはごくごく普通の人)。
    なので、「突然変異的に生まれたサイコパス」のような存在となってしまっている。
    まぁ、それならそれでいいのだけど、家庭環境がどうなっているのかほとんど書かれていないのは、違和感があった。

    小沢早苗という人物に関しても、「そこまでロボットのような、無機質な性格である必要はあるのかな」と思ってしまった。
    小説を書くにあたって、登場人物に引きがあるキャラクターを与えるために用意した設定――そんなふうに見えてしまった、正直。作者側の意図が露骨に見えてしまうと、冷めてしまう。


    と、このように気になる点もいくつかあったけど、
    それと小説が面白いかどうかは、私個人としては、ほとんど無関係である。

    「細かいことは気にするな」、である。

    細かいことを気にすると、ほとんどの小説は楽しめないだろう。
    ミステリー作品なら尚の事。

    「細かい部分に引っかからないこと」、これは小説を楽しむコツ、小説を楽しめる人の才能だと思う。

    小説の面白さは“大局”にある。

    大局でみたときに、この『罪の余白』は大変面白かった。

    次の展開がどうなるか、ワクワクさせるって、もうそれだけでじゅうぶんです。すごいです。
    続きを読む

    投稿日:2024.02.16

  • オコチャ

    オコチャ

    娘・加奈を亡くした父親、その娘を死に追いやったであろう娘の同級生・咲を軸にした物語

    物語は転落していく加奈の心情から始まります
    加奈は死にたくないと思っているし、父親に対してもこんな事になってゴメンと思っている
    この加奈の気持ちを先に知らされているため、余計にこの後に書かれる父親の苦悩が心をえぐってきます
    父親の苦悩と対比で同じく悩んではいるが、それは自身の保身のためである咲の軽薄さ身勝手さが不快さを煽ってきます

    父親の同僚とし登場する早苗の存在は、この小説の各登場人物の心情パートを細かく繋げていく書き方にハマっていて、一見分かりにくい彼女の行動に人間らしさを現していたように感じました

    終始咲の言動に胸糞悪い気持ちにさせられますが、物語の後半からはグッと展開が早くなりサスペンス要素が強くなり惹き込まれました
    続きを読む

    投稿日:2024.02.08

  • Yasuyuki Suzuki

    Yasuyuki Suzuki

    最初の方は物語りになかなか入ってこれず、内容がわかりずらかったのですが、中盤以降、名前を偽ってお線香を上げに行く所からお話しがゾクゾクしてきました。
    終盤は手に汗握るやりとりが迫力満点でした。
    相当考える終わり方をして、全体を通してサスペンスフルな作品でした。解説を先に読まない方がいいです。ネタがバレバレでした。続きを読む

    投稿日:2024.01.26

  • おびのり

    おびのり

    先日のパラダイスクローズドにも登場した、熱帯魚ベタ(闘魚)。こちらでも、時折登場してきます。
    縄張りとか威嚇のモチーフかな。
    好きな作家の芦沢さん、10年以上前の作品ですが、女子高生達の軽薄な意識に悪寒を覚えます。
    本人は、決して死ぬつもりは無かったが、教室のベランダから転落死した女子高生。
    彼女は、何故死んでしまったのか。
    父親は、残されたパソコンの日記から、同級生から嫌がらせを受けていた事を知る。父親は、自殺と確信する。愛する娘を奪われた父親は、人生をかかけて復讐を決意する。
    親や家族の愛情さえ踏み躙る、女子高生の悪意ある行動。彼女達の正義はスクールカーストの保身のみのよう。
    この父親に寄り添う、人の感情を読み取ることができない同僚の女性が、興味深いのだけれども、
    登場が中途半端でもったいない。この病んだ女子高生と関わって、彼女らの罪に対する意識を変えて欲しかった。
    続きを読む

    投稿日:2023.12.01

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