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オルダス・ハクスリー, 黒原敏行 / 光文社古典新訳文庫 (86件のレビュー)
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総合評価:
ecot
80年前に書かれたSF作品とは思えない。
書籍は新しければ良い訳ではないことを、改めて感じさせられた一冊だ。 今から80年前に書かれた作品であることから、現在を詳細にイメージできていたかというと決してそうではない。 詳細にイメージされてい…るのは、人間の行動そのものだ。 このイメージを読んでいくと、80年という時代が経過したにもかかわらず、人間の進歩はないのではないかと思ってしまう。そのことから考えると、もしかして進歩が必要だと思っている我々が可笑しいのかもしれない。 日本では想像できない、気づいていない階層社会を、明確に記し、それにらについてどの階層が幸せで、不幸せであるかと言うことはないと記されている。 非常におもしろい、変かがないと言うことは、多くの人にとって幸せなことであり、それを上記のように記しているのだろうかと思えた。 何にせよ、この80年間を、そしてこれからの歴史を考える上でも読んでみると為になるSF作品だ。続きを読む
投稿日:2016.09.19
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ひまわりめろん
あーはいはい、そっちね、そっち系のやつね というわけで『一九八四』と並びたつディストピア小説の名作中の名作オルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』であります 『一九八四』が★5でしたからね!当然…こちらもって★2やないかーい!っていうね だってもう注釈が多すぎるよ>< ぜんぜん本筋が入ってこない でもうマ、ジ、で平均すると1ページに1回くらいシェイクスピアからの引用絡めてくるんだもん どうせ絡めるなら甘辛いやつでお願いしたい ストラットフォードの馬泥棒じゃなくて甘辛いやつ いやちゃんと読んだら面白いんだけどね そりゃもう面白いんだけど、面白いよりも「あーイギリス人だったらもっと楽しめるんだろうな〜」が勝っちゃうのよ! だってさ、こんなん今更ちょっとくらいシェイクスピアかじったところで追いつかないよ そんなん毎ページ毎ページ『オセロー』や『ハムレット』や『リア王』や『マクベス』引用されたらもうイギリス人じゃなきゃ無理じゃん!10年くらい3食フィッシュ&チップスと紅茶で過ごさな追いつかないじゃん こちとら甘辛いので育ったお出汁の国の人なんだもん お出汁でお箸だもん こうしてみんなイギリス文学の古典から離れて行くんだな〜ってのをあらためて思った一冊でした わいは大当たりもあるの知ってるからまだまだ読むけどねん続きを読む
投稿日:2024.02.25
ちゃり
このレビューはネタバレを含みます
社会の上層部が利益のほぼ全てを享受するユートピアを支えるためには奴隷の労働力が必要である。 とはいえ、奴隷にも幸せはある。労働後のささやかな報酬という形で。 そのような光景を描く本書はディストピア小説として今に知られている。労働力を自前で生産している点で、オフショア、グローバル化という言葉で奴隷の労働力のアウトソーシングを正当化した現代の筆頭資本者らよりも自助的であり、責任の所在を明確にしているといえる。非人道的な社会を描きあげた作家であっても、資本主義が要求する過酷なコスト意識を甘く見ていたか、見逃していた観がある。 つまり、現代はすでにハクスリーのディストピアを実現している。一部ではそれを超えてすらいる。 ボス敵と語る。 このシチュエーションはどこからやってきたのか考えたことがある。回答は得ていない。本書には相当するシーンがあり、考え抜かれた著者の思想を与えられたボス敵は揺るぎない。これも、よく見かけるものだ。主役は言い返せないが、勝たなくてはいけないので殴って勝つ。これもよく見かける。 本書の主役サイドの言葉はすべて理性的な反論を受ける。主役サイドはついに自らの言葉を失い、過去の権威にすがるが、それに対するこたえも考え抜かれている。ボス敵もまた過去に深く悩み考えた末に、現実を受け入れたのだと強く理解させられる。『ミストボーン』シリーズは最終的には好みではなくなってしまったが、この構造を持っていたことは好ましく覚えている。 主役サイドは言葉を失うが、殴りかかることはない。少年漫画ではないからだ。否、相手は絶対的な悪ではないからだ。その社会においては秩序善ですらある。 本書はまた、夢想家や革命家()に辛辣な言葉を投げかけているようにも見える。ある秩序の中で、その恩恵を受けながら、その秩序を否定する活動を行う。「働いてる感を出してるヒモ」という印象が、わかちがたくその印象に重なる。主役サイドはそちら側に属している。 人生は生まれにおいてすでに公平ではないと悟らせる以上の役割を果たせぬまま、主役の一人は去る。 宗教が信者に施す道徳教育は、ディストピア社会が社会を維持するために施した道徳教育と相似形である。いずれも他者を傷つけることもあるという点でもまた類似している。それを背負わされた主役サイドの一人は苦悩のあまり死ぬという物語の結末を担う。物語としての出来はよくないが、教訓としてはまあわかる。 本書解説には「学問のふりをする科学」について語られている。学問のふりをしたなにかが旗を振った結果が奴隷労働のグローバル化であるのなら、そこを改めない限り、いかに手を尽くしても虚しかろう。 ------------------------------ 読中、超人ロックの初期のエピソードが想起されてきて、その名の通り『新世界戦隊』で発火したのかなと読み返してみたら『ジュナンの子』と『ロンウォールの嵐』だった。 『ジュナンの子』には、出生時点で身体的に不利な特徴が出現しないようコントロールするようになった社会で不利な特徴が出現してしまった人々の苦難が語られていた。この構図に相似形を見たのであろう。 『ロンウォールの嵐』には、ナディアという女性が登場する。やりなおしがうまくいかず記憶を失ったロックの恋人だが、体制側のいうなりにロックを売る。ありように類似性を感じてしまったのだろうが、よくある人物像ではある。 本書には多幸感を与え多用すると死に至ることもあるソーマという薬物が登場する。『聖者の涙』には、そんな偶然の一致ではなさそうな影響が見受けられるような気がする。
投稿日:2024.01.16
パリの雨音
ユートピア、ディストピア、今の社会、どれをとっても、どこか似てたりして、こわいかもしれない。小説世界の今の社会はそれとはまた別にある。という構成にほっとする面を思わせる。
投稿日:2023.11.26
水戸充希
全ての人が与えられた役割に満足し、幸せを感じるよう教育された未来世界... 怒りも悲しみもない世界ってきっと楽だけど、ゾッとします。喜怒哀楽すべてが大切だと(根拠は言えないけれど、)感じているからか…しら? 主人公格の登場人物がちょいちょい変わるので、名前を覚えるのが少し大変でした。 あと、「アルファ・ベータ・ガンマ・デルタ・エプシロン」の順番を覚えていた方が、物語がわかりやすくなります。 また、シェイクスピア作品からの引用が多く、そちらにも興味がわきました。 約90年前に書かれたとは思えない新鮮さのあるディストピア小説でした。 文庫本表紙の並んだ顔のイラストも、中身を読んでから見ると「まさしく!」と言った感じです。続きを読む
投稿日:2023.09.17
lho
作中では時々、詳細な科学用語・物質名が引き合いに出され科学的にかなり発展していることが伝わり、その世界で宗教、文学、歴史が禁忌、禁書となっていることで「現在の我々読者の常識は非効率的な世界である」とい…う雰囲気が出ている。 しかし、性については野蛮人そのもので、誰とでも性交をするのが良しとされ、1人の人を愛する感覚がない彼らは果たして文明人と言えるのだろうか。 また、異様なまでにシェイクスピアが引用されており、SFを描くにしては過剰な著者の文学的趣向が滲み出てしまっているように思えた。続きを読む
投稿日:2023.07.27
公方丸梅牛
明るいディストピアな未来を舞台とした小説。ファスト消費、経済性、快楽主義を第一とする全体主義世界。1930年代に書かれたにも関わらず、ある意味現代社会を描いている様にも思える。著者による新版前書、解説…なども必読。続きを読む
投稿日:2023.07.02
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