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宮城谷昌光 / 文春文庫 (8件のレビュー)
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souta
吉川英治の三国志で描かれていた超人的な諸葛孔明のいない淡々とした物語は退屈だったが、孔明死後の自分の知らなかった物語が凄く面白く、十巻以降は一気読み。 三国時代の主役であった魏呉蜀、どの国も結局は統一…できずに司馬氏の晋が統一、この物語以降その晋も統一を維持できず南北朝時代に入り、漢人ではない辺境の野蛮人扱いされていた人々が隋や唐を建国。諸行無常。続きを読む
投稿日:2023.05.15
マッピー
このレビューはネタバレを含みます
遂に終わってしまった。 三国時代って、中国の長い長い歴史の中で一瞬のように短い。 蜀は二代、魏は五代、呉は四代しか続かず、その国の終焉はどれも自滅と言っていいようなもの。 才ある者の枯渇、権力者の専横、など。 滅ぶべくしてほろんだ王朝ではあるけれど、建国前から読んでいた身にすると、先人たちの苦労や偉業をふみにじるような愚かな後継者たちに忸怩たる思いがぬぐえない。 それにしても今まで読んできた三国志となんと違う事よ。 曹操の祖父の時代から書きはじめられたのは、幕末を描こうとして関ヶ原から描き始めたみなもと太郎にも通じるけれど、わかりやすくはあるけれど情報量が多すぎて、思考も行きつ戻りつしながらこの作品を咀嚼した。 桃園の誓いもなければ、赤壁の戦いにおける劉備軍の活躍もない。 そもそもこの十二巻の作品中、多分蜀の記述が一番少ない。 史実に残されるような出来事があまりなかったのだろう。(三国志を編纂したのは晋の時代) だから、フィクションにする余地が多かったのだな、きっと。 そして、これは中国に甚だしい特徴だと思うのだけど、誰かが出世すると一族みんなが優遇される。 これは儒教的なことなのかな。 そして、だれかが罪に問われると一族全員が族滅させられる。 だから権力闘争が命がけなのだ。 そして儒教的感覚では、上に立つものの指示に従うのが是であり、過ちを正すのは否らしい。 時代の違い、文化の違いを超えて、人の思いや行為って通じるものがあるんだなあと巻を通してしみじみ思う。 ああ、面白かった。 次はだれの三国志を読もうかな。
投稿日:2022.08.07
前多昭彦
第九巻で顕著だった人物(国)へ対する好悪の激しい筆致には低劣さを覚え嫌気がさしていた。今巻もいつ“それ”が現れるかひやひやしながら読んでいたが、全編宮城谷昌光らしいおだやかな、あくまでも『正史』に沿った淡々とした描写で安心した。 ただ一言で感想を述べれば、面白かった! 私としては特に蜀滅亡の件での鄧艾、鍾会、姜維三者の生き様(思惑)が面白く、楽しささえも感じた。 「王朝にかぎらず組織を立て直す近道は、益をふやすよりも害をのぞくことである」『蛇足』より。 「最悪の事態とは、君主が選択をあやまることではなく、決定をためらいつづけることである」『劉禅』より。
投稿日:2020.07.18
geta22
最終巻。 陰湿な登場人物が多い中で文欽、文鴦の親子はいかにも三国志的な登場人物。 最後にちらっと出てくる羅憲は知らなかった。
投稿日:2019.11.12
はじめ
司馬昭のおおらかさ、狡猾さ、総じて政治力が高い。 とうがいはある意味その犠牲者だが、高い能力と華々しい活躍の割りに最期が寂しい。 鍾会の野心とそれを利用する姜維の執念、面白いところだがあっさり。 劉禅はほんとうに暗愚か? 呉のぐだぐだはおなかいっぱい。
投稿日:2019.09.22
nyan0620
孔明亡き後の三国志はつまらないよ、と言われることもあるけど、この最終巻は興味深い。 後世、酷評を受ける劉禅とその選択はほんとうに愚かだったのかと思いながら、彼が、独り廟前に座り、劉備の霊と対話する姿…を想像してみる。 蜀という国は、弱小国だけども、いろいろな人を得て、流れ星のように、美しく出現し消えていったのでしょうか。 尾のない竜に乗って天に昇った夢をみたという孫休のしたたかさも面白い。 司馬昭には、新たな王朝を開く人の風格を感じる。 魏と呉の国境線での攻防も、曹操や孫権が健在だった頃の番外編のよう。投降や亡命という選択肢が、当たり前のようになっています。将軍たちの国への思いの質が変わっていったのでしょうか。 宮城谷さんの三国志は、重厚で興味深いものでした(私などでは深部まで読みこなせたとは思えないけど)。 それと同時に、曹操の人の能力を引き出す力と、孔明に出会って変化していく劉備は、どんな三国志でも、華だなぁと思いました。続きを読む
投稿日:2016.10.15
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