【感想】ビッグデータ・コネクト

藤井太洋 / 文春文庫
(56件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
10
23
13
5
0
  • サイバー犯罪の今がわかる

    新手の振り込め詐欺を追っていた京都府警の万田警部は琵琶湖湖畔で建設中の官民複合施設<コンポジタ>のシステム開発を指揮していた月岡の誘拐事件の捜査に駆り出される。犯人が送ったメールの送信元が、万田が追っていたPC遠隔操作事件で不起訴処分となった武岱修のアドレスだったからだ。武岱は濡れ衣を晴らすために万田の捜査に協力するのだが・・・・。

    今回の題材は個人情報。現在、リアル・バーチャルの両方で本人認証する為に我々は日々情報を渡しているが、本人の知らないところでその情報が売買され、更に付帯情報を紐付けして学歴や交友関係までもが暴かれているという実態を虚実取り混ぜながら話の中に盛り込むあたりは相変わらずうまい。またシステム開発案件の多重受け(5次、6次)や納品間際の仕様変更などIT業界に身に置くものにはあるあるネタも満載でさすが業界に詳しい作者の本領発揮といったところか。

    誘拐事件の真相を追っていくと業界の闇や今の社会制度や施策の盲点が徐々に浮かび上がる構成になっており、時事ネタも沢山出てくるので読んでいて大変タメになる。ただ後半は謎解きも含めてシステム・IT用語のオンパレードなので覚悟して読んでください。
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    投稿日:2015.04.17

ブクログレビュー

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  • don

    don

    藤井太洋。サイバー捜査官と過去にウイルスソフトに関わった容疑で勾留し、不起訴になったハッカーがITエンジニア誘拐殺人事件の捜査に挑む。捜査官は捜査への協力としてハッカーを監視することになる。
    エンジニアたちの過酷な労働環境などは作者の体験談なのだろうか。IT関連には明るくないが雰囲気だけでも楽しめた。黒幕が正体をあらわすのが唐突でもう少し腹の探り合いが欲しかった。続きを読む

    投稿日:2023.07.26

  • tomoca

    tomoca

    読み終わるまでに時間がかかりました。
    警察としては目の前にいる一番怪しく見える人を容疑者として逮捕したい、けれど本当の犯人は別にいる。現実の警察はきちんと証拠に基づいて捜査してほしいとは思うものの、犯人の手口が巧妙だとミスリードさせられてしまうのかもなあ。
    けれど、書き間違いやらなにやらで外字を使った漢字が何万件もあることには驚いた。
    まあ代表的な名字でも思い当たるものがいくつかあるし、そんなに珍しい話ではないのかも。
    結局最後の一文がどっちを示唆しているのだろう。守谷さんのことなのか、それとも武岱さんのことなのか。
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    投稿日:2023.04.26

  • kuu

    kuu

    藤井太洋さんの本は、知らない世界に自然と連れていってくれる。一気読みしてしまう。ITのエンジニアとか、中国の不可解さとか、システムネットワークとか、全く未知なのに、知りたい欲を楽しく満たしてくれました続きを読む

    投稿日:2022.12.17

  • vinland

    vinland

    このレビューはネタバレを含みます

    初期2作ほどの爽快感はないが、より現実に近い話だけに他人事とは思えない感じがする
    ITという新たなインフラも建築現場同様に多重下請けに依存する国の現実を突きつけられる

    話は中心人物がちょっとスーパーマン過ぎるために一気に解決に向かってしまう感じがある
    フィッシング詐欺とかもかなり面白い話題で、途中でわきに追いやられてしまうが、IT刑事ものとして連作としてもいいくらいの内容
    色々な問題が盛り込まれるために、軸としてスーパーマンが出てくるし、さらっと読むと理解が難しい

    メインのビッグデータの連結はすでにほかの国では現実となっているだろうことだけど、そうした社会の息苦しさを考えるとちょっとぞっとする

    この分野に精通して文章が書ける人は限られるので、続編をぜひ書いてほしいと思う

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    投稿日:2021.04.05

  • kozakura

    kozakura

    このレビューはネタバレを含みます

    勝手にもうちょっと硬派な内容を期待してましたが、怪人物が登場してややエンタメよりでした。本書が発売されてから5年以上経って、今の技術はどのくらい進歩しているのか興味が湧きました(それともあまり変わってない?)。一点、舞台が関西ということで関西弁の人が何人か出てきますが、取ってつけたようで終始気になりました。標準語でもいいような気もしますが。関西の方は違和感なく読めるんでしょうか???

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    投稿日:2021.02.03

  • noguri

    noguri

    出張のお供に小説を持っていきました。
    犯罪小説はあまり得意ではないのですが、
    テクノロジーな世の中になっているので、
    それに関連しそうなネタであって、
    ちょっと新しい著者にトライしてみたいということで
    この小説を読んでみました。

    ビック・データ時代に警笛を鳴らすような小説で、
    これからはますますデータを扱う人の
    倫理観が求められてきそうな小説です。
    著者はもともとIT業界出身のようで、
    至る所に出てくるテクニカルタームが素人には理解できません。。
    でも、小説の大枠はちゃんと理解出来て、
    スリリングな展開を楽しめるので、問題ありません。
    IT系の人なら業界のことをよく理解しているので、
    もっと楽しめるんでしょうかね?

    これからの時代、どんな人でもデータやAIなどとは
    切っても切れない関係になってしまうので、
    こういった小説で時代のニュアンスを感じておくのはとても良いと感じました。
    続きを読む

    投稿日:2020.10.22

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