【感想】ロスト・ケア

葉真中 顕 / 光文社文庫
(322件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
122
133
45
7
0
  • ミステリーだけど

    介護にまつわるある事件を、様々な角度から様々な登場人物が語る形式で物語が進む。
    ミステリーとしての展開は間違いなく面白い。読後感も悪くない。
    でも、何とかしたいと思う何かが心に残ったままで胸が痛い。
    謎解きの先にとてつもなく重いテーマがそっと差し出される、優しくて悲しい物語だった。
    著者の初の長編作品だそうだが、次回作が出たら必ず読みたい。
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    投稿日:2013.10.02

  • 現実にリンクした社会派ミステリーの良作

    老人介護を主題にした社会派ミステリーと一言で言い表すのは簡単ですが、主題と物語のバランスが素晴らしく、読み応えがあり、一気の読了でした。登場人物の検察官の大友とその「旧友」佐久間との関係が主題、物語にもう少しうまく絡んでいれば、という気がしないでもありませんが、無い物ねだりかもしれません。正直に言えば、今現在少々この主題に足を取られつつある我が身としてこの物語は全く他人事では無く、多分多くの人々にとってもそうであるであろうと思われるこの問題を見事に描写したこの作品を多くの人に読んで欲しいと思います。続きを読む

    投稿日:2016.05.17

  • 現実ですよ。

    私も寝たきりの父親を30代の時から介護しています。
    内容はまさに現実。一見豊かである日本ですが
    その陰ではすごく大変な思いをしている人がいる。
    ますます高齢化社会が進むこの国に重大な問題を投げかけていると思います。
    物語のテンポも良く一気に読めました。
    ぜひ皆さんにも一読して頂きたいと思います。
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    投稿日:2014.04.23

  • 究極の介護とは?

    地獄のような在宅介護の果てにある究極の介護、今の日本の介護を巡る問題をえぐり出しているという意味では骨太の社会派ミステリーと言える。その中にある本格ミステリー的なだましの要素はスパイス的な感じに捉えた方がいいかもしれません。とは言え、構成は緻密で、ほとんど無駄な部分はないことに驚かされます。読後の爽快感を求めるような類いの話ではありませんが、引き込まれるような文章力で一気に読んでしまいました。在宅介護の経験がない方には特に読んでいただきたいと思います。ここに書かれている現実は決して誇張されたものではないので・・・続きを読む

    投稿日:2015.04.05

  • 死んで嬉しいわけない、けれども…

    もともとはブログ「俺の邪悪なメモ」で人気を集めていた著者が、
    「第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した作品。

    地方裁判所で死刑の判決が下されようとしている犯人の〈彼〉は、なぜか微笑みを浮かべていた…
    戦後最多の犠牲者43人もの高齢者を殺した連続殺人犯、死刑判決の男がなぜ笑っているのか。

    男も裁判もどこかおかしい。傍聴席に座る被害者遺族たちは、少なからず救われた表情をしている。
    日本の介護事情の実情を、祖父の介護を経験した当事者である著者が、ミステリーという方法であぶり出した。

    サイコパスなわけでも、衝動に任せた犯行でもなかった犯人は、いったいなぜ異常なまでの殺人を繰り返したのか。
    決してあってはならない殺人事件に違う光をあてようとする名作。
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    投稿日:2016.03.03

  • 身につまされる

    介護の難しさ 悲しさ 辛さ 人間何時かは死を迎える
    何事もなくその時期が来ればいいが、そう行かないのが現状であります
    まさにこの小説はそこを突いたストーリーでした
    内容は濃くて、その都度納得しながら一気に読みました
    いま、何処かの家庭で現実にこの小説と同じような事が進行形である
    同じ境遇の方が読んだら、考えさせられる内容です
    続きを読む

    投稿日:2013.10.24

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ブクログレビュー

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  • はるなお

    はるなお

    「絶叫」「ブルー」に続いて葉真中氏のデビュー作「ロスト・ケア」を読んだ。社会問題である介護の地獄とミステリーを合わせて非常に読み応えがあった。

    投稿日:2025.06.17

  • highriver

    highriver

    介護の現場と家族の悲惨な現状を読んでいくにつれて気持ちが沈んでいく作品。
    2000年に導入された介護保険制度、それ以来約3年に一度の間隔で介護保険法が改正されているのを果たして国民の何割が知っているのか。この作品が書かれた時点から数度の法改正を経た現在、本作で描かれているような問題点が解決されたかといえば残念ながら未だに問題は山積だ。
    訪問介護サービスの報酬減や物価高騰により介護事業者の経営環境は悪化しており、2024年には過去最高の事業者倒産件数が記録された。現場の過酷な労働条件にも関わらず介護職員の平均収入は相変わらず他業態に比べて高くない。介護保険法によって介護報酬の上限額は決まっており、これを引き上げないことには介護職の給料は上がらない。しかし介護報酬の上限を上げるには私たちが払う介護保険料の増額や利用者の自己負担額の増加などが必要で、これまたハードルが高い。
    それにも関わらず要介護対象者は2020年時点で2000年の3倍になっており今後更に増えるのは明らかで、今年は団塊の世代が75歳以上となる2025年問題がある。
    介護の問題は多くの人がいずれ自分に降りかかってくる大問題だ。自分が介護を受ける年齢になった時にこの国がどうなっているか考えると背筋が寒くなる。
    続きを読む

    投稿日:2025.06.11

  • odenchi

    odenchi

    このレビューはネタバレを含みます

    前代未聞の大量殺人

    幸い自分はまだ経験していませんが、現場は生き地獄なんだなぁ
    殺人によって救われるなんて本当はあってはならないけど
    今の状況だと免れないのでしょうね
    改善されることはないのでしょうか

    読んだ後に映画も見ました。
    ちょっと違うけど映画は映画でお父さんに手をかけるところが壮絶でした

    レビューの続きを読む

    投稿日:2025.05.29

  • のび太ろう

    のび太ろう

    殺人鬼、斯波。恐ろしいけれど全く理解できなくはない。今、少子化対策がいろいろと話題になっているが、介護の問題はどうするのか?家族では無理だと思う。専門家に委ねたい。そのための政策はどうするのか、私の行く先に自分ではどうしようもない切ない未来が待っているような気がする。続きを読む

    投稿日:2025.05.24

  • クルテク

    クルテク

    高齢化社会に生きる私達には、避けて通れない「介護」がテーマであり、自分がこの状況になったら…と考えながら読み進めた。
    登場人物、佐久間のようにズルができる所ではズルして当たり前という考え方もどうかと思うが、大友のように杓子定規に正義を追求していく姿にも怖さを感じた。
    以前、著者の「灼熱」を読んで面白かったので、こちらも読んでみた。他の作品も読んでみたいと思った。
    続きを読む

    投稿日:2025.05.17

  • aya1124

    aya1124

    介護、考えさせられる
    する側の年齢になり、される側の年齢にも
    近づいている
    迷惑はかけたく無いし、正直言ってかけられたくもない。迷惑と思ってしまう事もあるだろう
    国のシステムか誰のせいか?格差はどの年齢にもあって、親も家も学校も生まれてから死ぬまで格差の中で生きている
    最後は自分の意思で決めたい
    続きを読む

    投稿日:2025.05.13

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