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佐藤愛子 / 文春文庫 (1件のレビュー)
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ゆう
佐藤愛子による、佐藤愛子の一族の話、「血脈」。 シナとの間に二人の娘が生まれてからも、兄弟の悪戯の後始末をし続けなければならない紅緑。自身が流行作家になりつつあっても未だ仕送りを要求する長男ハチロ…ー、口先ばかり達者になり弁は立つが大嘘つきの節、幼い頃に人に預けられ肉親の情を知らずに育った兄弟の中では1番真面目だが無気力の弥、同じく生まれてすぐから父と離れて育ちその場凌ぎは出来るが根気や目標が皆無の久。 紅緑は自らの業や息子達の一生を怒り、その怒りや悲しみややる瀬なさを文字を連ねることで昇華していく。 文中に何度となく紅緑の日記が挟まれてくる。 結局、夫である紅緑に愛情を感じず、愛着と呼べるものも持てないシナが、老いていくに従って何かしらの感情を紅緑に持ち始めているのではと覗わせる箇所が切ない。 老いた紅緑に、小説を書くのをお休みしてはどうですか、とシナが薦め、それに「うん」と頷く紅緑。地下鉄でこの箇所を読み、不覚にも涙をこぼすところであった。続きを読む
投稿日:2005.09.26
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