椎名誠 / クリーク・アンド・リバー社 (8件のレビュー)
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総合評価:
猫式
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表題の小説一本とエッセイ
表題作が目当てで購入しました。「地獄の味噌蔵」はかつて存在した関西テレビの深夜ドラマ枠「DRAMADAS」でドラマ化されたことがあります。うろ覚えですが、ドラマ版は主に味噌蔵に幽閉された活字中毒者側…の視点で展開し、幽閉した側(多分小説家)との心理戦やトリッキーな駆け引き、立場の逆転などがとても面白く、いつか原作を読みたいと考えておりました。しかし、このドラマ版を視聴したことのある人が本作を読むとがっかりするかもしれません。原作は幽閉した側(編集長)の視点で語られ、幽閉された側(雑誌発行者)との「戦い」がある訳ではなく、あまりにも一方的に淡々と話が進み気持ちの悪さが残るラストになります。本作をドラマ化した人々は、そのシチュエーションに圧倒的な魅力を感じながら、こういった展開に物足りなさを感じたのかもしれません。巻末のあたりに本作の裏話的なことがわかる対談や電子書籍版のあとがきなどがあり、楽しく拝見しました。 残念なことに、小説は「味噌蔵」だけでこれ以外はエッセイで、内容は本や雑誌などの出版物について書かれたものです。新聞と同様に興味のある記事や小説のみ拾い読みされる文芸誌、それを完全読破しようとする「文藝春秋10月号四六四頁単独完全読破」、「暮らしの手帖」のように各社の文庫本を様々な角度から検証する「文庫本をテストする」などが特に面白いと感じました。他にも古本屋店主との攻防、電車内で他の乗客にのぞき読みされた時の独特な心理、出版業界への憂いや怒りなど多様なものが掲載されています。 最後に、読んでいて気になった事があります。本書は1970年代から1980年代初頭に書かれているだけあって、当時の人にしか(あるいは時代性は関係なく著者ご本人にしか)解らないような言葉がたまに出て来ます。例えば「単純本ナマ的な思考」などは辞書をひいてもインターネットで検索しても出て来ませんでした。こういった言葉にはそろそろ注釈が必要なのではないでしょうか。そういう意味では読者に不親切な本です。続きを読む
投稿日:2015.04.16
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midnightwakeupper
このレビューはネタバレを含みます
前線で学徒兵が読むものがなくて薬瓶の細かい文字を繰り返し読んだというエピソードから表題作は発想したのだろうか/『本の雑誌』という外に職のあるものが無給で編集していた季刊誌の6号に椎名が書いた原稿が目黒(発行人)にボツにされた(編集長は椎名)恨みの意趣返しであるが、大人気のためにこの文庫版の「解説」で空想と断っている。読書家にとって自分を超える濫読者を弾圧するのは密かな願望か/書籍発行部数は’88年、雑誌も’91年ピーク。活字組版から写植への移行でカンブリア爆発した「本」を扱い古典・イデオロギー埒外の娯楽化
投稿日:2023.10.27
kaze229
十何年か前に 単行本で読んで 「いゃあ 快感だったなぁ」 という記憶だけが残っている そし この度 文庫の形で読み返してみましたが やはり 面白い それと 後半の「雑誌」の章(?)が秀逸、 ほと…んどの雑誌が廃刊になってしまった 今の時代から俯瞰すれば ここで紹介されている有名、無名なものの 紹介が貴重なその時の文化遺産的に 読めてしまえるところが また シーナさん的で やはり 面白い続きを読む
投稿日:2021.08.25
smatoga
読み終わったとしているものの、ホン一冊を読み終わったわけではないのです。タイトルになっている作品と、いくつかのエッセイを読み終えただけなのですが、椎名さんの本はどうしても時代が後ろにあるから、同時代を…生きていないものとしては、なんとなく本質に届かないなぁという感想を持たざるをえないのです。 サラバ国分寺書店のオババを読んだ時にも(気分はダボダボソースだったか?)、国鉄というものがわからなくて(もうJRでしたから。)エライ難儀した記憶がある。 もだえ苦しむは、もはや冒険小説といっても過言ではないくらいに、現実を離れていて、かつその舞台が昔住んでいた五日市線沿線というのが素敵でした。ナルベク早くネなんて表現は嫌いじゃないなぁ。基本的に好きなんですよ、昭和軽薄体。そんなことをスルドク思いつつ、眠れないのです。続きを読む
投稿日:2018.10.07
香菜子(かなこ/Kanako)
椎名誠先生の作品はあまり読んだことがなかったけれど、内容が面白くてあっという間に読み終えてしまいました。それにしても、もだえ苦しむ活字中毒者地獄の味噌蔵なんていうタイトル、凡人にはとても思いつきません…。続きを読む
投稿日:2017.07.30
H.Sato
筆者は1977年から79年くらいまで、本の雑誌の編集長をしていた。その間に書いた読書に関するエッセイ。面白い。 本を読まない人間は馬鹿になる。 男なら、1日7冊。 全集というのいは、大仰な割にはあまり…読まれないものである。 本というのは読まなければダメなのだ。本というのは読まれなければ生きていく甲斐がないのである。 本屋は常に礼儀正しかったそうだ。続きを読む
投稿日:2010.06.25
tibakuro
本書は恐怖小説である。心臓の弱い人は読んではならない。 『本の雑誌』編集者である著者(椎名誠)が雑誌発行人めぐろ・こおじ(活字中毒者)を罠にはめ味噌倉に閉じ込めるという復讐劇である。外界から閉ざされ一…切の活字を与えられなかっためぐろ・こおじの精神が崩壊していく描写がすさまじく戦慄を覚えた。監禁→禁断症状→調教というSM要素をふんだんに交えたサイコホラー小説でもある。それはともかくこの小説が黒澤清監督で映画化もされていたとは知らなかった。http://www.geocities.jp/positionwest3/04_jyouei/index.htm DVD出ないかなあ…続きを読む
投稿日:2005.05.18
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