【感想】アルスラーン戦記1王都炎上

田中芳樹 / らいとすたっふ文庫
(45件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
15
9
14
2
0
  • 「無益なつくり話」の持つ魅力

    最近荒川弘のコミック版も出て、再ブームの予感?なアルスラーン戦記。
    原作電子版の出版を心から嬉しく思う。

    久しぶりに読んでみて、やはり面白い、と思った。
    どういう思いが、こういう面白さを生み出したのだろうと、「あとがき、みたいなもの」という著者の後記を読んでみた。

    田中芳樹は12世紀イギリスで書かれた「ブリテン列王記」という架空の「歴史書」を楽しく読んだらしい。そして

    むろんこれは歴史事実に反するお話(ロマンス)ですが、作者のモンマスという人は、堂々とこれを歴史書として発表したのでした。
    彼はこの架空の「歴史書」をつくりあげるのに、たいへんな努力と苦労をかさねげあげたようです。
    私は右の話がたいそう気に入っています。つくり話も好きですし、無益なつくり話をつくるのに情熱をそそぎこむような人間も好きです。
    政治目的がからんだり、権力者にこびたりするための捏造はいやですけどね。

    と語っている。これが、アルスラーン戦記や銀河英雄伝説を描く原動力なのだろう。
    ふと、「無益なつくり話」という言葉が心に響いた。

    書物を書く以上、書きたいことがあるはずだ。
    それが誰かに、何かに、「益」をもたらすものであれば嬉しいと思うのが人情だろう。
    が、それは時として政治目的がからんだり、権力者にこびたりする捏造になってしまう。
    そうするとお話(ロマンス)として面白くなくなってしまう。

    そう思うと、「無益なつくり話」というのは、純粋に人の心を動かし、喜ばせるための物語ということだろうか。
    そういうことに情熱をそそぎこむというのは、確かになかなかに素敵なことだ。

    本書は中世ペルシアをベースとしながら、古今東西のさまざまな歴史要素をつめこんでいる。
    そのため、何らかの智慧や教訓を引き出す読み方もできると思う。
    だが、著者の願うところは、何かの役にたてるためではなく、純粋に物語を楽しんでほしいということか。

    2巻に入って、この1巻のあとがきを思い出しながら読んだ。
    王都を追われ、逆境にある未熟な王子アルスラーンの味方をするというのは、
    多くの登場人物たちにとって益になるのかどうか、よくわからないところだ。
    そして、読者にとって、アルスラーン戦記を読み続けることがどういう益になるのかもよくわからないところだ。
    だが、人生とは何の益になるかわからないことを繰り返しながら、その中に喜びや悲しみを見出していく。
    そんな意味で、こうした「無益なつくり話」を読んでハラハラしたり、喜んだりすることは、
    それもまた人生の意義を感じることではないだろうか?

    回りくどい言い方をしたが、ストレートに言うと、

    面白い小説だから読んでほしい

    ということだ(笑)
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    投稿日:2015.01.10

  • まず完結させて欲しい

     出世作である「銀河英雄伝説」以降、田中芳樹が希代のストーリーテラーである点は疑いようが無いと思う。
     また、どこかで作者が書いていたことであるが、「今の出版業界では書きたいものを書きたいというのはおかしい」というのもまあ分からなくも無い。

    それは良い。そこまでは良いんだが、
    だったら、作品ちゃんと完結させろよ、と。
    「創竜伝」は既に完結不可能な領域に達しているだろう。
    「銀河英雄伝説」「マヴァール年代記」は完結したが、それ以外のシリーズ作品で完結したものが原案のみの「野望円舞曲」「KLAN」だけというのは(まあKLANは1話目のみ田中芳樹作ではあるが)あんまりではないか?
    本作の他にも「タイタニア」「七都市物語」「灼熱の竜騎兵」「自転地球儀世界」などが未完成のまま残されているのである。

    「書きたいものを書きたいようにかけない」と言うのは良い。だが、シリーズである以上完結させるつもりで書くというのも作者の責任では無いだろうか?
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    投稿日:2015.01.11

  • 生きている内に完結するのだろうか?

    初めて1巻が出たのが2X年前(古すぎて)で、
    未だに完結しない......(´・ω・`)
    作者いわく2部構成です。

    10巻で第一章完結で、現在14巻。
    東京オリンピックには完結してほしい......(´・ω・`)
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    投稿日:2015.03.01

  • なつかしタイトル

    銀英伝、創竜伝、マヴァール年代記…あの頃は田中作品に夢中だったなぁ、と思いきりなつかしんでしまいます。アルスラーンは続刊中
    だったりしますが、風塵乱舞や征旗流転辺りが非常に面白いので、今から初めて読む方には是非とも続けて読んでもらいたいと思います。(改行が変になってしまった・・・)続きを読む

    投稿日:2015.01.04

  • 続きが気になります

    アニメを観て、続きが気になり、次回放送まで待てずに、原作を読み始めました。
    読めば読むほど続きが気になり、1巻、2巻、3巻…とドンドン読み進めてしまいました。
    アニメから入っているため、人物像や世界観が想像しやすいせいもあるかもしれませんが
    話が面白くて、途中で止められませんでした。
    既刊分の電子化は、とにんかく早く進めて欲しいです。
    続きが気になって仕方ありません。
    続きを読む

    投稿日:2015.05.08

  • アニメからのスタート

    再放送してたアニメを見て、原作を読んでみることにした。
    1巻を読み終えて驚いたのが、初版が1986年ということ……。

    この作者の作品には長々と続いていて、完結していない作品が他にもあったはず!
    無事に完結するのだろうか?

    話自体は面白いと思うが、完結するかどうか見えない部分があるので、評価は抑えめ!
    続きを読む

    投稿日:2016.07.15

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ブクログレビュー

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  • tanaka9999

    tanaka9999

    1986(昭和61)年発行、角川書店の角川文庫。架空歴史小説でペルシャ風。この地域のモチーフとした舞台というのは珍しいと思う。「オリエンタル」ってこんな感じなのかな。しかし、少し超自然的な存在を仄めかされていてちょっとな。実際には中世代は神の奇蹟を含む魔法的な力というのは信じられたし実在したといってもいいのだろうだが、小説の中に実在する力として入れられるとな、という思いが。以前は、このせいで途中でやめてしまった記憶が。とりあえず、今回は読み通そうと思う。

    他:「あとがき、みたいなもの」
    続きを読む

    投稿日:2022.05.21

  • yoshio2018

    yoshio2018

    アルトパテネの会戦で敵の術に落ちたパルスの騎兵は、深い霧の中に進撃して、断崖から落ち、油で焼かれ、矢で射られた。一瞬で多くの兵士が亡くなり、国王と王妃が囚われ、パルスの国が滅亡した。王太子のアルスラーンは、大将軍ヴァフリーズの甥の万騎長ダリューンに助けられ、辛くも戦いの地から脱出した。若いアルスラーンの成長を見守ろう。続きを読む

    投稿日:2022.02.21

  • akiuwa

    akiuwa

    [自宅]

    なんと懐かしい!
    図書館で銀英伝の特集コーナーを見つけ、久しぶりに懐かしいと思い読もうと思ったが、、、、"黎明伝"などよくわからない副題?副シリーズ?にどの順に読めばいいのかがよく分からず調べてから読み直そうと断念。

    でもそのきっかけで、昔懐かし小中時代に読み漁った田中芳樹シリーズのうち、まずはアルスラーン戦記から読み直そうと読み始めてみた。

    このシリーズは昔読んだ「角川文庫」シリーズ。この天野喜孝さんの絵にもハマったんだよな。菊池秀幸さんの「吸血鬼ハンターD」の挿絵もそうで、どちらが先だったかわからないけど、きっと天野さん繋がりでどちらかも読み始めたはず。

    こうして本来のシリーズに加えて、"出版社名"などのシリーズを意識しなくてはならないのは、30年という時の流れのせい。どうやら自分の知るこのシリーズから、途中紆余曲折を経て、光文社にて完結していたらしい。しかもその移籍先の光文社でも、「カッパ・ノベルス」シリーズと「光文社文庫」シリーズがあり、前者は角川からの乗換時にあたって再版となる従来の10巻を2巻づつまとめ、新刊となる11巻からは単刊とした丹野忍さんによる挿絵のシリーズで、後者は恐らくは完結が見えて来た?2012年から、山田章博さんの挿絵によって全て単刊発行されたもの。

    実際今回読んでいるのは10巻までは「カッパ・ノベルス」で、11巻からは期せずして「光文社文庫」シリーズ。とりあえずストーリーを読みたいから挿絵は我慢するけれど、やはり本当なら天野さんか、まだ世界観の近い丹野さんのイラストで全巻読み通したかったな。
    続きを読む

    投稿日:2021.07.04

  • nattak

    nattak

     高校生の頃に読んだアルスラーン戦記を、たまたま古本屋で見つけたことから読み始めた。歴史小説を読んでいるような感じ、たしかに筆者もペルシアをイメージしたと書いている。やや薄っぺらいような印象がないではないが、それでも読みやすいし面白い。続きを読む

    投稿日:2020.01.19

  • となみとしょかん

    となみとしょかん

    この本にはたくさんの登場人物が登場します。そしてこの本は感情がよく伝わる文章になっていて同情してしまうことが多々あります主人公であるアルスラーンがどんな風になるのか楽しみです。

    投稿日:2019.01.12

  • 読生

    読生

    父は脳筋であったか…。
    敗北を知らないということは怖いことですね。
    取り返しがつかない。
    その恐ろしさを知らないから、新たな知識を得ようともしない。
    だからつまり脳筋なのか。

    20年以上前に読んだのですっかり忘れてる。続きを読む

    投稿日:2018.07.15

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