星を継ぐもの

ジェイムズ・P・ホーガン, 池央耿 / 東京創元社
(756件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
322
244
105
13
3
  • コレぞSF!が読みたい方へ

    初めて読んだ時はこんなにもセンス・オブ・ワンダーに溢れたSF小説がまだあったのかと感動しました。とにかく導入部の謎が奮っていて「月面で発見された五万年経った宇宙服を着た死体」たったこれだけ。たったこれだけなのですがこの遺体を調べるうちに次々と判明してくる新事実に世界各国から集められた科学者、技術者たちは自分達が立てた仮説を覆されて行く。このスクラッチ&ビルドが実に楽しく今度こそこれが真実だと納得した瞬間に新たなる事実や矛盾が提示され再考をせまられる、正に推理小説の様な展開。そして徐々に見えて来る太古から現在へと続く太陽系の本当の姿と人類起源の謎。多分、最後まで読まれた方は、最初の謎の提示からどれだけ遠くに来たんだろうと感嘆するとともにコレぞSF!という満足感で一杯になると思います。

    ホーガンは新たなテクノロジーがもたらすメリット・デメリットが人類社会に対してどのように影響を及ぼして行くのかをシュミュレートしている作品を多数書いています。暗い未来や世界を描いた物語が溢れて返っている昨今では珍しく科学がもたらす明るい未来を描く作家で、科学的・理性的であれば人は人類はいくらでも繁栄していけると思っている節があり(笑)、ある種この能天気な作風が私は好きでかなり彼の作品にはハマりました。

    とにかく判官贔屓ならぬホーガン贔屓の私としては是非とも本作から続くガニメアンシリーズをまずは読んで頂きたい。その後は「創世紀機械」「未来の二つの顔」「未来からのホットライン」「断絶への航海」などなど単発物も多数ありますのであなたも彼が描く人類の理想郷へ誘われてみませんか。

    ✳︎東京創元社のHPに載っていましたがこれから毎月ホーガン作品が電子化されるそうです。 
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    投稿日:2014.12.11

  • 謎から浮かび上がるものは?

    月面にて発見された遺体から判明していく事実。そしてその事実から生まれてくる新たな謎。加えて木星の衛星「ガニメデ」で発見された宇宙船から浮かび上がる事実や謎。これらの事象から、登場する研究者たちは、やがて一つの仮説に行きつくこととなる、というストーリーです。

    SF映画の影響からか、派手な戦闘シーンや化け物のような宇宙人が出てくるのかなと考える方がいるかもしれませんが、そのようなものは一切ありません。知的な考察を展開していくにもかかわらず、難しいと感じることは無く、むしろ次はどんなことが分かっていくのだろうという、ワクワク感があり、とても面白かったですし、推理小説を読んでいるような感覚で読むことが出来ました。

    SF好きの方にはもちろんの事、推理小説が好きな方にも読んでいただきたい作品です。
    なお本作の続編に、「ガニメデの優しい巨人」「巨人たちの星」「内なる宇宙」がありますが、本作は一応切りの良いところで終わるようには、なっております。しかし続きが気になります。私個人としては非常に面白いと感じた作品ですので、続編も読んでいきます!
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    投稿日:2014.12.21

  • 好奇心さえあれば…

    うぅ~む、1980年に出された作品と
    思えば?発想はスゴいとは思いますけどね。
    発見された様々な事象をただただ検証して
    いく様子を書いてあるだけ、とも言える。
    こりゃSFに興味なきゃ「お経」を読んでる
    ようなものでしょうね。
    僕も途中くじけそうになりながら、
    わずかな好奇心のみで、やっとのことで
    ラストまで読み上げました。
    ちょっとつらかった(+o+)…
    しばらくSFからは遠ざかりたいかな。

    ※これ読む側より、書いた作者さん自身が
    SF好き過ぎて、自分が楽しんでるような
    気がしてならないのは僕だけ?(*´艸`)
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    投稿日:2016.07.11

  • SFという歴史の読み方教本

    昔、ゼミの教授が言っていた。「100年前、200年前を読むのに、今の時代の価値観を持ち込むな」。
    そりゃそうだ、当時と今とでは考えなど全く違う。例えば、人権という言葉がここ百年程度で出てきたというように、昔と今とではモノの捉え方が全く違う。
    歴史を捉える上で重要なのは、まっさらな思考と、事実の確認と、事実の統合により導き出される仮説の横並べだ(と個人的に思っている)。
    でなければ、人類の歴史を明後日の方向に解釈してしまい、とんでもない言説などに行き着いたりすることが往々にしてあるものだ(と個人的に思っている)。

    さて本作は、そんな歴史の正しい読み解き方をハードSFという形で提示してくれる、非常に興味深い一冊だ。
    中心に巨大な謎が提示され、その中心の外枠を、一つ一つのパズルピースを当て込むようにして仮説の波が立っていく様が堪らなく面白い。
    まさに試行錯誤、思考錯誤でも良いが、その繰り返しによる有力な仮説の導き出し方は、読んでいて手に汗握るものだ。
    今まで頼っていた理論をちぎっては投げ、ちぎっては投げ…… 最後にたどり着く結論は?

    電子書籍リーダの明かりは抑えめに、夜空を見つつ読むのも素敵……かもしれませんよ。
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    投稿日:2015.05.11

  • 人類の祖先なのか?または異星人なのか?

    SFの代表作との知識で読み始めましたが、ミステリー感覚で楽しめる作品です。
    初めてSF作品を読んだのですが、状況解説が少しマニアックすぎて読みにくかったので
    前半の部分を飛ばし読みした。このあたりストーリーに関係ない部分をもう少しシンプルに表現できていればと残念に思い
    ★4つにしました。ですが中盤から新たな事実が判明してくると面白さが
    一気に倍増します。ここからは推理の方が状況説明のくどさを消してくれたので
    読みやすくなり一気に入り込めました。

    読み終えると、なるほどーという満足感がある作品です。

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    投稿日:2015.02.09

  • アンリアル科学を超リアルに表現

    ______________________________________________________
    (あらすじ)
    人類の生活圏は月へと拡充され、他の太陽系惑星の開拓も始まりつつある近未来。月で宇宙服を着た1人の死体が発見された。
    放射性炭素年代測定法の結果、なんとその死体は5万年前の人間であることが判明する。
    原始時代の人間がなぜ月に!?しかも宇宙服まで装着して!!
    チャーリーと名づけられたその死体の謎の解明と、遠い過去の真実を紐解く調査プロジェクトが始動する。
    ______________________________________________________

    まさにハードSFの金字塔と呼べる作品です。

    物語の大半がチャーリーの謎の解明に向けたデータ収集、解析、議論で構成されており、最終的に導き出される真実を除き、目を見張るような展開はほとんど見られません。
    しかし、その真実の解明に至る科学的アプローチが非常にリアリスティックに描かれている点が、この物語の大変面白い所。
    各々の見解に対する論理的・科学的な根拠が常に求められ、突然それまでの解釈と矛盾するデータが取得され、そのせいで進展といえば3歩進んで2歩下がるような具合で、時に地味で退屈な議論が長々と繰り広げられる。こう言った、なかなか思うように事が運ばない困難さも含め、現実世界の探索調査や研究開発の様子がものすごく生々しく描写されている作品だと感じました。

    最終的に導き出される結果に期待を膨らませる事もさることながら、そこに至る泥臭いプロセスも楽しむ事が出来れば、大変読みがいのある物語です。じわりじわりと真相に迫っていくさまに、いつしか我々読者の興味が引き込まれていくことでしょう。

    なお、連作の第一巻に相当する本作ですが、本作のみでも十分に満足する完結を迎えられます。
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    投稿日:2015.03.25

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ブクログレビュー

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  • tthiro

    tthiro

    このレビューはネタバレを含みます

    月で5万年前に死んだとされる死体が発見されて、その謎を解明していく話

    本格SFと言った感じで、専門用語だったり説明文が多くて、中々読むのに苦労しました。

    後半の謎が解き明かされる部分については前半よりも読みやすくて分かりやすかった。

    評判が高い理由はわかる気がしましたが、個人的にはもう少しわかりやすくて読みやすい方が良かったかな。

    最後の終わり方は割と好きな感じでした。

    少し難しい部分もあるのですぐに投げ出さずに、じっくりと読むタイプの人におすすめだと思います。

    2019.7.15 読了

    レビューの続きを読む

    投稿日:2019.07.15

  • レイト

    レイト

    science fictionでもあり、月という密室に死体があるトリックを解き明かすミステリーでもある。
    数年前に読んだ時は難解だったが、改めて読み直すととてもよく出来た作品だと痛感した。
    作中の科学者達が議論を重ね、前進しているのか後退しているのか、迷っているのか止まっているのかわからぬまま、試行錯誤しつつ謎の解明に向かっていく。専門用語へのとっつきにくさすら忘れさせるほどの物語への牽引力。続きを読む

    投稿日:2019.07.10

  • kasumi

    kasumi

    SFって漠然と、宇宙についてのフィクションでしょ?って思ってました。でも、違った。言葉の通り、サイエンスフィクション。科学小説。

    文系の私には難しかった。
    でも、とても面白いと思った。惹きつけられる入り口と、驚きの展開。答えを知りたくなってしまう作りと、驚きの答え。(答えも難しかったけど)

    テーマが宇宙だけど、本質的には科学です。問いを立てて、調査しながら、仮説を立証していく。仮説すら立てられない難問には、材料からあらゆるアプローチで分かることを洗い出し、積み上げていくアプローチ。帰納法と演繹法ってあったけど、両方駆使。掛かる期間は何ヶ月・何年と途方もない。でも現実に科学ってこういう風に進んでいくんだろうな。

    科学者・研究者たちには、尊敬しか湧きません。
    とてもかっこいい職業だなと思いました。

    日本では科学者への道は狭き門。生活との両立ができないくらい不遇な環境しか用意されていないという。政府が早くこの問題解決に取り組み、日本でも科学者を志す人が増えてくれたら、きっともっと日本は元気になるし、面白い世の中になると思うんだけど。
    続きを読む

    投稿日:2019.06.22

  • hy343

    hy343

    SF作家J.P.ホーガン氏が先ごろ亡くなったので、久方ぶりに本棚からデビュー作を引っ張り出して読み返してみた。確か3回目くらいだ。

    月面で赤い宇宙服を身につけた人間の遺体が発見された。しかし調べてみると、かれが死んだのはなんと5万年前のことだった・・・。

    こんな壮大な謎に挑む科学者たちの物語である。

    いかにも「SF」にありそうな衝突や戦闘、宇宙空間での立ち回りがあるわけではない。

    物理、生物、化学、数学、言語学、コンピューター科学などの専門家が、数少ない証拠を俎上に上げながら、侃々諤々と議論を戦わせる中で、謎の答えが次第に明らかになっていく。その課程に、知的興味をぞんぶんにかきたてる醍醐味が盛り込まれている。そして一気に驚愕の結末まで引っ張っていく、見事な発想と筆力である。

    主人公たちがやたらにタバコをふかすとか、高度な科学文明が紙のメモを持ち歩くのかとか、巨大なコンピューターがどうのとか、今となってはさすがにおやおやという未来像も描かれている(そりゃぁ30年前の本だし)が、当時本格ハードSFの超新星ともてはやされただけのことはある、骨太の科学空想推理小説なのである。
    続きを読む

    投稿日:2019.06.17

  • きんちゃ

    きんちゃ

    SFも海外文学もほぼ初体験。独特の言い回しや専門用語に何度も諦めかけたけど読み切ってよかった。どんな脳みそを持ってたらこんなストーリーが思いつけるのだろう。

    投稿日:2019.06.12

  • とだむし

    とだむし

    未知なるものを発見した人類が、それぞれの専門家ごとに意見を言い合って「何か」の真相にたどり着こうとする過程が非常に建設的で面白い。

    これぞゴリゴリのSF

    投稿日:2019.06.08

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