【感想】ジョーカー・ゲーム

柳広司 / 角川文庫
(638件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
148
277
142
14
1
  • スパイとして生きる人の内面を深くえぐった作品

    舞台は戦時中の日本
    密かに設立されたスパイ養成機関「D機関」
    そこでは自らの存在だけを信じる若き精鋭たちが鍛錬に励んでいた
    そんな彼らとD機関の責任者でもある一人の男の姿を描いた短編集

    スパイ物といっても007シリーズのような派手なアクションシーンはほとんどなく
    ここに描かれるスパイの実情はそれとは全く異質なものでした
    目立たず、殺さず、死なず
    ターゲットの言動や髪の毛ほどの違和感から
    その裏にある真実を手繰り寄せていく姿に驚愕しました

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    投稿日:2014.12.06

  • スパイの本質を見ました。

    日本版ミッションインポッシブルかな?と思いながら読み始めましたが、予想に反して、とても静かな印象を受けるお話が多かったように思いました。
    「これは、俺にしかできない。これぐらいのことできて当たり前だ。」と当然のように思っている天才がたくさん出てきます。普通なら、鼻持ちならない奴らですが、常人の域を超えてしまっているからでしょうか、すごくカッコいいのです。
    人としての感情をそこまで切り捨てていいのかと思うところがたくさんあって、少しさみしい感じもしました。潔いと言ってしまえばそれまでなのですが、・・・何とも言えない感じです。
    最後の終わり方はちょっとほっとしたような、胸が締め付けられるような複雑な思いがしましたが、とても素敵なラストでした。

    映画化されるそうですが、アクションの少ない原作がアクションたっぷりの映画になるようですね。
    すばらしい原作が映画化されるたびにがっかりすることが多かったので・・・ちょっと心配です。



    続きを読む

    投稿日:2015.01.24

  • 文句なしにかっこいい!

    どんな状況下でも冷静沈着なD機関のスパイたち。かっこよすぎる。彼らが大日本帝国陸軍の影の部分を抉り出すようなエピソードが連なっており、歴史小説好きをゾクゾクさせる。文句なしにおもしろい。

    投稿日:2014.12.27

  • 切れ味鋭いスパイ戦

    非常に面白い。虚実取り混ぜてのスパイ戦。もともと歴史推理ものを得意としていた作者の本領発揮といったところか。今ほど環境(技術・インフラ)が整っていない、情報戦の主役がまだ「人」だった時代。それを背景に毎回、視点を変えての短中篇が小気味よく語られていく。特に好きなのが敵視点でのエピソード、やられた感がでかい程「D機関」の優秀さが際立つ話のカタルシスったらない。「死なず、殺さず」の掟による登場人物のある種「潔さ」もなかなかイカしている。速やかなる続巻の電子化を希望します。続きを読む

    投稿日:2014.12.04

  • ハニートラップなんてもっての外!

     第二次世界大戦中の日本帝国陸軍属のスパイ組織、D機関。そこに集いし”かなりデキル”スパイたちの活躍。そんな連中を束ねる結城中佐。なにもかも(スパイたちも、私も!)彼の手の中のヤバいヤツでした。 
     置かれた状況は厳しいけど、標的(まと)がちょっと弱いようにも感じました。対象相手(国)にもD機関メンバーに相当するのがいると、もっとよかったかもしれません。続きを読む

    投稿日:2015.09.05

  • ヤバいくらいに面白い

    インテリジェンスのすごさが半端なく、とても面白い本です。
    良い意味で、期待を裏切る展開が続き、わくわくしながらあっという間に読み終わってしまいました。
    こんな人たちに相手をされたら、普通の人は、ひとたまりも無く、諦めるしかありません。
    読み終わるころには、きっとあなたも、結城中佐のファンになっていることでしょう。
    続きを読む

    投稿日:2014.12.13

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ブクログレビュー

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  • かのん

    かのん

    【2024年79冊目】
    極秘のスパイ養成機関――通称D機関。圧倒的な指導者結城中佐の元で訓練を受けた者たちは何者でもない誰かになり、「死ぬな、殺すな、とらわれるな」の三戒律を守りながら、今日も世界のどこかで暗躍する。D機関を巡るスパイミステリー5編の短編集。

    再読でした。改めて見ると表紙の結城中佐いかついですね〜。偽名が当たり前のスパイの世界で、自分だけが名前を晒してるところも不気味です。きっと、全てが偽物なんでしょうけど。

    飛び抜けて優秀なスパイ達のお話ですが、もちろんはい、あっさり解決〜とはならず、結末の見えない話を楽しんで読めました。スパイ視点の話もあれば、第三者視点の話もあって、バリエーション豊富なのも今作の魅力の一つではないかと思います。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.08

  • ニケ

    ニケ

    おすすめされて読んでみた。
    終戦中の暗い雰囲気があるが、その中で暗躍するスパイがカッコいい。
    毎回スパイの中身が変わるので、一人ひとりに思い入れはないが、結城中佐にはハマりそう。

    投稿日:2024.04.01

  • khs5001e2503

    khs5001e2503

    はじめて読む作家さん。

    戦時中のスパイに関する短編連作集。

    相当に面白い。あっという間に読み終えた。

    読みやすい文章とイメージしやすい描写。

    展開の早さに飲み込まれる。

    次作も出ているので読もうと思う。

    以下、解説
    結城中佐の発案で陸軍内に極秘裏に設立されたスパイ養成学校「D機関」。
    「死ぬな、殺すな、とらわれるな」。
    この戒律を若き精鋭達に叩き込み、軍隊組織の信条を真っ向から否定する「D機関」の存在は、当然、猛反発を招いた。
    だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く結城は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を上げてゆく…
    吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞に輝く究極のスパイ・ミステリー。
    続きを読む

    投稿日:2024.03.24

  • マツ

    マツ

    これは面白い!
    無駄を削ぎ落とした硬質な文章で展開される、静かに強かに任務を遂行するスパイ短編集です。久々の一気読みでした。
    スパイとは見えない存在であり「自死や殺人は愚の骨頂」、壮絶な訓練の果てに待つ「無名性」を徹底した個性派達の活躍を楽しめます。そして、この言葉を冷淡に言い放つD機関創設者の結城少佐に、最後は男惚れしてしまいます。
    オススメ!
    続きを読む

    投稿日:2024.02.17

  • ロトロ

    ロトロ

    非常に面白かった。
    長編だと思ったら、短編集だった。

    戦中のスパイ養成機関の話。
    最近純文学的な小難しい話を読みがちだったので、こういうエンタメ推理小説みたいなのを久々に読むと、すごく楽しめる。

    サスペンス小説なんだけど、トリックとかよりスパイの特質性に重きが置かれて、スパイの世界観が完成されていた。その世界の中に、垣間見える人情とか愛情とか冷徹さの中にある熱とかが少しだけ漏れ出てる感じがめっちゃ良かった。続きを読む

    投稿日:2024.02.05

  • 小寅

    小寅

    Amazonオーディブルで聴いた。
    まあまあ面白かった。
    でも毎話主観キャラが変わる短編集というもの自体があまり好きじゃない。
    続編は読まない(聴かない)かなぁ。

    投稿日:2024.02.02

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