【感想】治療塔惑星

大江健三郎 / 講談社文庫
(3件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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  • SFという煌めくおもちゃ箱をノーベル文学賞作家が文学的に再構成しつくしたら…。

    なかなかテーマ上も表現上も美しい文学に仕上がっています。
    非常によい文学です。大江健三郎のライフワークとしての主題と非核思想が空虚でない証に核というものが使われてしまうという悲観的な未来をもさえヴィジョンとして投射した非常に良い文学です。非常に良い文学です!
    非常に良い、非常に良い、非常に良い…。
    畜生! 馬鹿野郎! こんなのどこがSFだ! おもちゃ箱が、夢が、なんでこれだけ素材をそろえてこんなことをやらかすんだ! それが大江健三郎のライフワークで必ず詰め込んでくることとはいえさあ…。
    なんで、日本人が上手く書きすぎるとこうなるんだー!
    ま、とにかく、常人には書けないできです。
    星は5つですっ!
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    投稿日:2016.11.14

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    当初、「治療塔」の存在は秘密とされていたのだが
    帰還者と残留者の和解事業が進む中で漏洩した情報などから
    様々な噂やデマが飛び交うこととなった
    その結果、不法に「新しい地球」へと旅立つ者たちや
    独自の「治療塔」を建設したという者が現れ
    世界に再び混乱がもたらされた

    一方で、実際に「治療塔」を体験した帰還者たちの身体からは
    すでにその効能が失われつつあった
    しかし「治療塔」の分析・再現という基本路線に変更はなく
    スターシップ公社も新たな調査船の派遣を決定した
    そしてそれが「新しい地球」における
    公社側と、不法移民たちとの戦いへと発展していくことになるのだ
    「治療塔」を占拠する不法移民たちは
    その力を用い、やすやすと死ぬこともないゲーム感覚の戦いを楽しんでいた
    つまり「新しい地球」は、メイトリアークの恩寵を受けて
    戦士の楽園ヴァルハラと化していたわけだ
    公社のエリートたちにとっては、まさに悪夢だった

    「治療塔」をめぐる闘いには核兵器まで持ち出され
    悲惨な結果を残した
    だがなおもあきらめない人々は
    「宇宙マーブル・サボテン」から抽出した成分を吸引することで
    別次元宇宙へのアクセスを試みようとする
    「治療塔」のソフトウェア開発のためにどうしてもそれが必要なのだ
    正気と狂気の区別はすでにつかなくなっており
    「古い地球」で夫の帰りを待つリッチャンは
    もはやかつての祖母と同じく、宇宙に漂う人の魂を思う年齢だった
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    投稿日:2020.07.01

  • なー

    なー

    えーと。「治療塔」続編です。
    たいていそうですが、続編ってなぜか格落ち・・・

    SF好きの畏友・武満徹のために書かれたそうですが、
    やっぱり少々無理があるのでは・・・大江ファンでない方には敢えてオススメしません。

    大江のSF?!と期待なり懐疑なりしていても、いつも大江節にいつのまにかなってて、あれれ?SFは??と思います、きっと。 ^^;;

    文体も相変わらずです・・・・・
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    投稿日:2014.10.05

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