【感想】その女アレックス

ピエール・ルメートル, 橘明美 / 文春文庫
(1025件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
254
398
231
45
5
  • 評判高い作品ですが・・・。

    今年の各賞を取って評判が高い作品だった為、期待して読みました。が、確かに全く面白くない訳ではなかったものの、正直「それほど?」と思えてなりませんでした。色々と腑に落ちない箇所、設定が見受けられるのも気になりましたし(特に読者に何の手がかりが提示されないまま話が進んでいく第三部はかなり疑問に思いました)、登場人物の過去のエピソードで紡がれる「キャラクター」小説として読んでみても、各エピソードが物語に絡んでこない中途半端さを感じました。アレックスという主人公の立場の展開のさせ方や、最終的な決着の仕方がミステリが好きな方の嗜好をくすぐるのかも知れませんが、シリーズ2作目という前提(事件を解決する人間に対する信頼)が無ければ、このラストは成り立たないのではないでしょうか。少々残念な読後感でした。続きを読む

    投稿日:2014.12.27

  • 「このミス」の評判に、だまされたかな?

    かなりハイスピードなサスペンス映画を観た様な印象。映像であれば、登場人物のキャラクターの濃さとショッキングな展開と次々に移り変わる画面の迫力で、内容は薄くても飽きる事なく、腑に落ちない部分があっても自分勝手に想像して楽しむ事が出来るが、活字となるとやはりそうもいかない。ラストも、もしかしたら作者は、締め切りに追われ、中途半端に脱稿したのではないかと思うような終わり方。翻訳本であるから訳し方にも、問題があるのかもしれないが、期待が大きかっただけに却ってがっかりした。読んでつまらない作品ではないので、ヒマつぶしにはいいでしょう。だけど、グロテスクな場面も多く含んでいるので要注意。続きを読む

    投稿日:2014.12.30

  • 評判どおり

    話題作。評判どおり。大満足。ジェットコースターだった。訳者が上手い。私の大嫌いな翻訳調文体が薄くて文章が比較的自然。それでいてフランス文学のちょっとしゃれた感じは伝わる。そして話の展開がみごと。第一~三部と内容が特徴的でわかり易く、自分なりに頭の中でよくまとまる。悲劇と事件を追う刑事たちの人物造形のおもしろさ。解説で訳者が彼らを、まるで「三銃士」と言っているがなるほどと思う。事件を追う刑事にトラウマがあるというのはよくあるパターンだが、彼の内面にも十分に興味が持てた。アレックスとカミーユの両方が主人公。
    続きを読む

    投稿日:2015.03.04

  • 後味悪い

    2015年版このミス一位ということで読みましたがミステリーとして読むと公平性が無いのでガッカリするかも。三部構成になっていて各部で主人公の見え方が全く違って見える展開になるのですがそれを成り立たせる為に作者が意図的に情報を隠しており必ずミスリードさせられます。それを良しと出来るかどうかが本書の評価の分かれ目でしょうか。私的には合いませんでした。話は面白いとは思うのですが後味悪い作品。続きを読む

    投稿日:2015.01.17

  • 最初はサスペンス…というかホラー、後半ミステリー。

    あまり海外作品は読まないんですが、このミステリーがすごい!を始め、6冠を制した作品ということと、友達に勧められたのもあり、手にとってみましたが…面白かったです!
    誘拐されたアレックスと警察が交互に描かれています。最初はサスペンス…というかホラー、後半ミステリー。
    二転三転していく展開にドキドキで、つい一気読みしてしまいました。でも、前シリーズがあるみたいなので、そっちも読んでみたいなぁ。
    続きを読む

    投稿日:2015.01.14

  • 話の展開は目新しいですが。。。

    「このミス」1位ってことで買ってみたけど、(やはり海外作品ということで)少々読むのがつらかった。というのとすっ飛ばして読んだせいか、伏線などが全然分からず、何でこうなるの?という感じでやや強引さを感じた。
    とはいうものの、こういうストーリーは確かに目新しいかな。
    続きを読む

    投稿日:2015.03.14

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ブクログレビュー

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  • 図書館漁り隊

    図書館漁り隊

    このレビューはネタバレを含みます

    最初はアレックスに同情し
    中間ではアレックスの事がよく分からなくなり
    終盤ではアレックスの味方になってました

    壊れかけながらも
    強く戦ったアレックスが私は大好きです

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.04.14

  • ルラリラ

    ルラリラ

    帯の推薦文などからどんでん返しや驚愕を期待しがちだけど、ラストの爽快感こそがこの本の醍醐味だと思う。ハッピーエンドとは程遠いのに、この爽快感を出せるのは凄い。

    アレックスの印象が各章ごとに変わるのは周知の事実だけど、それに伴ってカミーユに対する印象も変わるのが面白い(あくまで個人的にではあるが)。
    捻くれてるし嫌味な感じで最初は好きになれないが、最後の章ではその性格を応援してしまう。

    「我々にとって大事なのは真実ではなく正義ですよ。」
    続きを読む

    投稿日:2024.04.10

  • はる

    はる

    悲しみのイレーヌを読了後、こちらを。
    カミーユが何とか生きていてホッとした。
    そして、少しずつ前向きになっていくところも。

    海外小説は、まず登場人物の名前や文章に苦手意識があったのだけれど翻訳をされている橘明美さんが素晴らしいのか、とても読みやすく面白かった。
    アレックスがあまりにも悲しく、けれど強い。
    その強さは幼い少女にはなく、さまざまな経験があったからこその結果なのだとしたら、とても悲しい。

    こちらはピエール・ルメートルのカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズの三部作のうち2作目なので
    悲しみのイレーヌを読んだあとに読む方がカミーユの心情がわかり、より楽しめると思う。

    ただあと1作が傷だらけのカミーユというタイトルなので、私としては これ以上カミーユをズタボロにしないで!って思ってしまう。
    まぁ、読むでしょうけど。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.07

  • bookreadhon

    bookreadhon

    こんなのありかよ!
    二転三転する展開、一体誰が正義なのか。上手い手品を見た後みたいな読了感(この本は種明かしはしてくれるけどね)

    投稿日:2024.04.05

  • _k

    _k

    アレックスという名の女性が誘拐・監禁される話。
    警察の捜査が進むにつれてアレックスの印象が二転三転し、結末には驚いた。

    投稿日:2024.04.03

  • すいびょう

    すいびょう

    【感想】
    こんな結末ありなのか、と思わず唸ってしまった。誰が犯人で、誰が被害者なのか。いったい彼女は何者なのか。事件が進むにつれ一歩ずつ真実が明かされていくものの、根幹の謎は一切解決しないままストーリーが展開していく。そしてラストには今までを上回る不可解な事件が発生し幕を閉じる。まさに「新感覚のミステリー」という名にふさわしい小説だった。

    ある晩、パリの路上で若い女(アレックス)が誘拐された。目撃者の通報を受けて警察が捜査に乗り出すが、被害者の行方はもちろんのこと、身元も、誘拐犯の正体も、誘拐の目的もわからない。その後、地道な捜査と思いがけない展開を経て、誘拐事件のベールは少しずつ剥がれていくが、次第に捜査の焦点は「その女を救えるのか?」から「その女は何者なのか?」へと変わっていく。

    本書の特筆すべき点は、アレックスという人間の描写方法にあると思う。始めは誘拐事件に巻き込まれた無垢な被害者。次はミステリアスで行動の読めない美女。次第にとんでもない悪女へと変わっていき、最後は辛い目にあった被害者にまた戻る。このようにアレックスの素性と行動原理が終始理解不能であることが、先の読めない展開を作り出していく。
    本来であれば、アレックスの誘拐パートはストーリー的に全く不要な部分のはずだ。知らない女が誘拐され、拷問された後、脱出し、行方がわからない。彼女の身に起きたことは他の事件になんら影響を及ぼさず、小説全体のディティールを詰めるために存在するだけだ。しかし、この誘拐パートによって、アレックスという人物に対する「読者の評価」を見事に作り上げることに成功している。読み手は残虐な目に合うアレックスを見て、「可哀想な女性」「逆恨みを受けている気の毒な被害者」という同情の眼を向けるだろう。そうしてアレックスへの感情をプラスに持っていった後、今度はアレックスが暗躍するパートを描くことで、読者を驚きと混乱に突き落としていく。
    この女はどんな秘密を隠しているのか。誘拐され拷問を受けるだけの「罪」が、間違いなくあったのではないか。そうした疑念を抱かせ続けながらストーリーは進行していくが、真相はなかなか見えてこない。数々の描写からアレックスは「計算高い美女」であることが分かるのだが、そんな彼女が次々と説明のつかない行動を取っていくため、次に何が起こるのかを想像することが困難だ。この「アレックスの人物像と行動のギャップ」が、予想もつかない急展開を生み、読者をまた謎に引き込んでいく。
    そして、ラストでアレックスの正体が一気に明かされる。果たして彼女は何者なのか。聖人なのか、罪人なのか。被害者なのか、加害者なのか。話の根幹に関わるため、詳しくは本書を読んでみてほしい。ここで言えることはただひとつ、「その女は、アレックス」ということだけだ。

    ――要するにこれがアレックス。これが自分のすべてだ。人は本当の意味で自分自身に向き合うとき、涙を流さずにはいられない。アレックスのなかでなにかにひびが入り、そこが崩れてアレックスをのみ込んだ。鏡のなかの姿はあまりにも強烈で、あまりにも悲しかった。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.03

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