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坂野潤治 / 講談社選書メチエ (3件のレビュー)
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aoi-book
総力戦体制になって「格差の是正」が進んだという分析に対して批判を加えるための考察。日中戦争前夜の政治家による自由や平和に対する希求の込められた演説に「平等」が欠けていた事実を認めつつ筆者が本書を記すに…至った気持ちが、最後の章で良くわかった。続きを読む
投稿日:2022.04.11
中村宗悦
東京大学を定年退官になってからの坂野先生はホント沢山お書きになっている。書きたいことが山ほどあるのだろうと推察するが、恐らくこの本もそうした是非書いておきたい1冊だったのだろうと思う。 テーマは明快…である。明治維新の士族、明治デモクラシーの上層農民、大正デモクラシーの資本家の時代を経て都市民衆にまで拡大してきた政治的平等は社会的平等を実現し得る可能性があったのか。「総力戦体制」抜きでもそれは可能であったと坂野先生は述べる。 1937年の総選挙で躍進した社会大衆党に社会的平等の自生的実現の可能性を見た戸坂潤や河合栄治郎の言説をそのまま鵜呑みにして良いかどうか疑問には思うが、平和の下で自由を、そして自由の下で平等を実現すべきという「べき」論はよくわかるし、賛同したい。続きを読む
投稿日:2016.05.09
reso100
明治維新から日中戦争勃発までの近代史は歴史として学校で詳しく習った記憶が無い部分であり、知らないことが沢山あった.1884年の華族令で509人の爵位が与えられ、そのうちの244人が貴族院議員になった由….今以上の格差社会だ.選挙制度も金持ちだけに投票権を与えており、所謂普通選挙は1928年になって実現している.ここで有権者が300万人から1200万人と4倍増だ.当時の政党は格差社会の解消を全く考慮していないのにも驚いた.皮肉なことに日中戦争に伴って取られた「総力戦体制」の基で「格差の是正」が進んだことも意外な事実だ.続きを読む
投稿日:2015.07.13
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