【感想】紙の月

角田光代 / ハルキ文庫
(597件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
102
229
173
24
2
  • お金ってホント怖いですね…

    長野県厚生年金基金で約24億円の
    横領を働き国外逃亡後、御用となった
    オッサンの事件を思い出した。
    でもねぇ、人間は少なからず…
    こういう、おバカな気持ちをどこかに
    持っていると思いますね。
    話中、主人公とどこかで繋がりのある
    登場人物が、主人公と違った形で
    似たようなおバカ行為をしてるのですが。
    作品中の話しほどデカくないけど、
    人は誰しも近い経験してるような気もする。
    遠いことに感じつつ、身近にも感じる、
    ズーンとした話しでした。
    主人公の夫の「空気読めなさ加減」に
    イラつきながら一気読みでした。
    映画主演は宮沢りえかぁ~。
    観てないが、合ってるかも。

    ※不正発覚場面等をおりまぜていれば
     さらにドキドキする面白い作品に
     なっていたでしょうね。
     ほぼトバして逃亡なのが、残念。
    続きを読む

    投稿日:2014.12.11

  • 紙のように白く薄い月

    平穏な日常生活を送る主婦が、偶然の出来事と、ある切っ掛けにより犯罪に手を染めて行く。しかし、彼女は、犯罪とは考えていない。知らずのうちに出来てしまった心の空虚を物欲で満たすように、搾取した金は後から補填すればいいと簡単に考えていたから。金銭感覚のマヒは、余程、堅実でない限り、女性であれば誰もが陥りやすい。どれだけの労力と貴重な時間を提供して金銭を得ているかを、常に肝に銘じていればいいのだろうけど、自分自身を高める為に華美に装って、そして、もっと人に良く見られたいと思う気持ちになるのは共感できる。主人公である梨花や、その友人らが買い物をしている場面では、余りの潔さに羨望と爽快感すら覚えた。だが、読後は、いつもより金の価値をシビアに考える様になった。
    兎に角、先の展開が気になって、一気に読んでしまいたくなる作品。
    宮沢りえさん主演の映画も、観に行きたいと思った。
    続きを読む

    投稿日:2014.11.11

  • お金って怖い・・・

    独特の重苦しさですが、読むのが苦痛ではなく『この先どうなるんだろう?』と引き込まれてしまいます。
    銀行に契約社員として勤務する女性が1億円を横領するというお話です。
    お金って誰もが死ぬまで、人によっては死んでからも関わらなければいけないことで、
    お金の魔力というか怖さをつくづく感じました。
    感情移入できる登場人物がひとりもいないのですが、不快にも感じず、ページをめくらせてしまうのは作者の力量でしょうか。
    ただ個人的にはあまり好きな終り方ではありませんでしたが。。。
    続きを読む

    投稿日:2016.06.10

  • 日常の延長に

    欲望に突き動かされている訳ではないんでしょう。
    心の弱い人,とも言い切れない。
    日常の延長に,そしてこのぐらい大丈夫だろうという甘えに,落とし穴は待っています。
    得られない満足感を一瞬得るために。

    投稿日:2015.02.11

  • お金は人を狂わせる。

    2014年11月24日読了。お金は人を狂わせる。ほんとその通りだと思う。横領って言葉に今すごく敏感だったから、映画化の話をテレビで見て、読んでみようとすぐ思った。お金で狂ってる人はやっぱり生活も狂ってるよね。でも人間性は優しいのよね、必要以上に。梨花がタイ人の人に声をかけられたあと、どうなったかが気になって気になってます!続きを読む

    投稿日:2014.12.03

  • 何を得るのか、何を失うのか

    角田さんの本は「八日目の蝉」に続いて2作目。
    犯罪に手を染める女性を描くのが上手いですね。
    墜ちる女。
    ふとしたきっかけでどんどん戻れないところに突き進んでいく怖さ。
    同級生や元彼などの視点も交えてうまく描かれている作品だと思います。続きを読む

    投稿日:2014.11.08

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ブクログレビュー

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  • camille

    camille

    対岸の彼女がおもしろくて、2冊目の角田光代。
    なんで今まで読んでなかったんだろうと思える大御所の作家さん。今知ることができて良かった。

    この小説も良かった。
    1人1人の描写がとにかくリアル。自分はこんなことに絶対ならないと思っているけど、一歩踏み外したら同じことになるかもしれないと怖くなった。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.08

  •  天頂バス

    天頂バス

    音を立てず静かに加速していく(最後の方はものすごい勢いで畳み掛ける)横領。エスカレートしていく様が怖かった。梨花が語る自分自身、周りから見た梨花、それらを通しても本当の梨花を掴めそうで掴めなかった。どんどん崩れていく梨花は物語の中だけでなくこの世の中にもきっといるのだろう。自分がそうならないようにしたい...続きを読む

    投稿日:2024.04.06

  • kanchan523

    kanchan523

    女性としてきっと誰もが共感できる部分がある作品だと思う。
    私自身も大人になり、周りも持っているから、自分で働いたお金だしという理由をつけて学生時代のアルバイト代では到底買えなかった化粧品やブランド物を多く買うようになってしまった。
    浪費分を生活費で節約するわけでもなくなっているところがある。
    自分も気をつけなければ...と教訓になった。
    続きを読む

    投稿日:2024.03.31

  • ぺー

    ぺー

    何時横領が露見してしまうのか、終始ハラハラだった。何回も読むの辞めたいと思った!(いい意味で。)梨花の横領に対しての罪悪感や危機感などと言った感情の欠如が余計そうさせていたと思う。それに対して、不意に訪れる焦燥がこっちまで伝わってくる程えぐい。あとタイ行ってみたくなった。総じて最高。続きを読む

    投稿日:2024.03.30

  • くにちん

    くにちん

    主人公が犯罪を犯すまでのちょっとしたきっかけや心の動き、というか心のか叫びが聞こえてきそうなくらいに表現が伝わりやすく描かれています。
    ただ、同著者の八日目の蝉(この作品を読んだあとしばらく他の本を読んでも気持ちが切り替えれなかった)と比べてしまうと感情移入まではしなかったかな。続きを読む

    投稿日:2024.03.30

  • minepon

    minepon

    痺れた。
    “一億円もの横領”と聞くと、その犯人は新聞やテレビを隔てた向こう側に思えるけれど、そうではない。

    丁寧に描かれた物語がずっしりと質量を持って胸に届いた。
    主人公の梨花は少しずつ、ほんの小さなことの積み重ねで道を狂わしていく。その胸に抱く葛藤がこちらにも伝播してくるようだった。

    自分はそうはならない、とは言い切れない。
    梨花の中の何かが自分の中にもあるのだと、ひやりとした。

    ☆4.2
    続きを読む

    投稿日:2024.03.28

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