【感想】実践版孫子の兵法 勝者を支える最高峰の戦略書

鈴木博毅 / プレジデント社
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
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  • 本番よりも、準備の大切さ

    孫子の兵法。名前は知っていても、その内容は断片的にしか聞いたことがなく、今回初めて解説書を手に取る機会がありました。
    孫子(孫武)は中国の呉越の時代(春秋時代・紀元前5世紀頃)の軍師で、その考え方は2500年経った現代でも十分に通用します。本書はビジネスを中心に、孫子の考え方をどのように自分の成長に落とし込むか、を考えるのに良い一冊となります。

    孫子の有名なフレーズに「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」があります。孫子は他勢力との戦闘を意識して記していますが、私たちに置き換えれば顧客との商談、競合他社との競争、あるいは資格試験など自己啓発や自己実現のアクションに当たるかと思います。
    顧客が何を望んでいるのか、競合他社がどんな戦略を練っているのか、試験ではどのような内容が出題されるのか。これを知らずに遮二無二努力しても、努力の方向が間違っていれば何にもなりません。
    商談や試験の本番で緊張して力が発揮できない、ということもあると思いますが、そこまでの準備が十分にできており、もうこれ以上やることはないという心境になれば(これが難しいのですが)、不安も緊張もなくなるでしょう。

    また、孫子は「勝つ」ことよりも「負けない」ことに重きを置いており、「百戦百勝は善の善なるものに非ず、戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」と記しています。
    自分の価値観としても、負けたくないですが、それ以上に誰かを負かしたくない、というものがあります。戦いになれば、とくに人間と人間との競争であれば、勝負が決したときに負けるのも人間です。
    可能であれば戦いを避け、お互いに有利な形で状況を収められること、すなわちWin-Winの関係を求めることが重要であると解釈しました。

    そして、孫子の内容は、意外と現実的で「ずるい」とも感じました。戦いを避けることもそうですが、弱い相手に圧倒的に勝てるときにしか戦わない、相手の戦力を分散させて弱いところを叩くなどを推奨しており、強敵に対して真正面からぶつかっていくことはむしろ愚策であるとしています。
    少年マンガなどのフィクションでは、敵役が策を弄し、主人公は真っ向勝負というパターンが多いですし、それが感動や人気を生むわけですが、孫子では敵役のほうが良い戦略をとっているとなりますね。
    時間に関する考え方も、準備を「機会を捉える時間」と見なし、そこに全力を注いで勝利を目指すべきだとしています。空いた時間を副業にあてて小金を稼ぐよりも、ずっと有効だとしていました。

    正直なところ、著者とは価値観が合わないところもあります。社内の出世争いなどの競争は、社内の人的資源を削るだけでそもそも無駄だし、戦いに勝つこと自体が目的となっているようにも見られるし、取り上げた事例が結果論ではないかと思うところもありました。
    そういった部分は読んだ自分の側でうまく読み替えて自分の価値観にあわせてゆきたいです。
    さらに、何をもって自分が勝ったと考えるか、いわゆる勝利条件も、目先の勝負ではなく最終的に得られるものを条件とすれば、目先の勝負に勝つ必要があるのか、そもそも勝負の必要があるのか、を考えていくことができるかと思います。
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    投稿日:2014.11.15

  • 孫子の兵法 現代版

    孫子の兵法を現代版に訳してくれている本です。

    個人的には、初めて孫子の兵法を読みましたが、孫子の兵法は、勝つためのものではなくて、負けないためのものの要素が強いんですね。知りませんでした。

    現代訳ではありますが、孫子の兵法自体が、戦争に関して書かれているものですので、活かせる部分は、心構えや考え方の部分。
    その為、捉え方は、著者の意見と少し見方がある方もいるのではないかと思います。

    戦争は極限の状態で行われるものの為、そこでの理論は、本質をえぐると言いますか、なんでもありと言いますか、考え抜かれたものが多く、読んだ方の思考を深めてくれるはずです。
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    投稿日:2016.01.07

ブクログレビュー

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  • まぎーB

    まぎーB

    敵は〈これからやりたいこと〉
    情報を集める
    戦わず勝つ
    弱いところをつく
    相手ががっつり備えているところを責めない
    とことん追い詰めない、逃げ場をつくる

    今回の読書ではこんなことを学びました。自分の実力を上げて、とにかく力技で勝つというのが勝負ごとだと思っていたので、目から鱗でした!
    自分の場合はスポーツの対戦に使いたいと思っているのですが、まず相手の情報を得ること、手薄なところを責めること、ここから始めたいと思います。
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    投稿日:2024.11.10

  • jt109

    jt109

    孫氏の兵法を実践版に落とした内容です。

    特に組織論が参考になった。5つの基本問題と7つの基本条件を把握し、全てのシーンで
    競合より勝っていれば事業展開はうまくいく。
    ただ、言っていることは仰る通りの事だが、”勝ち”を見つけるのは至難の業。

    P174以降から。

    「どちらか」とは競合にあたる。

    マネジメントする立場、会社経営する立場からしてもとても参考になる本だった
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    投稿日:2021.03.22

  • ★1ro

    ★1ro

    表面をさらりと読めば、しごく当たり前の事を述べられている気がするが、そこは古くから読みつがれている兵法書である。私の目線が軍隊で言うところの兵隊のレベルであるからか、読めば読むほど奥が深い。
    トップである君主、作戦指令を出す軍師、現場を動かす隊長がいかなる思想を持って戦に挑むか、これを現代のビジネスにどう当てはめ活かすかの指南解説書とも言える。
    勝利に偶然の産物はない。十分に練られた計画・準備の上に成り立っていることに気づかねばならない。
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    投稿日:2021.03.21

  • NAMI

    NAMI

    1.なんとなく読みたくなったので手にとってみました。

    2.この本は、「大きな勝利は自分以外の要素を利用して手に入れることができる」ということが大きなテーマとなっています。そして、原著に書かれていることを現代に置き換え、著者なりの見解を述べている一冊です。例えば、敵を新しい取り組み、戦い方を、始める方法、戦いを時間・労力・資本と置き換え、どのように日常生活を過ごしていくべきかということなどを述べています。

    3.原著を読む前に読んでおくことで、イメージがしやすいと思いました。また、特に印象に残った言葉は、「成功より失敗から学ぶことが多い理由は、他人のやった失敗を避けることに直結するから」という部分です。私はこの文を、「失敗することで、自分に足りない部分や他人の失敗について実感させられるから」と解釈しました。
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    投稿日:2019.03.23

  • つれづれ

    つれづれ

    ・「不敗」が一番大切
     不利なときは戦わない決断をする。
    ・弱い自分に勝つ方法は二つ。
     - 自ら窮地に立たせること。
     - 追い込まれる前に全力を出す習慣をつける。
    ・失うものをイメージすると人はすぐ動く。
    ・数分の一の投資と労力で同じ結果を出す道を探れ
    ・あらかじめ勝利する体制を整えてから戦う。
    ・努力の汗をしている時点で二つのことを間違えている。
     - 最初から問題が起きないようにすべき
     - 初めから大差をつけておくべき
    ・ビジネスでは弱いものイジメも立派な戦略
    ・「依存」するものは敗者となる。
     依存とは全てが都合よくうまくいった場合を前提とすること。
    ・勝つ能力を備えている者ほど多くの準備が必要と考えている。
    ・単なる勘ではなくチェックリストで勝算を高める。
    ・選択肢の多さとは、すなわち強さである。
    ・肉体と精神の健康のため、選択肢を一つでも多く見つける。
    ・「間接的アプローチ」は孫子兵法の神髄。
     間接的アプローチとは
     - 敵を驚かせる要素を強みにもつ
     - 充実した敵の備えに正面からぶつからない
     - 自分の意図を相手に悟らせない
    ・敵の意図がわかっている場合、守るが有利。
     敵の意図がわからないとき、攻める側が有利。
    ・作戦の要諦は迅速を旨とする。
     敵の隙に乗じ、思いもよらぬ道を通り、意表をついて攻める。
    ・時間の効率ではなく、「機会」に焦点を合わせて時間を使う。
    ・「主導権」がある時間を意識せよ。
     特に主導権が定まってない時間が重要である。
    ・上司は部下に三つの「舞台」を用意して教育する。
     - 統制力、勢い、体勢
    ・努力よりも「機会」の大きさで勝利は決まる。
     大きな勝利の90%は自分以外の要素で決まる。
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    投稿日:2019.03.10

  • ヒサ

    ヒサ

    原書よりもはるかに分かり易かった。
    一番心に残った教えを見つけようと必死に読んだけど、どれも素晴らしい考えで一つに絞れない。

    あえて挙げるなら、
    「意図を隠して攻め 、意図を見抜いて守ること」
    これは確かに負けないなぁ、と思った。続きを読む

    投稿日:2017.05.26

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