【感想】高瀬川

平野啓一郎 / 講談社文庫
(25件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
2
11
8
2
1

ブクログレビュー

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  • 和坂林太郎

    和坂林太郎

    読んでみて感じたのが、実験的な小説だなという
    印象でした。
    表題作の「高瀬川」は、ある男女の一夜を舞台に
    繰り広げられる生と性の物語です。
    物語の中で森鴎外の「高瀬川」が出てくるのですが、本作との共通点が見られるのか分からないが
    気になりました。
    「追憶」は言葉がバラバラに散りばめられいて、最初は意味が分からない印象だったが、ページを進むにつれて、文章がまとまっていくので、最後の
    ページでスッキリしました。
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    投稿日:2024.11.04

  • G. S.

    G. S.

    とにかく実験精神に溢れた挑戦的な文学。
    最初の掌編は記憶と流水のイメージを重ね合わせる。屁理屈っぽさすらあり読むのが少し苦しいが、ここで語られていることが後の3作のモチーフになるため、よく読むと読後感が変わる。
    「高瀬川」は性交のための一夜の営みがクールっぽく描かれるも、何度か挟まれるダサい描写が印象的だ。
    「追憶」は最後のページを読んで思わず拍手。なお、文庫と単行本で文字組はかわるの?と思って単行本も見てみたが、流石に同じだった。
    「氷塊」は上下段の小説が同時間軸で展開され、終盤に交差する。読み応え抜群。
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    投稿日:2023.02.27

  • Akiko

    Akiko

    このレビューはネタバレを含みます

    短編「清水」
    中編くらいの表題作「高瀬川」
    詩「追憶」
    2つの小説が並行して進む実験的な「氷塊」
    の4つが入っています。

    「高瀬川」と「氷塊」はすごく良かった。
    「高瀬川」は、最終的にパンティがペットボトルに入って流れて行っちゃう話。
    その情景がすごく印象的なのと、コトに及ぶ男女の会話のぎこちなさが良い。
    村上春樹の小説で男女の会話がウィットに富んでいてリズミカルな感じなのと真逆で、すごくぎこちなく恰好悪く描いているのが妙に魅力的。
    「氷塊」はページの上半分が少年目線、下半分が30代の女性目線で進んで行って、ときどき真ん中に共通目線の文章が差し込まれる。
    どう読むかは読者次第だと思うが、読み進め方によって印象も変わるだろうし、とても面白い。
    共通の文章の差し込まれる感覚が、最初は長く、後の方は短くなっていくので、小説にスピード感が出てきてドキドキする。
    おもしろかった。

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    投稿日:2021.05.30

  • キじばと。。

    キじばと。。

    いずれも実験的な試みを含む短編四編を収録しています。

    「清水」は、京都の街を歩きながら、自己の意識が刻々その現実感をうしなって不確かな過去へと流れ去っていくことに対する想念をつづった作品です。

    題作「高瀬川」は、小説家の大野と雑誌の編集者である裕美子が身体をかさねる物語です。著者はこれまでにも、現代文学のさまざまな可能性を宣明するような試みをこれまでにもつづけてきており、本作もその一環であるということはいちおう理解できます。大野がラブホテルの汚さに神経質になったり、彼がうっかりひざで裕美子のふとももを踏んでしまったりといったシーンに、多少目をみはることもありましたが、正直なところこの程度の作品であれば神崎京介でも書けるのではないかという感想をいだいてしまいました。

    「追憶」は、作品の最後に示される現代詩めいたテクストをズタズタに切り裂いて複数のテクストが錯綜する作品世界をつくりあげた実験的な試みです。

    「氷塊」も、自分の本当の母親に出会ったのではないかと考える中学一年生少年と、妻子のある医者と不倫関係にある女性の二人の物語が、並行した二つのテクストとして配置され、それがやがて交錯する帰結をえがいています。ジャック・デリダ『弔鐘』のような思想書での試みなどもありますが、そもそもさまざまな人物の物語をひとつのテクストのうちにえがくことのできる小説でこうした試みをおこなうことに意味があるのか、よくわからないというのが率直な感想です。
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    投稿日:2020.09.03

  • くろうま

    くろうま

    実験的な試みによる短編が収められた短編集。

    ある一夜を切り取って細かな行動描写と
    心理描写で男女の心のなかを探った高瀬川は、
    セクシャルな内容に目が行きがちだけど
    描写の模索が感じられて面白かった。

    あとは、氷塊。
    2人の物語の交錯が見事だった。
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    投稿日:2019.09.30

  • Fujisaki Kaoriho

    Fujisaki Kaoriho

    高瀬川、と氷解、が好きでした。

    高瀬川は少し官能小説のようでもあるのだけれど、陳腐でなく愛情を感じるまでもないような、表現の仕方で。
    でもやっぱり、少し男性目線かなと。

    氷解が良かったのは特異な文章構造でときたま2人の人生が交差するところに少しはっとさせられる。
    女の人から見た目線、思考、感情と
    男の子が考える構想と現実のあい交える妄想と

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    投稿日:2019.05.21

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