長嶋茂雄 最後の日。1974.10.14

鷲田康 / 文藝春秋
(7件のレビュー)

総合評価:

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  • 伝説の一部始終

    野球に興味があろうとなかろうと、長嶋茂雄の名前を知らない人はいないはず。
    そんな彼が現役を引退した1日を、周囲の人間や本人の証言から完全に再現したのが本書です。

    長嶋茂雄の引退と言えば、「我が巨人軍は永久に不滅です。」の名言があまりにも有名。
    実はこの時、裏では長嶋による「場内一周」というドラマが繰り広げられていたのです。

    松井秀喜が「選手よりファン」と語るほど、何よりもファンが喜ぶことを第一に考えていた長嶋茂雄。
    引退当日も、「グラウンドを一周してファンに直接、お別れの挨拶がしたい」とスタッフに訴えますが、興奮したファンがグラウンドに流れ込む可能性があるとして却下されてしまいます。

    しかし、諦めきれなかった長嶋は予告なしに場内を歩き始め、ファンに感謝の言葉を投げかけていくのです。

    一人の野球選手としてだけでなく、色めき立つ高度経済成長の象徴だった長嶋茂雄。
    時代のひとつの終焉を克明に切り取った本作には、野球ファンのみならずこみ上げくるものがあるはずです。
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    投稿日:2015.07.17

ブクログレビュー

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  • sasha89

    sasha89

    子供の頃の一茂を球場へ連れて行ったはいいが試合終了後に
    置いて帰ったり、ストッキングを忘れてソックスをマジックで
    黒く塗ったり。そんな長嶋茂雄伝説は知っているが、現役時代
    の長嶋茂雄を私は知らない。

    ヤクルトvs阪急の日本シリーズでヤクルト・大杉の打球を巡って
    の「魔の1時間19分」や、広島vs近鉄の日本シリーズでの「江夏の
    21球」は覚えている。王貞治の本塁打の記録だって、勿論、記憶
    のなかになる。

    だが、私の一番古い記憶にある長嶋茂雄は既に読売巨人軍の監督
    としての長嶋茂雄だった。

    プロ野球を見始めた時期が微妙にずれていたとしか思えない。だって、
    長嶋茂雄が引退した昭和49年と言えば既に物心がついていた頃なの
    だから。

    現役時代を知らなくても長嶋茂雄が「ミスター・プロ野球」なのは
    知っている。読売巨人軍は嫌いでも、漏れ聞こえて来る長嶋茂雄の
    魅力には惹きつけられる。

    本書は「我が巨人軍は永久に不滅です」との名台詞が生まれた、
    長嶋茂雄引退の昭和49年10月14日を中心に描かれたスポーツ・
    ノンフィクションであり、彼の引退と共に日本の戦後が終わった
    ことに対するレクイエムでもあるのではないか。

    本来、10月13日に予定されていた中日とのダブルヘッダーが
    長嶋の引退の舞台だった。それが雨天順延で翌日になった。

    当日券を求め、後楽園球場には早朝から続々と人々が集まって
    来る。夢を、希望を与えてくれた、愛すべき長嶋茂雄の現役
    最後の姿をその目に焼き付ける為に。

    本書を読むまで2試合目終了後の引退セレモニーのことしか
    知らなかった。だが、本当の「ファンとのお別れ」は1試合目と
    2試合目のインターバルにあったのだね。

    引退への準備が進むなか、長嶋本人が強く希望したのは球場を
    1周すること。その希望は警備上の理由で却下されていた。

    感情を昂ぶらせたファンがグラウンドへ雪崩れ込まないとも
    限らない。だが、長嶋は諦めきれない。ファンのひとりひとりの
    顔を見ながら、最後の挨拶をしたい。

    このグラウンド1周が実現するシーンが見事に描かれている。
    「どうすればファンは喜んでくれるか」。現役引退後も常に
    ファンを第一に考えた長嶋らしい「お別れ」の仕方だった
    のではないか。

    長嶋との別れの為にやって来たファンで場内は既に5万を超える
    観客で埋まっている。そこへ学校が終わってから駆けつけて来た
    小学生たちがいた。

    独断で彼らに無料で入場を許した球場副支配人の心意気に打たれ、
    引退試合前日に名古屋での優勝パレードの為に東京への試合へ
    行くことを球団に禁じられた中日・高木守道の長嶋への電話で
    胸が詰まった。

    私は間に合わなかった。唯一無二の存在、長嶋茂雄の現役時代に、
    その引退の場面に間に合わなかった。

    本書を読んでつくづく思う。「4番、サード、長嶋、背番号3」の
    場内アナウンスをこの耳で聞き、長嶋のプレーをこの目で見た
    かった…と。

    ヒーロー。この言葉が最もふさわしい人の、活躍を知らぬことは
    何か大事なものを知らずに過ごしているように感じた。とっても
    損していないか、私は。
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    投稿日:2017.08.20

  • うどん

    うどん

    ミスタープロ野球、長嶋茂雄の引退の日を追ったドキュメンタリー。

    当時のミスターの人気と社会的影響の凄さを改めて思い知る。プロの世界は数字が全てだが、この人は例外。王貞治やイチローなど、長嶋を上回る数字を持っている選手はいるが、その数字を超越しているのが「長嶋茂雄の存在」だ。時代や社会、そして個人の才能、努力、運、全てが綺麗に結びついて、長嶋茂雄を作り上げた。そんな存在なのだ。

    ところで、長嶋の引退といえば「巨人軍は永遠に不滅です」という名言。しかし、長嶋引退の1日のクライマックスはこの言葉が発せられた時ではなかった。盛り上がりの最高点は試合直前、長嶋が1人で球場を1周し、ファンに直接挨拶し、涙を流したところ。この名シーンの感動を明らかにしたことが、本書の最大の見せ場。
    続きを読む

    投稿日:2015.02.24

  • eriko-m

    eriko-m

    長嶋さんの現役時代を知らない私のような世代の人が読んでも価値のある本だと思います。有名な「我が巨人軍は永久に不滅です。」の言葉以外に、長嶋選手引退の裏にこれだけのドラマがあったこと、当時の日本人にとって、長嶋さんがどれだけ英雄であったのかということが、初めて分かりました。続きを読む

    投稿日:2015.02.12

  • 岡本大輔@介護支援専門員

    岡本大輔@介護支援専門員

    このレビューはネタバレを含みます

    チェック項目6箇所。「監督が何を気にしていたかというと、ファンなんですよ。選手よりファン。ファンにどう喜んでもらうか、そのためにどういうチームを作って、どうやって戦うか。どういうタレントを集めるか。他の監督とは全然違うプロデューサーなんです、長嶋茂雄っていうのは、それを理解しないと。長嶋監督っていうのは理解できないと思う」(松井秀喜)。「ミスターはまだまだ肉体的にはプレーは出来た。だが、ミスターだからこそやめなければいけなかったのだろう。ON時代は終わった。ひたむきに打ち込んだ姿、あの情熱。それを今後は巨人にそそいでほしい。ミスター、本当に長い間、おつかれさんでした――」(王貞治)。「オイ、分かっとるな!」。「入団直前((昭和)32年、巨人の観客動員数は138万人だったが、長島入団後はうなぎのぼり、ピークの昨年は倍の277万人に達した。17年間の動員数、しめて”3577万人”――ここにも長島の大記録がある」。今ならとても許されない判断だったかもしれない、しかし、長嶋の最期の姿を見たいというちびっ子ファンのためならと、大人がそれを許した、そういう時代だったのである。「ファンの皆さんによって私は野球をやれたんだからね。ファンの声援に何とか応えようと、そう思って17年間、いつもグラウンドに立ってきた。ファンあっての長嶋茂雄なんですから。だからまずそういうファンに対する御礼として、何とかいい話をしたいというのがあったね」。

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    投稿日:2015.01.20

  • ナゴヤの本好き

    ナゴヤの本好き

    長嶋という一選手の引退試合だけで一冊の本がかけるという、改めて長嶋の凄さを感じた。

    ダブルヘッダー合間にグランドを回ったシーンのエピソードには泣けた。
    P116.117の写真は当時の感動を思い出させる。

    長嶋の引退試合に相手チームの中日が主力選手を出さなかったことは、未だに腸が煮え繰り返るが、優勝パレードを優先したという事実を知り、改めて煮え繰り返った。
    そんな中、高木守道が侘びの電話を長嶋にかけたというエピソードは、唯一救われるものであった。
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    投稿日:2014.12.30

  • 文藝春秋公式

    文藝春秋公式

    【「我が巨人軍は永久に不滅です」の真実】昭和49年10月14日、長嶋が現役引退した一日を完全再現。引退を決めた瞬間からあのフレーズが生まれた経緯までを本人が明かす。

    投稿日:2014.10.23

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