【感想】海のある奈良に死す

有栖川有栖 / 角川文庫
(134件のレビュー)

総合評価:

平均 3.4
15
38
53
10
3
  • 火村シリーズ×トラベルミステリ

    火村&アリスシリーズの第3長編。トラベルミステリ風味の本作では、事件の調査のため、火村とアリスがちょっとした旅に出かけます。実在する施設や名所がわんさか登場するので、読み終えたあとは実際に自分の足で巡ってみるのもいいかもしれません。
    表紙からもわかるように、本作では人魚が重要なモチーフとなっています。物語のあちこちに登場する「人魚」が互いに絡み合い、独特な雰囲気を生み出しているように思えました。
    ただし、ミステリとして現在も通用するかは微妙なところです。使われているトリックは、今読むとイマイチ納得がいかないような……。単行本版の初版が1995年なので、仕方がないとは思いますが。
    とはいえ、2人が旅する場面が楽しい作品でもあるので、本シリーズのファンなら読んで損はないと思います。
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    投稿日:2015.06.27

  • 有栖川有栖による作家アリスシリーズの長編作

    まず、タイトルが目を引く。無知な自分には「奈良に海なんかない」と即座に思ってしまうのだが、福井県小浜市は国宝級・重文級の寺社やゆかりの地が多く、歴史的にも海外との交易などで重要な地であり、奈良とのゆかりも深いことから「海のある奈良」と呼ばれているそうだ。
    もう一つキーワードとなるのが「人魚」だ。作中で不審な死を遂げる赤星楽が取材に行くといった場所が「海のある奈良」、書こうとしていた作品のタイトルが「人魚の牙」で、小浜は八百比丘尼とのつながりが深く、八百比丘尼は人魚の肉を食べて年をとらなくなったと言われる。
    これらの要素をうまく物語に取り込み、所々でガイドブックか歴史の解説書のような解説も盛り込まれ、物語が進行する。長編ということもあり、やや冗長に感じる部分もあるが、近畿から北陸にいたる地域で展開する物語に、いつかはそれをこの目で見たいと思わせるものも登場し、飽きさせない。
    作者が専業作家となって初めての作品ということで、相当気合が入ったと思われる。やや?と首をかしげてしまうところもないではないが、それも含めて労作であり佳作である。
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    投稿日:2016.06.28

ブクログレビュー

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  • マシュー

    マシュー

    旅行記のように様々な県の地名や歴史が詳しく書かれて、検索しながら読んでおりました。それだけで面白い&わくわくする。
    いつもながらにトリックは何一つわからず。エピローグ、加えて我孫子さんの解説まで読むと、どれだけ練られた構想なんだと驚嘆する。終わり方は切ない気がしますが、全ての伏線が綺麗に回収され脳みそにグッとくる作品でした。
    蛇足ですが、歴史や地名、行事、神仏のことなどが楽しく書かれたこういう本、この令和の世ではもっと読まれてほしいなぁと思いました。遠敷(絶対読めん)、須弥壇、お水取りエトセトラ。恥ずかしながら平成生まれも検索しながら読みました。そう言う意味でも脳みそにグッとくる。生きた教科書だと思います。
    しかしビデオの爪とか絶対わからないよね…それもまた時代を感じられて良いと思います。
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    投稿日:2024.01.17

  • ハルめめ

    ハルめめ

    「海のある奈良へ行く」といって一人の作家が亡くなった。時代がかなり古いので「そうだったよね~」などと懐かしみながら読んだ。

    投稿日:2023.12.01

  • no_identify

    no_identify

    このレビューはネタバレを含みます

    2回目の読了。

    正直、海のある奈良というものがそんなに大きな意味をもつとは思っていなかった。半分くらいミスリードだと思ってから。けど、けっこうそのまんまだった。もちろんミステリーとして。そして作中作という構成のせいか、主人公=作者という構図の妙なリアリティのせいか、時代設定という人によってはアンフェアと捉えるかもしれないファクターをストレートに持ってきても、まぁ作中作だしなみたいなある種の達観した読み方ができる。その達観さを導いたのは氏のなせる技なんだと思うから、そういう意味でアンフェアではないような気もする。

    大オチは古代なのかもしれないけど、宗教史や文芸史なども何層にも重ねてるし、かなりの大作じゃなかろうか。

    ただ、それにしても毎回漂う2時間ドラマ感はなんなんだろう?

    ------
    1回目の読了:2015/11/25

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    投稿日:2023.08.08

  • ほんすき

    ほんすき

    有栖川さんの火村英生シリーズの一作。
    火村シリーズはどこから読んでも読めるので順番を気にせず見つけたときに買って読んでます。
    ただ、海のある奈良は早めに読んだほうがいいかも?

    2人のやりとりが微笑ましいのは毎度のことですが新たな登場人物も出てきてこれからのシリーズも楽しくなりそう。
    伏線がたくさん出てくるので文を読んで読み解くのが好きな方にはおすすめ。
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    投稿日:2023.08.01

  • ariete

    ariete

    このレビューはネタバレを含みます

    人魚とか八百比丘尼とかお寺の事とか知れて面白かった。

    ただまた男女の問題か…とは思った。三角関係とか浮気とかそういうの多いなと思う。

    犯行方法も本当に出来るのかがはっきりしない…

    あとタバコを海に捨てるのは時代なのかな。

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    投稿日:2023.06.24

  • キラ

    キラ

    1998年の作品で、
    作者の有栖川有栖さんはこの作品から
    サラリーマンを辞めて専業作家になられたんだそう。

    "海のある奈良”と呼ばれる小浜を舞台に、
    アリスの同業者である作家の赤星の死の謎を
    火村と共に解いていく本作。
    舞台を様々に移しながら物語が進んでいくので、
    読み手も旅をしているような感覚に浸れます。

    ストーリーは好きでしたが、
    少し寄り道が多いように感じました。
    結末も個人的に腑に落ちなかったので、★3に。

    ですが、相変わらず
    アリスと火村のやり取りは面白いですし、
    火村の闇の片鱗が見えてきて目が離せません。
    続きが楽しみです!
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    投稿日:2023.02.01

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