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椎名誠 / 集英社文庫 (50件のレビュー)
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総合評価:
hoge2
未来世界を舞台にしたロードノベル
「地球の長い午後」、「地獄のハイウェイ」、そして「宝石泥棒」といった名作群の系譜に連なる、未来の地球を舞台にしたロードノベルです。 先に挙げた諸作と同様に、想像力を駆使した未来世界と奇抜な生物の描写が…本作の肝の部分だと思います。 本作では、広告が過剰化した結果、荒廃した世界が舞台となっています。主人公たちは、思い悩むよりも行動するタイプで、そんな彼らが誰もいない街中でいまだ夜空に繰り返される宣伝の数々、広告のために改造された奇抜な生物が跋扈するなかを旅していきます。 異世界描写は優れているものの、「地球の長い午後」などと比べて、SF的な仕掛けが弱くその分がマイナス評価となりましたが、カラッとした文体は読みやすいので、SFに慣れていない人にも十分お勧めできる水準だと思います。続きを読む
投稿日:2015.05.28
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あしげ
文庫で読むのは初めてでした。(何も変わらないですが) 何度読んでもおもしろい。 父親になってから読むと、今まで感じなかった「地ばしり」の気持ちに感情移入しました。ちょっと驚きでした。 最新のアニメ技術…でぜひ映像化してほしい。続きを読む
投稿日:2023.05.29
ute
椎名誠さんのSFは、私的に至極の一品 気持ち悪さの描写がリアルで生々しく、爽やかな場面ではより爽快感を感じられる 定番な表現だけど、自分がそのSFの世界に入り込んだ様な錯覚を覚えて毎回本当に楽しめる… お金の無かった10代の時に図書館で借りて読み、すぐに買った本であり、大切な本です続きを読む
投稿日:2023.01.03
百々目
最初に読んだ時に途中で挫折して、数年後に再チャレンジで挫折したところを頑張って読み進めて最後まで読んだら、あれっなんか分からないけれど凄く良いかもって思って、3回目じっくり読んで何故か透明フィルムで傷…まないように表紙コーティングして大切な一冊になりました! でもやっぱり途中の樹木のところはしんどい(--;) ソコを乗り越えて頑張って最後まで読んでほしいです! 余談ですが、この本をみると私の頭の中には何故かムーンライダーズの『Y.B.J.(YOUNG BLOOD JACK)』という曲が流れます!続きを読む
投稿日:2021.07.14
phonsan
四半世紀ぶりに再読。やはりこの独特の世界観には強く引き込まれる。この世界の話をもっと読みたいと思うが、未だ他の作品は出ていない。いくらかの重要な謎を残し、いかにも続編がありそうな終わり方なのだが。 … とても映像化向きの作品なのに、そうならないのは作者の意向なのだろうか(アニメ化の話はあったそうだが立ち消えたとの噂でもあるし)。 椎名さんのSFを読むと、想像上の事物に対するネーミングに強いこだわりを感じる。「名は体を表す」というが、可能な限り「名で体を表そう」とされているようである。中には、名前だけ出されて説明がなされないことすらある(いきなり出てくる「指巻きや腸出しといった重刑」って何だ...)。 名前を聞いてそのモノの姿かたちを想像するというプロセスは、この本の楽しみのひとつだろう。しかし、一度でも映像化してしまえば、そういった楽しみ方はできなくなってしまう。そういうことなのだろう。続きを読む
投稿日:2021.05.12
いなえしむろ
オズの魔法使いかな 世界観に驚く。古い本だがアイデアと作り込まれた世界が素敵だ。筋書きよりも、その世界観を楽しむ物語だな。少し長いので一気読みは辛いな。
投稿日:2020.11.01
ま鴨
このレビューはネタバレを含みます
いつの時代とも判らぬ、荒廃した地球。K二十一市に住むマサルと菊丸の兄弟は、マザーK市からやってきたという男から生き別れの父の名を聞き、父の足跡を追ってマザーK市へと旅立つ。街の外に広がる荒野には、人体を浸食するヒゾムシや全長数十メートルに達する地ばしり、声高に宣伝文句をわめき散らすアド・アードなど、独自の進化を遂げた生物たちが跋扈し、マサルと菊丸は幾度も危険な目に遭いつつもマザーK市をめざす。途中出会った謎の男・キンジョーの助けも借りつつ、ようやくマザーK市へと辿り着いた兄弟は、この世界が荒廃した原因を知ることになる・・・ いやいやいやいや、鴨的に椎名誠と言えば「とぼけた味わいのエッセイスト」というイメージだったので、この作品が日本SF大賞受賞作ということは存じておりましたが果たしてどんなもんだろー、と低いハードルで読み進めて、深く反省。正に直球どストライク、堂々たるSFです。 マサルと菊丸の兄弟が父を捜して冒険の旅をする、という、極めてシンプルなストーリーです。余計な伏線は一切ありません(物語の途中で兄弟が一切出てこない章が挟まり、よくわからない情景が描写されますが、これらの章の意味は読み進めるうちにわかってきます)。マサルと菊丸の心理描写も実にあっさりした淡白なもので、平易で淡々とした筆運びで物語が展開されていきます。 その淡白さを埋めて余りあるのが、圧倒的な情景描写、そして椎名誠節炸裂の言語感覚。特に、何の説明もなくいきなり登場する異形の生物たちの躍動的な描写といったら、なんだかよくわからないんだけど存在感だけはやたらとあるという(笑)強烈なインパクトを脳裏に残します。こうした生き物にも土地や建物や食べ物といったものにもいちいち極めてユニークな名前が付けられており、独特の諧謔味すら感じさせます。必要以上に登場する変な擬音も素晴らしい!どの場面でも、常に何かの音が響いています。 要は変な生き物と変なネーミングがわんさと登場する、ファンタジー寄りのライトな作品よね・・・との第一印象を持ちつつ読み進めると、次第に明らかになるSFの骨格。 世界が荒廃したのは二大広告企業同士の「広告戦争」がきっかけであり、跋扈する危険生物たちは「広告戦争」により生み出された生体兵器が制御不能な進化を遂げた成れの果て。わずかに生き残った人間は広告企業により搾取され、脳髄を兵器として使用されている・・・ もはや商品を買う人間が激減した世界で、日夜流れ続けるケバケバしい広告。その広告の意味を何ら理解しない異形の生物が、広告の灯りに照らされながら蠢く。なんという想像力の極北。 さらに鴨がこの作品にSF魂を感じたのは、語弊を恐れずに言えば、主役の兄弟二人の深みの無さです。 ステロタイプな感情表現しか描写されないので感情移入できず、そもそも突然父親を捜す旅に出る動機付けがよくわかりません。この二人よりも、アンドロイドのキンジョーや脳髄だけで生きるターターさん(ビジュアルがジェイムスン教授そのもの(笑))の方が、よっぽど個性があって魅力的です。 おそらく、主役の兄弟二人はこのストーリーを先に進めるためのドライバーに過ぎず、真の主役はこのユニーク極まる世界観そのものなのでしょう。人間ドラマがなくても十分物語として成立するのが、SFというジャンルの面白さ。そうした意味からこの作品は、実は相当ハードコアなSFと言えると思います。
投稿日:2019.11.30
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