【感想】もろこし桃花幻

秋梨惟喬 / 創元推理文庫
(7件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
0
3
3
0
0
  • ヒストリー?ファンタジー?いえいえミステリーです

    「天下の一大事を無視することもあれば、一人の子供を救うために駆けつけることもある、その真意は誰も知らない」
    唐土の地で、不思議な力をもつ男女が、時代を越えて活躍したりしなかったり。謎解き仙術ミステリー、銀牌侠サーガの第3弾。初の長編です。
    とはいえ、このような予備知識なしに、この作品から読んでも、問題なし。私も、前作を読んでからしばらく経っていたので、過去のシリーズに登場した人物や設定はおおむね忘れていました。それでも十分楽しめたので間違いないです。

    読み始めてしばらくは、古典を元にした、謎めいた舞台設定が示されます。元朝末期の乱世ですし、超人的な登場人物も出てきますから、いざ事件が起こっても、あまりミステリーらしく感じないかもしれません。
    しかし、これはたしかに事件なのです。社会的な背景があり、関係者の利害に基づいた、合理的な作為がある。ただし、真相はうまく隠されていて、最初はその全貌は見えません。
    なまじ優れた力があったり、経験を積んで、世の中そんなものとわかったつもりでいると、おかしなことが、おかしいと見えないこともある。現代の我々の暮らしでも、よくありますよね。
    事情がわかれば、不思議でも何でもない。なぜこんな明白なことに気づかなかったのかと、目から鱗が落ちることになります。これぞ、優れたミステリーを読む楽しみですね。

    終盤、理不尽に命を奪われた人々のために、きちんと怒り、悲しむ主人公。彼の世間知らずに苦笑しながら、少しだけ力を貸してくれる超人たち。
    主人公が誇りにしている学識や知性は、事件の解決にはほとんど役に立ちません。しかし、厳しい現実を知り、虚無に呑まれそうな人々に、生きる使命を、行動する動機を与える能力こそ、エリートとしての優れた資質なのかもしれません。

    期待どおり、最後まで面白かった。
    あの人の過去や、この人のその後も気になるし、これからもう一度、「もろこし銀侠伝」「もろこし紅游録」を読み返してみます。
    よろしければ、あなたもどうぞ。腕っぷしが強いヒロインも、予想以上にかわいいですよ。
    続きを読む

    投稿日:2017.03.18

ブクログレビュー

"powered by"

  • izumowol

    izumowol

    もろこしシリーズ初長編。あれやこれやとキャラクター
    総登場の様相を呈しとても豪華な作品となっている。
    ミステリ成分は相変わらず薄めだとは思うし「またその
    手を使うんですか⋯」と思ったのも事実だが、例に
    よって私が読みたいのはそこではなく(笑)。

    <以下水滸伝好きにのみ向かって>

    おそらくは行者の形見であろう二振りの戒刀で大暴れ
    する豹子頭が矛を相手に啖呵を切り、蛇矛を得て魔神と
    化す。鼓上蚤が単に軽功だけでなく神行法まで会得して
    おり元禁軍師範の相棒として大暴れ。もうこれだけで
    鳥肌が立つほどの喜びだった。特に蚤は好きなキャラな
    上に北方水滸では早々に退場したので、ここまで活躍
    させてくれて感謝感激、もうホント単純な水滸好きで
    すみません(笑)。双鎗将の綽名まで出てくるサービスぶり
    です。

    今回と同じように水滸キャラが大暴れするならぜひ
    続いて欲しいなぁ、このシリーズ。
    続きを読む

    投稿日:2015.03.22

  • k007kc

    k007kc

    シリーズものらしいけど,これだけでも読める。

    林冲と時遷だとは最後まで全く気がつかなかった。

    そしてシステムの概念が諸子百家にあるらしい。
    調べてみよう。

    投稿日:2014.06.26

  • housekeeperz

    housekeeperz

    中華なミステリ、もろこしシリーズ第三弾。
    今回も雰囲気がいいですね~。中国の歴史とか詳しくないですが、それでもというかだからこそ独特の楽しみがあるようにも思います。たとえて言うなら、ニンジャサムライが活躍するファンタジー日本みたいな。中華ファンタジー。変な説明。

    そして今回は初の長編です。長編ならではの読み応えもあって満足度が高かったです。

    しかし、毎回思うんですが、水滸伝や三国志など中国の有名歴史小説とかを熟知していたら「ここであの人物が!」とかより楽しめるんだろうなあ・・と。いやまったく知らない自分でもかなり面白く読めてるので知らない方にもお勧めではあるんですけど。
    続きを読む

    投稿日:2013.03.05

  • shunans

    shunans

    道に迷った漁夫が行き着いたのは、戦乱を逃れた民の子孫が王朝の変遷も知らず平和に暮らしているユートピアだった―陶淵明『桃花源記』を思わせるのどかな村にやってきた、陶華ら旅の一行。ところが、落ち着く間もなく大騒動に巻き込まれ、下手人扱いの憂き目に遭う。道すがら連れになった一癖も二癖もある顔ぶれを見ればそれもやむなしかと、凡人の陶華は溜息をつくが…。もろこしシリーズ(「BOOK」データベースより)

    もろこしシリーズ第3弾。
    中華ものの中では断トツでこのシリーズが大好き!
    順調にシリーズを続けていってくれるようで、うれしい限りでございます♪
    今回は中華版クローズドサークルもの長編。
    視点がいくつかに別れますが、最後に一気に収束に向かうところでぞくぞくします。
    水滸伝好きな人にうれしい設定もあり。
    もちろん銀狭伝や紅游録に出てくるあの人(っぽい人)も登場。
    若とじいのコンビ好きにはたまらない一冊。
    続きを読む

    投稿日:2012.05.14

  • りんり

    りんり

    もろこしシリーズの3作目
    中国武侠小説のパロディとして書かれたもの。
    私自身は武侠小説というものを読んではいないのだけれど、
    このシリーズは好きだ。
    今回は初の長編で軽く書いているけれど、結構シビアな部分もある。
    まだまだシリーズは続くらしい。
    自分の身辺が大きく変動している今は、軽いものくらいしか読めないな…
    続きを読む

    投稿日:2012.04.07

  • yamajtn1203

    yamajtn1203

    設定を生かしたミステリーですね。
    プロローグ的に挟まれた状況から村に入り連鎖する大量死、そして終盤に明らかになる事実…
    いい作品です。

    投稿日:2012.04.02

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。