【感想】A―A’

萩尾望都 / プチフラワー
(17件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
4
6
6
0
0
  • 私=私である理由

     恋人がその本人であることは何で決まるのか? 姿形?記憶?DNA? それらすべてを持つクローン、アデラド。でも恋人として自分と過ごした記憶は無い。彼女は何者なのか?
     SFとしては普遍的、古典的なテーマを、見事なラブストーリーにしたてつつ、「人とは何か」を浮かび上がらせる名作!
     全体としては、能力を持つ一角獣種をテーマとして、主人公は変わり、ストーリーのつながりもありません。表題作以外は、他者と違うことの孤独を軸にしたラブストーリーで、SF色は薄い感じです。
     それでも表題作だけでも読む価値ありです!
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    投稿日:2014.11.17

ブクログレビュー

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  • キじばと。。

    キじばと。。

    「一角獣種」と呼ばれる、特徴的な髪色をした登場人物たちが主役を務める短編作品6編を収録しています。

    表題作「A-A'」は、惑星開発プロジェクトのメンバーだったアデラド・リーが事故で亡くなってしまい、彼女のクローンがあらたなメンバーとしてやってくる話です。アデラドの恋人だったレグ・ボーンは、クローンとなって帰ってきた彼女と打ち解けることができず苦しみますが、しだいに二人の心に変化が生じることになります。

    「一角獣種」の登場人物たちはいずれも感情の動きを表面に出すことがすくなく、そうした彼らに戸惑いながら、自分自身の感情に駆られていく周囲の人びととの対照が印象的でした。
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    投稿日:2021.09.10

  • すんしん─金欠の腐クロウ─

    すんしん─金欠の腐クロウ─

    萩尾望都『A-A’』読んだ。

    読み終わりたくなかった。
    SF多めの作品集。

    “一角獣種”に関する物語が3作品収録。
    (表題作A-A’と、その続編4/4と、X+Y)

    あと「ユニコーンの夢」と、「6月の声」、「きみは美しい瞳」。

    私が古本屋で手に入れたこれ、想定ってかカバーが違うんだよな。通常と。


    -----------------------------------


    一角獣種という神秘的な種族を描いてるが、物語の中ではアクセント的な役割。この必要だけど重要かといわれると難しいバランスを保てるのスゴイと思う。

    -----------------------------------

    一番好きなのは「きみは美しい瞳」。夢鳥というキャラクターを通して、主人公等の想いが描かれ、自分の心と向き合ったり自分に絶望したりする。主人公のハプトが攻撃的なのは、傷つきやすいからなのだなと。整合性。
    そして美しいものは更に遠く、この物語のラストに相応しい。これしかないと思える。
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    投稿日:2019.11.11

  • knkt09222

    knkt09222

    このレビューはネタバレを含みます

    ユニコーンに関する連作。表題作は特に素晴らしい。

    @@@@@

    202109再読。
    ■A-A’ 46p
    不思議なタイトルだが、クローンのこと。
    アデラド・リーという一角獣種の少女が、なんというかクーデレ。

    ■4/4 カトルカース 50p
    モリという少年がトリルという一角獣種の少女と会って。
    表題作は独立しているが、本作は表題作を引き継いだ上、次に繋げていく、転機。
    孤独の共鳴。人形じゃないという。

    ■X+Y〈前編〉 50p
    ■X+Y〈後編〉 50p
    序盤は現れないが、モリが現れて視点が固定されるので、あー「カトルカース」の続編なんだんと判る仕組み。
    性転換というギミックは「11人いる!」のフロルっぽいが、そもそもSFと性選択は親和性が高いのかも。
    アデラド……トリル……タクトという一角獣種「不思議ちゃん」の系列。

    ■ユニコーンの夢 31p
    寓話的な話だが、やはり一角獣が題材に。
    「A-A'」から「X+Y」は1981-1984の作品であるのに対し、本作は1974年。
    見比べることで明らかに絵柄は変わっているが、他に気づいたのはモノローグ。
    70年代はモノローグ多め、80年代はここぞという決め場面にモノローグを限定して使っている、と。

    ■6月の声 31p
    1972年。
    「わたしは六月に行くのだから…」

    ■きみは美しい瞳 40p
    1985年。
    本全体の構成として、80年代が70年代をサンドイッチし、3分の2は一角獣種がモチーフになり、全体として宇宙SFということになるが、本作はやはり異色(「モザイク・ラセン」収録で読んだときと同じく)。
    あるいは「夢鳥」の人形性・とらえどころのなさが、一角獣種と通じるものがあるんだろうか。

    ◇エッセイ―季節を描くこと:浦沢直樹(漫画家)

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    投稿日:2016.07.14

  • しろかぎ

    しろかぎ

    うーん好きだ。
    〔一角獣種〕と〔カレイドスコープ・アイ〕。
    「A-A’」もいいけど、「X+Y」と「きみは美しい瞳」が特に好き。

    投稿日:2015.10.22

  • kikichigai

    kikichigai

     記憶と傷をめぐって綴られる『A-A'』の緊密・厳格な構成、突きはなしの残酷さには圧倒されます。萩尾望都の短編では『半神』と双璧をなす、と言えるのではないでしょうか。全作品中でも最も好きな掌編です(アデラド・リーが綾波レイのモデルだという噂は本当なのかな)。
     短編好きとしては最後の『きみは美しい瞳』もたまらないものがあります。
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    投稿日:2014.01.31

  • ちょ

    ちょ

     一角獣種という架空の生き物を通して、まざまざと見せつけられる。
    「ありのままの不器用なあなたでいいのよ」という肯定感。そう肯定されなければ死んでしまうというくらいの不器用さだ。
     子供じみている、バカバカしいと思いながらも、それは、甘く優しく魅力的に映る。

     SFと言う舞台だから見られる夢である。
     現実でこれを描いたら、さすがに夢が覚めてしまう。
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    投稿日:2013.06.15

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