【感想】11月のギムナジウム

萩尾望都 / 小学館文庫
(21件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
8
6
4
1
0

ブクログレビュー

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  • knkt09222

    knkt09222

    このレビューはネタバレを含みます

    以前読んだのは同じ小学館文庫だが旧版(カバーイラストが萩尾望都ではない)で、収録作品も異なる。
    今回初読だったのは、「もうひとつの恋」と「セーラ・ヒルの聖夜」。
    どういう経緯で前回の文庫化の際に未収録だったかは知らねども、今回躍り出た2作によって、一冊の本として豊かになった。
    まずは「もうひとつの恋」、本書で唯一コメディ。
    大いに息抜きできる。その上ただの箸休めではなく、「双子」の系列で意義深い。
    そして「セーラ・ヒルの聖夜」。
    冒頭の表題作と呼応するように、またも「双子」テーマ。
    しかも家族を前面に押し出してきて。
    一冊の中で何度も「双子」と「家族」が手を変え品を変え現れる。
    これが作者にとって切実でなくて何と言うのか、というところまで考え抜かれたセレクト。
    この文庫本自体が美しい。

    ■11月のギムナジウム 45p
    既読。
    ■秋の旅 24p
    既読。
    ■塔のある家 31p
    既読。
    ■もうひとつの恋 40p
    初読。
    ■かわいそうなママ 31p
    既読。
    ■白き森白き少年の笛 32p
    既読。
    ■セーラ・ヒルの聖夜 80p
    初読。
    ◇エッセイ―一九七〇年代の東京パラダイス:羽仁未央(エッセイスト)

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    投稿日:2023.10.10

  • ほうじ茶子

    ほうじ茶子

    11月になったら読もうと決めていた7編を収めた萩尾望都さんの初期短編集。
    表題作は、あの「トーマの心臓」の原型となった作品。50ページ足らずの短編だけどとても魅了させられました。

    最後の「セーラ・ヒルの聖夜」には涙。偶然に自分たちが双子と知ってしまった兄妹のお話。子どもの方が断然大人で冷静なのが印象深い。

    かつての憧れの中の外国(ヨーロッパ)の雰囲気(お城、妖精、薔薇)が溢れててうっとり。
    同年代の羽仁未央さんのあとがきも良かった。
    「トーマ」を読んでまた、読み返そうと思う。
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    投稿日:2021.11.14

  • elephant

    elephant

    このレビューはネタバレを含みます

    名作「トーマの心臓」の原型となった「11月のギムナジウム」。両親の不仲に耐えかねギムナジウムに転入したエーリクは自分とそっくりな少年トーマと出会う。そこで彼らの悲しい出生の秘密を知る。
    新しい家庭を築き生き別れた父を訪ねてきた少年を描いた「秋の旅」
    塔のある家に引っ越してきた少女マーティは塔に住む3人の妖精と仲良くなる。成長とともに妖精が見えなくなりやがて別れを迎えるが、妖精はささやかな魔法をかけていた「塔のある家」
    結婚式の日に花嫁に死神がお迎えにきた。しかし彼女には双子の弟がいて。。。結婚式の日に死神を巻き込んで起こるコメディ「もうひとつの恋」
    転落死した元恋人を訪ねてきたシーフレイクは彼女の息子から驚くべき事実を聞かされる「かわいそうなママ」
    10歳のマリアは森で笛を吹く不思議な少年エディと出会う「白き森白き少年の笛」
    冬休みを祖母の家で過ごすためセーラ・ヒルにやってきたキャロンは、自分とそっくりなクリスと出会う。彼らは12年前に生き別れた双子の兄弟だったが、事実を知った彼らの両親は彼らを引き離そうとする。クリスマスに教会の聖歌隊として歌った彼らの歌が、頑なな大人の心を解きほぐしていく「セーラ・ヒルの聖夜」。「あたしはたくさんの人を知っている なんてたくさんの人があたしやみんなの幸せのために祈っているのだろう...! 幸せだということを忘れてはいけません... ええ、決して!」

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    投稿日:2021.07.16

  • かおり@iRoakg

    かおり@iRoakg

    表題作は『トーマの心臓』の原型になった作品を含む初期短編集。時代背景や当時の少女漫画の傾向もあるのだろうけど死別や養子になってるパターンが多い……

    投稿日:2016.05.27

  • キじばと。。

    キじばと。。

    初期短編7作を収録しています。

    「11月のギムナジウム」は、『トーマの心臓』の別一つのヴァージョンというべきストーリーで、ヒュールリンのギムナジウムに、トーマ・シューベルとそっくりのエーリク・ニーリッツという少年が転入してくる話です。生き別れになったきょうだいという、著者が繰り返し描くテーマに沿って構成されており、『トーマの心臓』に比べると登場人物たちの心情の描写が若干粗い印象もありますが、短編らしくぴりっとまとまった作品です。

    「秋の旅」は、ヨハン・シェスターという少年が、両親の離婚によって離れ離れになってしまった父親のモリッツ・クラインの家を訪ねる話。「塔のある家」は、マチルダという少女が、塔のある家でフォーラ、ビビ、デデという3人の妖精に出会う話。

    「もうひとつの恋」は、本書の中ではもっともコミカルなストーリーです。明日結婚式をあげるはずのジョゼフィン・ニースは、交通事故で死んでしまいます。しかし、どうしても結婚式に出たいという思いを断ち切れない彼女は、弟のジョンバインの身体に入り込み、結婚式を強行しますが、やがてジョンバインが意識を取り戻し、大騒動となってしまいます。

    「かわいそうなママ」は、別れてしまったかつての恋人のことを思い続けていたエスタ・ボストンが死亡し、報せを受けて恋人だったマーティン・シーフレイクが訪ねてきます。そこで彼は、エスタの息子のティモシーから、エスタがどんな毎日を送っていたのかを聞かされることになります。

    「白き森白木少年の笛」は、11年前に森の中の井戸に落ちて命を落としたエドワード・フォスターという少年の幽霊が、マリアという少女の前に現われる話です。「セーラ・ヒルの聖夜」は、幼い頃に互いに離れ離れになって育ったキャロン・ダーリングとクリス・ライバーの双子のきょうだいが、セーラ・ヒルで再会する話です。

    いずれも短編なので、ストーリーの展開の中で登場人物の心が揺れ動いていくというよりも、初めからキャラクターが設定されているという印象はありますが、それだけにかえって著者の描こうとしているテーマが明確になっているように感じました。
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    投稿日:2016.02.19

  • nashi

    nashi

    「秋の旅」
    流石に古いなぁ~と感じながら読んでいたらまさかの衝撃…
    記憶を回想するシーンに胸がジーンと来て、
    ラストの言葉に主人公と一緒におもわず涙。

    投稿日:2012.08.13

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