【感想】冬の巨人

古橋秀之, 藤城陽 / 富士見L文庫
(14件のレビュー)

総合評価:

平均 3.4
1
5
5
2
0
  • この設定は堪らない!

    太陽の光は厚い雲に遮られ、風と雪に覆われた極寒の地で千年の長きにわたり延々と歩みを止めない巨人(ミール)。その肩に10万人もの人口を抱える町を背負い、その身体から発する熱で暖を取り、その歩みが暦になる。ミールとは巨大なものという意味を持ち、そこの住む人々にとって街であり、世界そのものであった。

    子供の頃からゲームの攻略本や設定集を読んで想いを馳せるのが、実際にゲームをする以上に楽しかったというくらいの設定夢想家である私にとって、この設定にはドキドキワクワクです。(表紙のイラストも良い!)この巨人が現実に存在したとして、それを見上げる様を想像して興奮してしまいました。

    ただ、後半の展開に大いに不満です。もっとこの世界に対する重厚な物語を期待していました。この結末はこれはこれで夢があって面白いとは思いますし、あとがきに書いてあった筆者のこの作品に対するテーマを読むと納得は出来るのですが、私がこの作品を読み終える前に、想像を膨らませ過ぎて期待値を上げてしまったことと、筆者が書きたかったテーマと私が求めていた展開との隔たりが大きかったことが問題で、そこは非常に残念でした。
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    投稿日:2014.10.09

  • ラノベ読みにも、SFの読者にもおすすめな作品

    古橋秀之といえば、ブラックロッド三部作です。日本式サイバーパンクの最高峰で、ぶち切れた設定とストーリーでした。正直ラノベの枠をこえていました。

    本作でも、彼の想像力はいかんなく発揮されています。冬の世界を歩く巨人の背中にのる都市なんて、ワクワクするじゃないですか。

    そして、本作は「滅び行く世界」というファンタジーなどでは定番のプロットですが、ハッピーエンドです。ブラックロッドではパンクっぽく壊れてましたが、ラノベ向けにやり方を変えましたね。ディストピア的な結末もアリですが、こっちもなかなかです。ストーリーもボーイミーツガールだしね

    ラノベだけど、しっかりしたSFのイマジネーションがある爽やかな作品でした
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    投稿日:2014.09.14

  • シナリオ本筋が薄い

    主人公がレーナ(ヒロイン1)と会うまでは世界観説明でこれからストーリーが動き出すのかな〜という所で100/150ページ経過。
    結果、素晴らしい世界観を作り上げるのには成功していますが、本筋のストーリーが駆け足で薄くなっています。
    良かった点
    ・ロシアっぽい冬の雰囲気
    ・ディストピア的な格差社会と世紀末感の描写
    ・人間が動く巨人に寄生して生活しているという設定
    ・ヒロイン2人
    いまいちだった点
    ・主人公が上級国民を「話せば理解してくれる」と信用しすぎている
    ・レーナ、巨人の謎が明かされない
    ・後半描写が薄い
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    投稿日:2018.09.12

ブクログレビュー

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  • yo-5h1n

    yo-5h1n

    厚い雲に覆われた極寒の地を千年にわたって歩き続ける、鉱物質の体を持つ巨人ミールの背の上で、その体熱を動力として人々は都市を築き、生きている。
    ミールの研究を続ける変わり者教授の助手、オーリャは、雲の上でひとりの少女に出会った。


    古橋秀之さん、初読。
    閉じられた世界から、新たな世界へ…という物語を、一時間で読み終えてしまう分量で…とにかく何もかもが、うす味。

    【ファンタジー史に残る傑作】は、さすがに言いすぎでは…
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    投稿日:2022.05.28

  • 大吉堂

    大吉堂

    厚い雲と雪に覆われた世界を歩む巨人の背に作られた都市。空で出会った謎の少女。世界の終焉がやってくる。
    特異な設定が死と再生の物語を彩り、物語を構成する要素がギュギュッと詰まって大満足な面白さ。ラストの美しさも至極で、単巻ものの魅力を堪能できます。続きを読む

    投稿日:2022.03.26

  • なゆた

    なゆた

    歩く巨人の背中に都市があって人々が住んでいる。その巨人は永遠の大雪原を歩き続ける・・・。設定は面白いし、とても興味をそそるものだが、如何せん内容が薄い。主人公のオーリャも中途半端な性格で好きになれないし、レーナも一体何だったのか分からない。生まれ変わった巨人の歩いたあとに花が咲いて草木が生い茂るって、水前寺清子の歌かって突っ込みたくなるラスト。続きを読む

    投稿日:2019.10.18

  • castlekey

    castlekey

    このレビューはネタバレを含みます

    ミールと呼ばれる巨人の上に住む人々の物語。
    外市街に住む主人公のオーリャは初めての調査行から帰ってくると、とある才能から新たな調査行の担当に選ばれた。その調査行での出会いをきっかけにミールでの生活が大きく変化していく…というお話。

    この薄さで世界観や設定が、非常にしっかりしていて良い意味で驚いた。

    ページ数が少ないが故の終盤の怒涛の畳み掛けがあるものの、前半のモノクロな世界が色鮮やかに変化していく最後の展開は情景が目に浮かぶようでよかった。

    ワンダと巨像というゲームをやったことがある方は、情景描写がしやすいのではないだろうか。
    設定こそ異なるが、広大な世界というより、矮小な自分たちの世界と初めて見る圧倒的スケールの巨人といった世界観はどちらもファンタジー好きにはたまらない情景である。

    これはこれで完結しているので文句があるわけではないが、後日談や前日談、本編のもっと詳細な描写など膨らませる余地は多分にあると思う。
    明かされていない設定などがかなりあるだろうから、続編に期待したい。

    個人的には登場人物の名前が大変覚えにくかった。日本人が命名したわりにはかなり読みにくい名前だと思う。

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    投稿日:2018.07.20

  • 橘

    このレビューはネタバレを含みます

    雪の降る寒い日に読み終わりました。とても好きな世界です。
    雪原を歩く巨人の背中に作られた都市に住む人々の話…登場人物たちも真摯で好きです。
    ここが世界の果てか、と思います。千年の歩みを止めて崩壊した巨人と、住んでいた人々のこれからが気になりますが、ここで終わるのが良いのかもしれません。
    寒い日にぴったりな本でした。

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    投稿日:2018.02.05

  • 霧崎寧々

    霧崎寧々

    情景描写はとても綺麗だった。
    富裕層とそれ以外の層の隔離、終末党にミール信仰、巨人というワードのせいか進撃の巨人を連想してしまった。
    こんなに素敵な設定があるのだから、この世界観でもっと読みたかった。
    なぜ巨人が歩いていたのかや、レーナの正体について扱ってほしかった。
    最後は、ご都合主義がすぎるのではないか。
    オーリャはカメラアイでも持っているのか。
    教授の言う巨人の目、外からの目というのは、私たちにも必要なものだと思う。
    続きを読む

    投稿日:2017.03.15

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