不可触民と現代インド

山際素男 / 光文社新書
(8件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
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ブクログレビュー

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  • ドドリアさん

    ドドリアさん

     インドカースト問題における日本人第一人者の山際素男の「不可触民」続編。ショッキングな現状よりも、現代インドの、目覚めた不可触民たちがいかにしてその歴史文化的ジレンマと戦い進んでいるかのレポート。
     これを読んで正直自身の理解の足りなさ、関心の低さに失望する思いだった。アンベードカルを全く知らなかったし、聖人ガンジーとは何者であるかと再考せざるを得なくなった。歴史と宗教、そして人の生命に対して思いを巡らす時間になった。

    17/2/27
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    投稿日:2017.03.01

  • wankoronyan

    wankoronyan

    このレビューはネタバレを含みます

    日本人には理解できないインドのカースト制度。不可触民とはなんなのか、なぜヒンドゥー教なのか、踏み込んでいく。

     バラモンが独占したもの、それは富や権力よりも「知」である。人がなぜ「知」を求めなければいけないか。インドから学べる。


    _____
    p19 権力者は己の正体を暴かれるのが怖い
     真実が暴かれれば支配者はその存在が危ぶまれる。ヒンドゥー教のバラモン階級はまさにそれだ。
     異民族が支配に利用した宗教がヒンドゥー教であることを明るみに出せないのだ。

    p19 ビームラート=アンベードカル
     バラモンの正体を見破り、公然と彼かの権威と偽善性に挑戦した不可触民の指導者。
     こんな人知らなかった。ガンジー・ネルーと並ぶインドの偉人である。

    p44 浄・不浄
     ヒンドゥー教は「浄・不浄」の観念で、人間だけでなく自然やすべてを差別する宗教である。

    p45 インドのトイレ
     インドのトイレは便器でない。外で排泄用のツボに用を足す。都心の外国人のいるような土地では水洗設備もあるが、田舎ではトイレがないのがふつうである。
     この糞壺を回収するのが不可触民である。

    p57 ヒンドゥー教VSイスラム教
     東パキスタンでは元来宗教対立はなかった。しかし、イギリスからの独立後の分断で宗教対立が意図的に起こされ、大虐殺や原爆所持にまで至る対立になってしまった。

    p63 政府の嘘
     インドの人口85%がヒンドゥー教であるという政府発表があるが、それは支配階級が自分たちの特権が脅かされないように発表しているプロパガンダであり、仏教・イスラム教・キリスト教に改宗する者が増えている。2,30年もすればヒンドゥー教はマイノリティになるかもしれない。

    p66 イギリス人の罪
     インドにカースト意識を甦らせたのはむしろイギリス人だった。イギリス人が導入した郵便制度が村落の各人の姓名を明らかにし、人々のカースト意識を意識させるようになった。
     
    p69 ガンジーとヒンドゥー教
     ガンジーはインドの独立はカースト制度の中で行われるべきと考えた。カーストはインドの自然な状態であり、それが人々に生きる意味を絶えず与え、幸せをもたらす。と考えていた。
     ちなみにガンジーはヴァイシャ(商人)階級出身である。ガンジーはヒンドゥー教支配階級の絶大な支持を受けたし、ガンジーが独立の父として強烈な存在になるようになった。
     後年カースト制度に反対するようになった。

    p87 先住民
     不可触民は自分たちのことをダリットと呼ぶ。彼らはアーリア人がインドに侵入してくる以前から住んでいた先住民である。
     ブラーミンの広めたヒンドゥー教以前は、ダリットは仏教かジャイナ教だった。
     カーストはバラモンたちが作ったもので、不可触民たちから知識や知的能力を奪い取り、正しい判断力や価値観を根絶やしにした。バラモン階級は知識を独占した。
     知識を独占されると、こういう格差社会が出来上がるのだ。だから、教育はすべての人間に与えられなければいけない。

    p104 侵略
     アーリヤ人は鉄製武器と騎馬を用いて一気にインドを侵略した。アーリア人が徐々に移動してきて土着したという研究もあるが、政治的圧力の気配がしてならない。
     完全にヨーロッパ系のアーリア人は侵略者で、その支配と差別政策がいまだにインドでは残っているのである。

    p109 悟の不要
     ”不可触民の父”アンガードベルには悟りがない。本当に必要なのは、自由・平等・友愛だから。それなくして悟りなんてない。周りの人間の不幸を無視して一人だけ悟りを開くのは真実ではない。周りの人間の幸福を実現して悟りの境地を開くのが真実である。

    p155 ヒンドゥー教
     アンガードベルの演説「ヒンドゥー教の神は人間から自由を奪い、バラモンに隷従することしか教えない。」
     
    p188 女
     インドは男性優越社会の最大国である。女性は男性よりも地位が低く、不可触民の男性でもさらに差別する存在である。それ故におそろしいDVが絶えない。

    p221 インドとイスラム
     インドはイスラム国家の石油資源が無ければ成り立たない。イスラム諸国もインドの安価で膨大な労働力が無ければ成り立たない。
     パキスタンの問題で両国は仲が悪いように思えるが、それは間違いで、両国家の宗教原理主義者が扇動しているだけである。

    p231 ヒンドゥー教の定義
     ヒンドゥー教を定義できる者はいない。聖書のようなものがないからである。ただ、聖書がないから、バラモンが自分たちで解釈を独占して、良いように解釈を変えてきたからである。
     
    ______

     内容はすごいが、話がまとまっていない感はすごいある。その点は減点だと思う。

     インドを語るうえでやっぱり大事なのは、カーストだよね。

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    投稿日:2014.12.16

  • repon

    repon

    インドにカーストが生まれた理由と、カースト制度の現在を聞き語りで取材している。

    聞き語り方式なので、いつ誰がどこで話したのか以外にも、個々人のフィルターがかかっているので、実際の所どこまで正しいのかわからない。

    が、客観的なデータ自体が存在しない以上は、このような書き方になるのはしょうがないだろう。

    冒頭で不可触賤民をひき逃げしても問題がなかった1970年台の著者の体験が書かれているが、いまだにそうなのだろうか?
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    投稿日:2013.05.03

  • liyah

    liyah

    いままでのインドのいろんなイメージを壊された。

    インドの侵略者であるアーリア人が自分たちの地位を確固とするためだけに作られたヒンズー教、そしてカースト制度。

    インドの人々がこんなに辛い生活を送っているなんてショックだった。

    マハトマガンジーにしてみても、わたしはてっきりインドのヒーローだとばかり思っていたが、彼も結局はカースト支持者だったのだ。

    10億近くの人口のインド。
    カースト別人口はブラーミン(僧侶など)5%、クシャトリヤ(軍人等)7%、ヴァイシャ(商人等)3%、シュードラ(前上位3カーストに奉仕するカースト)約60%、残りの25%がカーストにも属せない「不可触民」らしい。

    前にも書いたプーランですらシュードラだったらしいから、それ以下の不可触民はいままでどんな扱いを受けてきたのか・・・

    考えるだけでもぞっとする。

    この本によると、今までヒンズー教を刷り込まれてきた人たちも、不条理に気づき始め、どんどん仏教に改教する人たちが増えてきているらしい。

    もともと頭がいいといわれているインド人。

    こういう差別をなくし、どんどん世界で活躍してほしい。
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    投稿日:2011.11.28

  • bax

    bax

    このレビューはネタバレを含みます

    [ 内容 ]
    今日まで続く、厳しい身分制度であるカースト制はなぜ三千年にもわたり保たれてきたのか―。
    かくも長く、圧倒的多数の民衆が“奴隷化”されてきたのはなぜか―。
    仏教発祥の地で仏教が抹殺されたのはなぜか―。
    今、“歴史的真実”の扉が開かれ、塗り替えられようとしている。
    大国・インドで何が起こっているのか。
    現場からの迫真の書。

    [ 目次 ]
    第1章 この国の本当の主人公は誰か
    第2章 目覚める人びと
    第3章 インド史上最大の謎を解明する
    第4章 仏教の白い花
    第5章 インドは世界の有望な市場か?
    第6章 インド史上初、不可触民出身の“女帝”州首相
    第7章 暗黒時代の再来

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

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    投稿日:2011.04.07

  • hashish28

    hashish28

    インドのカースト制度がどのようなもので、どう変わりつつあるのか、というお話。
    全体が著者の経験や、著者がインタビューした、カースト制度に対抗している人達の語りなので、大変読みやすいのも嬉しいです。

    投稿日:2010.12.28

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