【感想】日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」

水谷竹秀 / 集英社文庫
(21件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
8
5
5
0
1
  • 少しこの本をなめていた、感動作です。

    真面目一筋の男が口移しのキャンディでフィリピーナにはまる悲しさ。
    その夫に当てた妻からの手紙の更に悲しさ。
    単なる社会ルポと言い切れないノンフィクションの秀作です。

    投稿日:2017.12.29

ブクログレビュー

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  • トマト栽培者

    トマト栽培者

    知人から聞いて知った困窮邦人という存在。
    インタビューした人たち、今も生きているんだろうか。
    自業自得って思うのは人生を選べる立場にあるからかもしれないけど、それでもこういう人たちに税金使って支援するって言われたら苛々するだろうな。続きを読む

    投稿日:2024.01.13

  • Astar

    Astar

    日本を自ら離れフィリピンに向い、そこでお金を使い果たし、ビザの更新もできずに不法滞在し、ほぼホームレス状態の日本人達を「困窮邦人」と言う。
    彼らの実態を追ったルポ。
    2011年の開高健ノンフィクション賞受賞作。

    そんな人達が、そんなに沢山いるのか!
    と、驚いた。
    個人的には自業自得なのではないかとは、思う。
    彼らの不法滞在の罰金と帰国の渡航費用を大使館が出せないのは、当然だ。
    日本で真面目に働いている人たちの税金を、そこには使えない。

    フィリピン人は貧乏でも、そんな困窮邦人を見捨てない。なんやかんや食事を与えたり、寝床を貸したり、世話をする。
    それが困窮邦人を増やす原因にもなっている。 
    彼らは日本に帰ろうとしない。
    お金がなくても日本にいるよりは、何のしがらみも無く気持ちが楽に過ごせるからだ。

    日本に帰る場所もなければ、頼る人もいない、そんな祖国に帰るよりは、フィリピンで近所の人たちに世話になりながら、最終的には骨を埋めたいのだ。

    うーん。。。
    理解に苦しむ。
    でも、彼らの話を読むと、人は何がきっかけで「タガ」が外れてしまうか分からない。
    窮屈だったのか、不満があったのか、借金があったのか、、、
    人の奥底にあるちょっとしたネガティヴな物が積み重なった結果、吸い寄せられるようにフィリピン女性にどハマりし、何も考えず渡航してしまう。
    人は弱い生き物だけど、あまりに弱すぎないか?

    決して気分の良い話ではないけど、奥の深い問題を掘り下げてまとめた話は、興味深く勉強にもなった。
    読んで良かったと思う。
    続きを読む

    投稿日:2023.11.11

  • Ryu

    Ryu

    開高健ノンフィクション賞を受賞した作品ということで気になっていた作品ではあるが、タイトルからして、どうせリベラル寄りからの単純な社会批判の作品だろうと放置してきた。
    しかし、暇なので読んでみたところ、なかなか面白かった。確かに、時折、日本社会の構造に疑問を投げかけている部分もあったが、可能な限り事実を重視し、フラットな立場で書かれていたことに好感が持てた。
    読み終わっても、やはり女の尻追いかけて勝手にフィリピン行って、有り金使い果たして帰国できなくなることは完全な自己責任であり、可愛そうとかは思わない。
    しかし、登場する困窮邦人たちの気持ちも分からなくはない。自分が同じ立場なら、フィリピンに逃げたくなるのも分かる。
    読み終わった後、「幸せとは何だろうか?」と考えさせられる作品。
    海外の困窮邦人の情報など知らない人がほとんどだろう。勉強にもなったし、色々と考えるきっかけにもなるので、一度は読んでみるべき良本!
    続きを読む

    投稿日:2020.01.29

  • shinonome_s

    shinonome_s

    オタクは読むべし!とおすすめされて読みましたが、なんと言ったものか…と読み終えて考え込んでしまうような本でした。(そして解説が橘玲っていうのにも納得)

    金も友達も家族も親も国も全部捨てて、プライドと虚栄心は持ち続けて、自分自分自分…どこまでも自分中心にしか考えてない。助けてくれるフィリピン人への感謝の気持ちや自分の境遇への納得と覚悟を著者に話すわりに全然行動や態度が伴っていないところなども本当に自己中心的。
    出てきた男たちには全然同情できないし、男たちを支援しない家族の気持ちもよくわかる。

    が、もし自分がああいう境遇になった時に果たして彼らとは違う対応や反応を著者に返すことができるだろうか…と考えると、出来ないような気もしてくる。

    日本国内で憎しみを募らせて女子供を通り魔的に襲う男や親に寄生し続ける男もいる中、確かに彼らは自分で日本を「捨てて」フィリピンにやってきた。
    彼らに優しさや慈しみを与えることは、日本には出来ないから、彼らは日本を捨てた。だからこの本のタイトルは日本に捨てられたんじゃなくて日本を捨てた、なんだな。

    外務省の人の「この人たちに税金を使うことを国民に説明できない」っていうの、今の国民感情だとそうなるよね…と。
    私だって「はぁ?(怒)」って思ってしまうよ。いけないとは理解できるけど反射的に思ってしまう。

    でも切り捨てて、自己責任・自業自得だと言ったところで問題は解決しないから、やっぱり寛容であらなきゃいけないってことなんだよね。(嫌だけど…)
    続きを読む

    投稿日:2019.10.30

  • borahina

    borahina

    フィリピンで困窮生活を送る日本人を取材した、開高健ノンフィクション賞受賞作。
    フィリピン人の温かさ、日本の国民性など
    色々な意見があると思うが、やはり自業自得という考えになってしまう。

    投稿日:2019.06.05

  • さぬきうどん人

    さぬきうどん人

    海外で所持金を使い果たし、帰国もできず、路上生活を強いられる困窮状態の日本人を「困窮邦人」と呼ぶ。本書はフィリピンの男性困窮邦人5人を中心とするルポ。

    5人はいずれもフィリピンパブにハマり、日本で稼いだ金をフィリピン女性に貢ぎ、フィリピンまで追いかけ、持ち金がなくなり放り出される。いくらひいき目に見たところで「自己責任」という言葉しか思いつかない。これだけ同情されない貧困者を取り上げて、評価されるノンフィクションを作り上げた著者の取材力、姿勢がすばらしい。

    本書で登場する困窮邦人がフィリピンを選んだ理由はフィリピン人の優しい国民性と温暖な気候。これからもフィリピンで困窮邦人は増え続けるだろう。作者には次作でフィリピン在住の「裕福邦人」を取材してほしい。
    続きを読む

    投稿日:2018.03.08

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