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黒井千次 / 講談社文芸文庫 (5件のレビュー)
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しんめん
通路を挟んだ4軒1画の日常を12個に切り分けた連作形式だが、来客側の話など効果的に外からの視点が入り面白い。 “ドラマなきドラマ”と作者もあとがきで述べている通り特に構築的な展開はないが、当時の区画…整理された住宅街の、干渉し合うねっとりした空気がよく描かれていて楽しめた。続きを読む
投稿日:2022.11.09
setsusan3
このレビューはネタバレを含みます
一軒くらい平穏な家族があったっていいじゃないかと思う。 連作集であるがひとつひとつの短編として読んだときには家族の中に潜む不穏というところで終われる。しかしこれが連作集であることで各家族のその後が否おうにも見えてしまい、都市居住者というのはこんなに家庭が崩壊しているのにもかかわらずそこで暮らさなくてはならないというあてどない闇を見てしまった気がする。明るい不穏で終わらせてくれないところにこの話のメッセージ性や作者の意図がつまってるのだろうなと思った。 これが現実か.....うう。
投稿日:2021.05.19
露草
いつかどこかで闇がぱっかり口を開け、襲いかかってくるんじゃないかと思ったけど、そんなことはなかった。 しかし、じっと何かに見られているようで居心地が悪い。つい行ったり来たりを繰り返し、たどり着いたところにもまだ道は長く続いていて、歩かなければならない。
投稿日:2015.09.22
bax
[ 内容 ] 向う三軒両隣ならぬ“向う二軒片隣”の4軒の家を舞台とし、現代の近郊の都市居住者の流れ出した日常を鋭く鮮かに描き出す。 著者の最高傑作と評され、谷崎潤一郎賞も受賞した“現代文学”の秀作。 [ 目次 ] オモチャの部屋 通行人 道の向うの扉 夜の客 二階家の隣人 窓の中 買物する女達 水泥棒 手紙の来た家 芝の庭 壁下の夕暮れ 訪問者 [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
投稿日:2014.11.01
sakinekoko
玄関から庭門までの距離。生ぬるく、安心と不安の入り混じる場所を行き来する浮遊感がここちよい。物(物体)の描かれ方が印象的。蛇口・ヌータ・紙おむつ。解説の高橋英夫が黒井のエッセイについていうには「薄気味…悪いもの、謎めいたものと、晴れやかなもの、心安らかなものはわずかに皮膜一枚の差にすぎず、その一枚の薄さの中にドラマが秘められている」。どこにでもいるわたし。続きを読む
投稿日:2012.08.01
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