【感想】財政危機と社会保障

鈴木亘 / 講談社現代新書
(32件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
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7
2
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ブクログレビュー

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  • bqdqp016

    bqdqp016

    この本はよく調べられている。元々経済・財政の専門家であった著者が、社会保障についても詳細に調査分析し、わが国財政の最大の部分である社会保障制度について問題点を的確に示している。今まで感じていたことが、はっきりと明確になった。問題点を踏まえ、提言もなされており納得できるが、あまりに問題が大きすぎるため、確かに正論ではあるが実施に際しては既得権益を有する組織の猛反発や巧みな反対工作にあい、実現は極めて困難であろう。わが国の政治に期待することは所詮無理で、亡国の歩みを止めることはできないと半分あきらめの気持ちになった。続きを読む

    投稿日:2018.11.26

  • horinagaumezo

    horinagaumezo

    日本の社会保障制度は、①公費漬け、補助金漬けの「高コスト体質」、②参入規制、価格規制に守られた悪平等の「護送船団方式、③多額の公費投入による見せ掛けの「低料金」、④天下りや利権を介した業界団体と官僚、政治家の強固な「既得権益の結びつき」といった特徴を持つ「高度成長モデル」のままであって、このままでは財政的に維持不可能であり、社会保障費抑制に軸足を置いた改革が必要であると主張している。当時の菅内閣が標榜していた「強い社会保障」ではなく、「身の丈に合った社会保障」が求められるとしている。
    著者の日本の財政や社会保障制度に対する認識、今後の処方箋については、おおむね正論だと感じた。
    ただ、医療、介護などの料金が低すぎることによって過剰利用が生じているという指摘については、生命、生活に直結する医療や介護の性格からいって、価格を上げて需要を抑制することは必ずしも正しくはないのではないのではないか(重い症状であっても低所得者は受診を我慢するような事態につながるのではないか)という感想を持った。価格ではなく、別の政策的誘導で、「コンビニ受診」や「過剰投薬」のような問題については対処すべきではないかと思った。
    続きを読む

    投稿日:2017.09.24

  • いたち野郎

    いたち野郎

    まー日本の医療費は安すぎると常々思っていて、かといってそれでいいサービスが受けられているかといえばそうでもない、っていろんなところで実感しません?でも惰性でみんな通いつづけるでしょ。そこに反映されている税金の大きさたるや。かといって負担増を嫌う高齢者をたたくのはお門違いですし。っていう話ばかりじゃないんですけど、景気が悪いなら悪いで、その隙につけ込んで偏屈な公務員叩きやムダ無くしアピールでポピュリズムに走る知識人や政治家もいますし、経済の煽り煽られをトロッコ運動のように繰り返すことが政治の原動力なんて気もしてきますね。続きを読む

    投稿日:2016.06.10

  • kenjirokaodeka

    kenjirokaodeka

    民主党政権時代に書かれた本ですが、筆者の鈴木さんが指摘していたことが、ようやく世間一般にも問題視されてきたと思いました。社会保障の論点整理ができました。

    投稿日:2014.07.13

  • tetito

    tetito

    このレビューはネタバレを含みます

    少し前にtwitter上で誰かが良書と言っていたので、社会保障や財政に関して思うところがあって手に取ってみた。

    著者は元日銀の調査員で計量マクロモデルを行っていた人らしい。
    そこから社会保障を学ぶために大学院に行ったという経歴。

    内容は2010年の出版なので、当時の民主党政権の話が多いのだが、根底に横たわる財政問題と社会保障問題に関しては今もなお、根強く残っているので、問題ないと思う。

    目次としては以下の通り。
    【目次】
    第一章 「日本の借金」はどのくらい危機的なのか?
    第二章 「強い社会保障」は実現可能か?
    第三章 世界最速で進む少子高齢化、人口減少のインパクト
    第四章 年金改革は、第二の普天間基地問題になるか
    第五章 医療保険財政の危機と医師不足問題
    第六章 介護保険財政の危機と待機老人問題
    第七章 待機児童問題が解決しない本当の理由
    第八章 「強い社会保障」ではなく「身の丈に合った社会保障」へ

    奇しくも来年度の予算案が先日審議に通ったわけだが、そこをちょっと見てみる。
    http://www.asahi.com/business/yosan2014/

    このリンクがグラフィカルでわかりやすい。
    社会保障費は1.3兆円ずつ固定で伸びると著書で指摘されているが、概ねその通り推移しているようだ。一般会計上は支出は抑えられているように見えるが、簿外にも計上されている負債もあるというし、年金の積立不足による表面化されていない膨大な債務もあるということだから、なかなか余念は許されない。

    本書において、管政権における増収と強い社会保障の否定は、現自民党政権下におけるアベノミクスにおける景気回復で筋道を立て、消費税増税によって多少改善は見られているようだ。
    後は、社会保障関係費の圧縮推進とプライマリーバランスの見直し(どうやらこれは国際公約になっているらしいことを本書で知った)を推進してもらいたいところだ。

    目下においては、2020年の東京オリンピック招致成功における公共事業の拡大による雇用創出は見込めるため、もうしばらくの維持はできるだろうが、増税における消費の冷え込みなども懸念されるので、早めの展開を期待したい。
    世代間格差の件は個人的にはおそらく解決できないので、本書のハードランディングシナリオのいずれかによって解決するだろうと思うが、どうなのか。。
    いずれにしても、良書だったので、新書だし、読んでみると良いかも。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2013.12.25

  • noznoz

    noznoz

    財政面からの切り口はわかりやすいが、制度の運用上ではそれが適当であるとは必ずしも言えないのでは、というものもある。

    投稿日:2013.05.10

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