【感想】五色の舟

近藤ようこ, 津原泰水 / 月刊コミックビーム
(40件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
16
12
3
1
0
  • 2014年、メディア芸術祭マンガ部門大賞。

    2014年、メディア芸術祭マンガ部門大賞。

    賞をとるのにふさわしい名作。
    太平洋戦争の最中の広島。

    体のどこかに障害を抱え、人として生きにくかった人間が集まり、”家族”として暮らしていた。

    彼らは見世物小屋で、自らの体を売り物にして生活の糧を得ているのだった。
    あらゆる人間がストレスにさらされている時代、人々は自分よりも不幸なもの、
    もしくは常識の埒外にいるものを見て、日常をわすれてようとしていた。

    人と牛のあいのこ、”くだん”を手に入れ、見せ物として稼ぎを上げるため、家族はくだんを求めた。
    (そして…、というのは本編のお楽しみ。)

    自らを売り物として晒す生き方に誇りを持ち、戦後も生きていく。
    そこに憂いや怒りはなく、その生き方を肯定していく眼差しだけがある。



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    投稿日:2015.03.07

  • 衝撃的。

    原作は未読。感想は…、いや、色んな意味で衝撃的だった。
    近藤ようこ氏の朴訥なタッチにて描かれる世界は、静かで、淡く、幻想的。が、見世物小屋の一座を舞台に描かれる内容の、何と残酷なことか。戦時中という、昏く、混沌とした時代ならではの描写は、近藤氏の絵柄で和らげられているとはいえ、なかなかショックを受ける。

    そして舟が川を流れるがごとく物語は進み、「くだん」を求める家族をやがて待ち受ける運命。読後には、満足感というか、寂寥感というか…、何も言えない不思議な気持ちが残る。近くを見ているようで、心はどこか遠くにある、そんな主人公達の表情が印象的。一度は読んでおきたい、価値ある作品だと思う。
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    投稿日:2014.06.23

  • 原作も読んでね

    残念なことに 電子書籍には 一冊もないのだけれど 
    津原泰水さんのが好きで かなり 読んでいる
    漫画と原作 映画と原作 アニメと原作は 別な物と 割り切って読んでいる
    漫画で こんな表現ができるのか と びっくりしている
    こんな 解釈もありです  すごい漫画です
    怪異な世界へ 旅してみてください
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    投稿日:2014.04.23

  • 津原泰水と近藤ようこの錬金術的作品

    津原泰水氏原作の同名短編小説を、近藤ようこ氏がコミカライズした一作。
    太平洋戦争中の広島を舞台に、障害を抱えるものたちが疑似家族として見世物小屋を営み、やがて未来を言い当てる生き物「くだん」と対話することによって一つの結論を得る物語です。
    原作未読のままコミカライズを読みましたが、津原作品の幻想的な雰囲気が非常に端的に写し取られていて驚きました。
    それだけでなく、近藤氏の透明感ある作画が読みやすいだけでなく求心力もあり、美しい最後には思わず泣いてしまいました。
    タブー視される可能性があるモチーフですが、それでもこの物語を書いた津原氏と、それを更に漫画へ転換させた近藤氏に拍手を送りたいです。
    (ちなみに、原作小説は『11eleven』に収録されています。)
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    投稿日:2014.04.23

ブクログレビュー

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  • notinohokka

    notinohokka

    近藤ようこさんの絵は余白が多く、その空間に常に寂しさ悲しみ静けさが感じられます。そういった空気感と共に話が進行していきます。
    読み進めていくうちに物語の中に彷徨いこんでいき、読み終わったあとには不思議な読後感とともに印象的な話が懐かしい思い出のようにずっと胸に残ります。
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    投稿日:2024.03.09

  • arumino

    arumino

    難しそうだなという第一印象だったが、読み始めた途端この物語の不思議な世界に引き込まれて一気に読んでしまった。
    原作読んでまた読み返したい。

    投稿日:2022.02.13

  • 千

    みんなめちゃくちゃ高評価だけど、
    言いたいことはわかった的な感じに自分の中では、まとまってしまった。。。
    なんだか、薄い感じがする。桜が言葉を話した時は感動したが、うーん。もっと濃密な描き方はなかったのかと思ったり。物事の表面上をつらつらと描いてるように見えてしまった。続きを読む

    投稿日:2021.09.21

  • シマクマ君

    シマクマ君

     津原泰水という作家の、同名小説の漫画化でした。近藤ようこさんは坂口安吾とか、小説のコミカライズがお好きですが、原作も読まずに言ううのは何ですが「近藤ようこワールド」で、納得しました。
     マア、詳しくは、くどくどとブログとかに書いています。お読みいただければ嬉しいですね。
       https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202108050000/
    続きを読む

    投稿日:2021.09.17

  • kukka

    kukka

    どうしたらいいのだろう、何とも不思議な読後感。
    異形の者たちが身を寄せ合い家族となり、見世物となって戦時下を生き抜く。

    ひと昔前、世間から隠され、弾かれてきた人たちの哀しさ、強さ。
    弱い存在に思えるけど、彼らは逞しい。ただ自分への執着が薄く、家族への愛だけを強く持っている。そんな人たちを見ていると苦しくなるのだ。

    五色の舟というタイトルも、五色となった理由含め美しい。

    しっくりくる言葉が見つからない。こことは違う未来へと導く「くだん」、一度では無理だ。また何度も読もう。
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    投稿日:2020.08.10

  • herbtea

    herbtea

    原作elevenを読んだのがかなり前だったので、まず原作を再読してから読みました。原作自体を自分自身の中できちんと消化してから目にしたこともあり、ものすごく丁寧に綺麗に漫画化されているのがよくわかりました。特に最終話は原作を補って余りある美しさでとてもとても良かったです。賞を獲ったのも納得です。続きを読む

    投稿日:2019.06.14

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