五色の舟

近藤ようこ, 津原泰水 / 月刊コミックビーム
(36件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
15
10
2
1
0
  • 衝撃的。

    原作は未読。感想は…、いや、色んな意味で衝撃的だった。
    近藤ようこ氏の朴訥なタッチにて描かれる世界は、静かで、淡く、幻想的。が、見世物小屋の一座を舞台に描かれる内容の、何と残酷なことか。戦時中という、昏く、混沌とした時代ならではの描写は、近藤氏の絵柄で和らげられているとはいえ、なかなかショックを受ける。

    そして舟が川を流れるがごとく物語は進み、「くだん」を求める家族をやがて待ち受ける運命。読後には、満足感というか、寂寥感というか…、何も言えない不思議な気持ちが残る。近くを見ているようで、心はどこか遠くにある、そんな主人公達の表情が印象的。一度は読んでおきたい、価値ある作品だと思う。
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    投稿日:2014.06.23

  • 津原泰水と近藤ようこの錬金術的作品

    津原泰水氏原作の同名短編小説を、近藤ようこ氏がコミカライズした一作。
    太平洋戦争中の広島を舞台に、障害を抱えるものたちが疑似家族として見世物小屋を営み、やがて未来を言い当てる生き物「くだん」と対話することによって一つの結論を得る物語です。
    原作未読のままコミカライズを読みましたが、津原作品の幻想的な雰囲気が非常に端的に写し取られていて驚きました。
    それだけでなく、近藤氏の透明感ある作画が読みやすいだけでなく求心力もあり、美しい最後には思わず泣いてしまいました。
    タブー視される可能性があるモチーフですが、それでもこの物語を書いた津原氏と、それを更に漫画へ転換させた近藤氏に拍手を送りたいです。
    (ちなみに、原作小説は『11eleven』に収録されています。)
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    投稿日:2014.04.23

  • 原作も読んでね

    残念なことに 電子書籍には 一冊もないのだけれど 
    津原泰水さんのが好きで かなり 読んでいる
    漫画と原作 映画と原作 アニメと原作は 別な物と 割り切って読んでいる
    漫画で こんな表現ができるのか と びっくりしている
    こんな 解釈もありです  すごい漫画です
    怪異な世界へ 旅してみてください
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    投稿日:2014.04.23

  • 2014年、メディア芸術祭マンガ部門大賞。

    2014年、メディア芸術祭マンガ部門大賞。

    賞をとるのにふさわしい名作。
    太平洋戦争の最中の広島。

    体のどこかに障害を抱え、人として生きにくかった人間が集まり、”家族”として暮らしていた。

    彼らは見世物小屋で、自らの体を売り物にして生活の糧を得ているのだった。
    あらゆる人間がストレスにさらされている時代、人々は自分よりも不幸なもの、
    もしくは常識の埒外にいるものを見て、日常をわすれてようとしていた。

    人と牛のあいのこ、”くだん”を手に入れ、見せ物として稼ぎを上げるため、家族はくだんを求めた。
    (そして…、というのは本編のお楽しみ。)

    自らを売り物として晒す生き方に誇りを持ち、戦後も生きていく。
    そこに憂いや怒りはなく、その生き方を肯定していく眼差しだけがある。



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    投稿日:2015.03.07

ブクログレビュー

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  • yoko

    yoko

    家族のように寄り添い小さな舟の上で暮らす五人。彼らは異形の者ではあるが、いや異形の者だからこそ互いのことを思いやりそれぞれの幸せを願っている。言葉をうまく発せない桜が最後の最後、咄嗟に告げた言葉は家族だけではなく、世界中の人全てに向けられた言葉なのかもしれない。続きを読む

    投稿日:2019.02.27

  • ぽんきち

    ぽんきち

    津村泰水・原作、近藤よう子・漫画。

    第二次世界大戦終盤の日本。
    不思議な一座が旅をする。
    或る者は両脚がなく、或る者は侏儒。或る者は半身を失った片割れで、或る者は関節が逆についた脚を持つ。或る者は両手を持たず、聾唖である。
    血のつながらない彼らは「家族」として暮らし、見世物興行で糊口をしのぐ。
    彼らの住処は粗末な舟。
    ありあわせのとりどりの色の布で覆われた五色の舟に、異形の五人が暮らしていた。

    「父」であり、かつての名女形である雪之助は、あるとき、「くだん」の化け物が生まれたという噂を聞く。
    人と牛のあいのこであるその化け物は、牛だけれども人の顔を持ち、過去のことも未来のことも、本当のことしか言わない。それを一座に加えて一儲けすれば、皆の生活も安定するだろう。そう決心した父に連れられ、一行は「くだん」を買い付けようと、その地、岩国へと向かう。

    「くだん」とは本当に未来を知ることができるものなのか?
    彼らは「くだん」を手に入れることができるのだろうか?
    予知能力を持つ「くだん」を求めているのは彼らだけではなかった。
    もう少しのところで彼らは「くだん」を手に入れそこなうが、聾唖の和郎はちらりと「くだん」を見かける。
    その日から、彼は不思議な夢を見るようになる。

    幻想的、耽美的な一編である。
    「くだん」の持つ不思議な力に導かれ、彼らは「皆が幸せになれる世界」に向かう。

    「くだん」が予言した「恐るべき爆弾」は落ちたのか。それとも落ちなかったのか。
    此方か、彼方か。
    どちらが真実の世界なのか。

    すべての業苦から解き放たれた夢のような世界。
    しかし襤褸の小舟は追憶の中で五色の光を放つ。

    郷愁と妖しさ。夢のような虚しさを秘めた幻想譚。
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    投稿日:2018.12.25

  • キミドリ

    キミドリ

     タイムスリップSFなんだけど、見世物小屋の一家が未来を予言するという妖怪「件(くだん)」を買いに行くという道中から始まる。
     原作を読んだことがあったので読んでみた。なかなか「件」のヴィジュアルが衝撃的だった。
     原爆が落ちる直前の広島が舞台なんだけど、いまは「原爆ドーム」として誰もが知る建物が、原爆が落とされる以前は「産業奨励館」というハイカラでにぎやかな建物だったというのが(考えてみれば当たり前なんだけど)印象に残った。
    続きを読む

    投稿日:2018.12.22

  • chibipikanohon

    chibipikanohon

    小説より先に漫画版を読んでしまったのがよかったのかどうか。どちらから読むか少し迷ったんだけど。近藤ようこは坂口安吾「戦争と一人の女」と夏目漱石「夢十夜」を読んだことあるが、サラリとした筆致が原作の不思議な感触と合っていて、すごいとは思わなかったけど悪くはなかった。「11」の巻頭「五色の舟」の漫画版は、5人のフリークスの話だからグロテスクになりそうなんだけど、近藤ようこのタッチはそういう身体的なところを意識させず、可愛い利発な男の子、女の子として見せる。ただ想像し始めると結構しんどいのだけど。「くだん」は小松左京の短編が私には非常に印象深いのだが、絵で見るのは初めてかも。近藤ようこ版はなんか可愛い。とりとめのない不思議さ。続きを読む

    投稿日:2018.10.20

  • 凪野基

    凪野基

    原作小説をコミカライズした作品として、こんなに完成度の高いものはないと思う。
    原作の幻想的な世界を損なわず、近藤さんならではのテイストも加わって、津原作品の世界がぱあっと立ち上がる。
    コミカライズだし……と買うのを躊躇していたらプレゼントで頂いたけど、これなら買っても絶対後悔しなかったな。原作ファンにもお勧めです。続きを読む

    投稿日:2018.10.08

  • rudiesgirl

    rudiesgirl

    キャサリン・ダンの『異形の愛』とは
    土着が違うけど、同じように
    人の情愛とか家族愛を感じさせる。

    蔑まれ好奇の目にさらされながらも
    家族として生きていく異形の人たち。

    原作がすごく読みたくなった。
    知らなかった津原泰水作品。

    映像化にしても良いと思うが
    なかなか、この日本では難しいかな。
    続きを読む

    投稿日:2018.08.22

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