【感想】憲法改正のオモテとウラ

舛添要一 / 講談社現代新書
(4件のレビュー)

総合評価:

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  • かつての保守政党の、健全な議論の姿

    郵政解散前の、多様性と切磋琢磨のあった自民党において自主憲法草案が練られできあがるまでの議論と政治が、精緻に語られる。ここからほんの10年の間に一気に生じている変質に、あらためて暗澹たる気分になる。
    中道から右派の改正議論が総まとめされているという面で、興味深い一冊でした(もっとも、この時代の左派は護憲一色なので改正議論は無かったかも知れない)。続きを読む

    投稿日:2016.02.28

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  • show5

    show5

    知られざる自民党憲法改正第1次草案成立までのドキュメント。本気で改正を目指した現実路線。立憲主義の堅持。第2次草案に引き継がれている問題点もありますが、なかなかの出来だと思います。少なくともこれは憲法になってます。
    改めて舛添さんの実務能力の高さを感じるとともに、頭の固い悪い意味で学者臭さもプンプンしてます。読み物としてはつまらないとしか言えませんが、貴重な歴史的資料であることは間違いないでしょう。
    これだけの仕事をした人があんなにつまらないことで活躍の場を失ったのは身から出た錆とはいえ、残念です。
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    投稿日:2016.09.14

  • 満田 弘樹

    満田 弘樹

    本書の主旨は、元東大助教授の政治学者として立憲主義の重要性を説くと共に、小泉政権時代に憲法改正案作成行い、その際に自民党内ですら大きく意見が分かれて政治的な力学が働き、それによっていかに苦労して作成したかというもの。
    一方、なぜそれほどに苦労したかと言えば、広く意見を聞き、憲法改正要件を満たすような改憲草案をつくろうとしたことによる。
    ちなみに桝添氏が関わった2005年の草案の内容は郵政の政局に飲み込まれ、2012草案のものとは全く別物である。もっと広く読まれて良いと思う本。
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    投稿日:2015.07.30

  • horinagaumezo

    horinagaumezo

    現在、東京都知事の枡添要一氏が、2005年に発表された自民党の「新憲法草案」(第一次草案)の策定過程とその議論の内容を振り返りながら、2012年に自民党が発表した「日本国憲法改正草案」(第二次草案)を立憲主義に悖る憲法草案として批判している。
    枡添氏は、自民党時代、第一次草案の取りまとめ責任者であり、憲法草案策定の政治過程が克明に記録されている。憲法改正案の起草は純学問的なものではありえず、政治力学抜きには考えられないということが強調されているが、学者が起草するならともかく、政治家が起草する以上、それは当たり前のことではないかとも思ったが、マスコミへのリーク、参議院の影響力、省庁間での対立など、その政治力学が実際どのように働いていたかが顕わになったことに本書の価値がある。
    著者のスタンスは、第一次草案策定の頃の自民党には、まだ政策的な多様性があり、左右両面から闊達な議論が行われ、立憲主義の基本は崩さない憲法草案ができたが、第二次草案は立憲主義に反する憲法草案に成り下がっており、自民党の政策的多様性が失われていることが懸念されるというものだ。第一次草案の内容やその議論の過程がそんなに素晴らしいものだったかには疑問もあるが、第二次草案が右側に偏りすぎ、立憲主義的憲法としてふさわしいものではないことは確かであり、著者の認識には基本的に同意する。
    憲法改正についての個々の論点については、枡添氏と方向性は同じものが多かったが、少し疑問に思う点もあった。例えば、前文に価値観や歴史観を持ち込むべきではないという主張について、中曽根案のような日本賛美調の前文には評者も違和感を覚えるが、価値観や歴史観が皆無の前文は無理ではないかと思う。現行の前文に取り上げられている社会契約説的な考えや平和主義も価値観であることに違いはなかろう。また、地方自治の財源保障にかかる議論を総務省と財務省の権限争いと矮小化する主張にも違和感を覚えた。地方自治体への財源保障は地方自治の仕組みを考えるうえで重要な論点であり、総務省と財務省の議論は単なる権限争いとはいえないと思う。
    実際に憲法改正をなしえようと思ったら、独りよがり案ではなく、国民や野党にも理解される案にしなければならないという著者の主張はそのとおりだと思った。その点で、第二次草案は著者の言うとおり、失格だと思う。評者も憲法改正は必要だと考えているので、自民党、あるいは民主党等の野党には、「現実的」な憲法改正草案を改めて起草してもらいたいものである。
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    投稿日:2014.10.26

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