【感想】原稿零枚日記

小川洋子 / 集英社文庫
(36件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
6
17
7
1
1

ブクログレビュー

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  • アラエッサ

    アラエッサ

    このレビューはネタバレを含みます

    苔料理専門店で食事を終えた翌朝、爪が緑色になっており、"本物の苔を食べた証拠ですよ。"と言われたり。
    自分の親族がいるわけでもない近場でやっている色んな学校の運動会に、こっそり混ざってみたり。
    その参加賞で貰った学習ノートを、原稿を書くのに良さそうだ、判子を押すところもあってよくできましたの判子を押したりして、モチベも上がりそうだとやってみたり。
    あらすじ係をやっていたら、技量に磨きがかかり、ついには本編よりあらすじの方が面白くなってしまい解雇されたり。
    "ドウケツエビの宇宙"というタイトルのトランペットオリジナル曲だったり。

    クスッと笑えるところがたくさんあって、こうゆう視点を大事にしたいなと思った。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.02.18

  • Spica

    Spica

    エッセイかと思って読み始めたのですが、苔料理が出てきたあたりから、あ、違うかも、と気付いた次第。果たしてこれは全くのフィクションなのか、それとも実は・・・。曖昧な境界線に立たされる読者の心を見事に翻弄しますね。なかなか書き進まないある女性作家の日常なのですが、白昼夢の中で迷わされ、独特の濃密で不穏な世界の底に沈んでいくような不思議な感覚を覚えました。様々な「荒らし」を行う彼女の隠された背景に、ぞくっとした震えを感じるのに、もっと覗いていたいという欲求にかられる空気は小川さんならではという感じです。続きを読む

    投稿日:2022.10.27

  • たきゆか

    たきゆか

    最初は小川洋子さん自身の日記なのかと思いながら読みました。途中で違うって気が付きました。タイトルから想像していたより哀しい話でした。いや、作家さんにとっては、このタイトルはとても哀しいのかな。私の夫に本のタイトルを見せたら、「一冊分の原稿が書けてるじゃん」と言われてしまいました。運動会や赤ちゃんのお相撲や新生児室に行く話は何だか本当にありそうだなあ。って感じました。続きを読む

    投稿日:2021.12.03

  • hito-koto

    hito-koto

    「最果てアーケード」「ことり」「いつも彼らはどこかに」「夜明けの縁をさ迷う人々」など独特の世界を醸し出す小川洋子さん、「原稿零枚日記」、2010.8発行。飛び飛びの、時に続いた26日分の日記をもとにした小説。入院中の母親を介護し、生活保護を受けている女性小説家の話。「健康スパランド」で、8歳の時死んだ娘にそっくりで許されるならあなたの顔に触らせていただきたいとお願いされる日記。公民館の「あらすじ教室」の講師で、タイトルを聞いてパッとあらすじを語る日記。押しの強い生活改善課の人と盆栽祭りに行った話。印象大。続きを読む

    投稿日:2020.07.13

  • tikuo

    tikuo

    小川洋子が、数々の体験を日記という形で表現する不思議な雰囲気の小説。

    宇宙線研究所の見学の後、F市の旅館の近くで不思議な苔料理を食べる。盆栽祭を見に行って、チャボを見る。近所の運動会に紛れ込み、父兄でもないのに観戦する。現代アートの祭典を見に行き、バスの集合時間に集まれなかったメンバーがひとりひとり消えていく…。

    てっきり本気の日記でエッセイだと思いこんで読み始めたが(相変わらずあらすじは読まずに読み始めるのである)、旅館に向かうタクシーの辺りで気がついた。これは偽日記だ。そもそも「宇宙線研究所」って何だ?

    小川洋子らしく、妙な生物のディテイルなどが細かく書かれているが、ドウケツエビなど、本当だかどうだかわからない解説が出てきたりする辺りが非常にらしい。

    後半へ進むごとに、日記っぽい浅い表現がどんどん深くなていき、小説らしさが出てくるが、個人的には浅い淡々とした表現の面白さというものがもう少し味わいたかったと思う。吾妻ひでお「不条理日記」を思い出す。「くるむへとろじゃんのへろが!?」

    そして何より、これを読んでいると、偽日記形式の小説が書きたくなってくるのだ。描きかけのイラストのように、読んでいるだけでアイデアが湧いてくる。決してガチガチに組み上がった小説ではない(ように見えるだけかもしれないが)。しかし、その未完成然としたところが良いのだ。

    アイデアがわかないときのためにずっと手元においておきたい1冊である。
    続きを読む

    投稿日:2019.09.26

  • れんげ

    れんげ

    夢日記ふうで、頭の中がすこしぐらつく。 出てくる海の生き物もこうなると虚構かなと思ったら実在している。

    投稿日:2019.09.07

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