【感想】イスラム――癒しの知恵

内藤正典 / 集英社新書
(12件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • きなこもち

    きなこもち

    日本人が疎いイスラムについて、精神面の観点から解説した本。

    日本のような自己責任が問われ、常に努力や競争を強いられる社会とは真逆で、「ま、そういうこともある」「なるようになる」というケセラセラ的な価値観を共有しているイスラム社会。捉え方次第では若干無責任にも感じられるかもしれないが、著者が言うように、これがある種のセーフティネットになっていると思う。

    責任を追求し改善していく努力は、社会を劇的に発展させるというメリットももちろんあるし、日本が繁栄したのもそのお陰だと思う。しかし、自分を追い詰めるやり方で、精神的に疲弊している人が多いのも、自殺率が高いこともまた事実である。日本人が常に何かに癒しを求めているという指摘も納得。

    精神的な余裕がない我々にとって、心にゆとりと平安を持つイスラム的な考えから学ぶことは多いと感じた。
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    投稿日:2023.08.29

  • meadow春雨

    meadow春雨

    そういえばイスラムについて何も知らないなと思って手に取った。やはりここに書いてあることは知らないことばかりで、とても興味深いと同時に自分の無知を恥じた。イスラムに対する自分のイメージが、いかにメディアによって作られた偏見に基づいているかを思い知らされる一冊。これを読んだ後はイスラムの人に対する見方がガラッと変わる。続きを読む

    投稿日:2023.08.03

  • ユエヅヅ

    ユエヅヅ

    ムスリムの文化について述べられていることで驚いた点は以下である。
    今後のムスリムとの付き合い方に生かせそうだ。
    ・お店でムスリムがお茶を出してきたら、買い物をしてお返しをすると、ムスリムは悲しく思う
    ・ひとりでいることは悪いこと
    ・何でも分け与える文化

    外相と急遽面会できたというエピソードには胸が温かくなった。
    日本人は人生に安らぎを見出せず、生き物やキャラクターに癒しを求めるという作者の指摘に、とてつもない衝撃を受けた。
    私には愛猫がいるが、心の支えになっている。
    愛猫=宗教のようなもの、というわけではないが、特定の宗教を信じている人々はこんな気持ちなのだろうか・・・
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    投稿日:2016.11.29

  • bax

    bax

    [ 内容 ]
    イスラム教徒は自殺しない?
    イスラム教徒の実像は好戦的ではなかった。
    張り巡らされる癒しの知恵は、助け合いから性にまでおよぶ。
    我々はイスラムを、ふだん異質の文化、宗教としてしか認識していないかもしれないが、既存の価値観が崩壊しつつある今、実は彼らから学ぶべき事は多い。
    日本ではまったく伝えられていない、平安と癒しをもたらすムスリムのメンタリティーを学ぶと同時に、日本人の心の処方箋ともなる一冊。

    [ 目次 ]
    はじめに(自殺の大国)
    第1章 信じることによる癒し(イスラムにおける自殺の禁止;すべてを神にゆだねる ほか)
    第2章 行いによる癒し(信じるだけではイスラムの信仰は成立しない;イスラムは喫煙を禁止するか? ほか)
    第3章 ひとりでいるのは悪いこと(「助けて!」と叫べる社会;個の確立が求められる日本 ほか)
    終章 世俗主義の国家という不幸(イスラムの発想に学ぶ;科学と宗教 ほか)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]
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    投稿日:2014.10.04

  • H.Sato

    H.Sato

    イスラムでは命は神の手にあるものであり、人がどれくらい生きながらえるのか、いつ死んでいくのかも、全て神の手にあるとする。命を決めるのは神であって、人間ではない。

    厳格なムスリムは墓を作らない。作ったところで霊が現れるという発想がないのだから、墓に詣でること自体に意味がない。
    イスラムでは理由なき殺人は厳禁である。
    苦境にある人にとっては、神に全てをゆだねていれば、いつか良いことが起きる。成功者にとっても、神に定めるべき義務を果たして親切な行いを積めば、来世でご褒美がもらえる。
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    投稿日:2014.07.11

  • ummyouseff

    ummyouseff

    『なぜムスリムは自殺をしないのか』という問いをはじめ、全知全能のアッラーのみにその身を委ねることの安らぎ、イスラーム的なもてなしの心地よさ、クルアーンやハディースに記された弱い人間を導くための行動規範などについて述べられている。
    著者はムスリムではないが、『どうしたら西洋とイスラム社会の対立を緩和できるか』という立場、どちらかというとムスリム寄りの立場で書かれている。閉塞感が漂う、日本をはじめとした世俗主義を採った国家の中で、イスラーム的な考え方が人々に癒しをもたらす可能性は大きいと、著者は期待している。
    わたし自身もムスリマとして、イスラームの癒しには確信を持っている。この本は、ムスリムもノンムスリムにも読んでもらいたい一冊である。
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    投稿日:2013.01.27

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