【感想】モノ言う中国人

西本紫乃 / 集英社新書
(9件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
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    [ 内容 ]
    尖閣問題、反日デモなど、中国の世論が日本に及ぼす影響がますます大きい。
    長い中国在住歴を持つ著者は、一般に言われるような知識人の民主化運動よりも、インターネットの普及によってごく普通の人々が「モノ申す権利」=「話語権」を獲得したことが、中国に大変化をもたらしつつあると喝破する。
    「モノ言う人々」を質・量ともに変貌させるネットの危うさ、メディア管理の限界に立つ体制側、しかし巨大な国で強固な体制なしには生きられない人々自身のジレンマ。
    西側の思い入れだけでは見えない中国を描く。

    [ 目次 ]
    第1章 中国における“モノ言う権利”(最近よく聞く「話語権」という言葉;共産党員でなければ「話語権」はないのか? ほか)
    第2章 為政者の「喉と舌」から大衆の代弁者へ―変化する中国のマスメディア(権力者の宣伝の道具としてのマスメディア;縦横にはりめぐらされたマスメディア管理の仕組み ほか)
    第3章 インターネットにあふれ出した大衆の声(インターネット世論≠中国の平均的な民意;どんなサイトからインターネット世論が発生しているのか? ほか)
    第4章 変質する愛国・反日デモ(広く、薄く、しかし危うく!―三つの愛国デモの比較;インターネットの普及によって変化するデモの主役たち ほか)
    第5章 経済の自由化で開いてしまったパンドラの箱(中国理解のキーポイントは「非主流」;「非主流」の「四つの俗」 ほか)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]
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    投稿日:2014.10.04

  • ashisas

    ashisas

    最近は「中国」や「韓国」という単語が出ただけでヒステリックに拒絶しがちな流れがあるので、ちょっと冷静な視点からの論がほしいところです。
    この本は、ここ数年で急激に存在感を増してきている中国のインターネットによる発言と世論形成、それに伴うデモや腐敗した権力者の吊るし上げ、といったあたりに論を絞り、実例を多く踏まえながら紹介されてます。

    実例が「多く」出されてはいるものの、それぞれの例の詳しさに関してはちょい物足りないというか、舌足らずの感は否めない。まぁ新書という本のページ量の限界というところでしょう。
    それと本が出たのが2011年、尖閣諸島の問題が先鋭化し始めた時期とも重なってしまい、その辺の問題をきちんと触れられなかったことで「一番新しい中国のインターネット論」という感じにもならないのが、残念というかなんというか。

    そして、インターネットに論を絞るということは、検証できる事象がまだ少なく、歴史がかなり浅いということ。このジャンルについてしっかりまとまった本となるには、もうあと数年は必要なんじゃないかと思います。

    ということで、総じていかにも新書らしく、「この本が出た時点での定点観測」というポジショニングで捉え、読むのが好いのではないかと思います。著者はまだ若いので、この先の論に期待したい。
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    投稿日:2013.09.06

  • kun92

    kun92

    単に、喋るというだけでなく、影響力を持った発言。
    元々中国の知識人とその他という区分があったのもあれだが、まあ、結果としてネットを媒介とした意思表示、意思形成が無視できない話となった来たという。
    まあそうかね。続きを読む

    投稿日:2013.07.10

  • tailsoup

    tailsoup

    中国が近代化している今の時代をネットという視点や、現地での体験から鋭く分析されている一冊。

    今の中国が徐々に変わりつつあることがよく読み取れます。
    ある意味、「話語権」というものが無かった一般大衆にネットというツールによって、緩やかにではあるが民衆のものになりつつあるという事が様々な出来事を通して、より大きくなっている事が読み取れる。

    中国の中から見ると、この緩やかさが当たり前で、外から見ているともどかしく思われるが、それは日本人が鯨を食べるのは野蛮だ止めろということに近い反発の感覚が中国の国民にはあるのだろう。
    今の中国のネットユーザーが若年層に多く、そういったネットの状況が今の中国の国情のように見えているが、それは全てではなく徐々に中国自体が緩やかにではあるが変わりつつあるのではないだろうか!?

    国外からだけの視点でなく、中国に駐在して中国人の目線も持っている筆者の感覚が共感出来、納得出来る一冊になっている。
    中国の今を読むには入門書となる本だと思った。
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    投稿日:2012.02.26

  • polyhedron

    polyhedron

     中国ネット言論事情。マスメディアが共産党の宣伝部隊である中国では,ネット発情報のインパクトが大。日本だとネットで話題の事件がリアル社会で知られないってのはザラだが,中国ではもっとネットに存在感がある
     体制という社会的制限の中で,規制はあるにしてもある程度の自由な言論空間を提供するのが中国のインターネット。「話語権」という言葉が近年注目されるが,従来「主流」の人のものだったこの権利が,「非主流」である大衆にも開かれるようになってきた。
    「話語権」というキーワードのほか,「五毛党」と「人肉捜索」が面白い。前者は中国特有,後者は日本でも似たような現象が見受けられる。「五毛党」とは,インターネット評論員。政府にとって好ましい世論環境を維持するべく,一ユーザとして正しい意見の書込みによって世論を誘導する,党公認の人々。
     書込み一件の報酬が五毛とされていることから,彼らは「五毛党」と呼ばれる。人海戦術で,全国に十万人を超える評論員がいるのではないかと言われてるそうだ。
    「人肉捜索」とは,公務員の不正や腐敗,汚職などに憤ったネットユーザー達が,インターネットを駆使してその個人情報を探し当て,晒す行動。「人肉捜索」が下級役人の不正を糾弾したことがきっかけで,その役人が正式に処分されることも多い。政府として適切な対応をとれば,「公明正大な指導者」のイメージをアピールでき,組織の健全化も図れる。ただ,高級幹部の批判は,ネット上でも許されない。
     中国のインターネット世論の発信地として,著者は新聞社のニュースサイト,商業サイト,「論壇」や「社区」と呼ばれるコミュニティサイトを挙げているが,それが拡散していく場としての中国版ツイッター「新浪微博」について取り上げられていないのは不思議だった。
     また,共産党による情報操作は,プロパガンダだけでなく,「何を報道しないか」によっても行なわれているとして,著者が挙げていた例に違和感。その例とは,日本の「裁判員制度」。日本では導入が大々的に報道されたのに,中国で取り上げられないのを不審がっているが,内政問題だしね。勘繰り過ぎではないかな。
     中国のネットを騒がせた事件の数々を解説していたり,全般的に,読ませる内容ではあったが,ちょっと不足感も。このあたり,新浪微博上で意識調査をした城山英巳の『中国人一億人電脳調査』を合わせて読むとバランスがいいかも。
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    投稿日:2012.02.05

  • shinobu1985

    shinobu1985

    日本を含め欧米諸外国からは中国という国には言論の自由がないように思われる。しかし中国にとっての言論の自由とは中国共産党の体制や政権を批判しないレベルにおいて保障されたものであるという点で、そもそも「自由」に関する概念が我々と異なることも理解しないといけない。
    中国という国が時に見せる民衆への人権侵害のような対応も、この「自由」の概念の違いを理解しておかないといけなくて、中国政府にとってはなぜ批判されなければならないのか?という反応を示すのもこういった概念の違いが背景にあるのだと感じた。
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    投稿日:2011.10.10

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