【感想】自由論

ミル, 斉藤悦則 / 光文社古典新訳文庫
(24件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
11
2
3
1
0
  • 多数派の専制

    ミルトン・フリードマンの選択の自由を思い出しました。
    このミルの作品は古い皮袋のように見えます。ですが、私たち日本人に今でも非常な教訓を与えてくれると思います。
    実際に多数派の専制を行ったファシズム国家の後継として日本はナチズムの共産主義批判のような的外れなこともできないし、逆にナチズムが社会主義者に行ったような弾圧もできないのだという当たり前のことがこの古い知の伝道書には描かれているように思います。
    …感想文、送っちゃおうかな。
    星5つ。
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    投稿日:2016.07.20

ブクログレビュー

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  • コウ

    コウ

    kindle unlimitedでたしか光文社の中ではトップの人気だったため、読んでみました。
    ミルは個人的に岩波で読んでいて難しいといった印象でしたが、翻訳がほんとにわかりやすかった。
    「表現の自由」などで度々使われる「自由」とは一体なんなのか?読破してわかった気になっていますが、読み潰して「自由」について何度も考察し、どうしたら自由になれるか?を考察するキッカケの本になると思う。続きを読む

    投稿日:2021.12.21

  • nosuke

    nosuke

    アマプラで無料やったんで読んだ。

    社会はなぜ、人々に自由を与えた方が良いのか、について、色々場合分けしながら主張している。
    自分の主張に対して自分で反論し、その反論にさらに自分で反論することによって説得力を出していた。

    今では当たり前の自由主義だが、それもおそらくこの本が書かれる少し前ぐらいから、徐々に民衆に信じられてきた一つの宗教なんだなーと感じて面白かった。
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    投稿日:2021.11.27

  • ねじまき鳥

    ねじまき鳥

    19世紀イギリスを代表する哲学者・経済学者ミルの代表作。ミルといえば、功利主義の穏健派という印象。この『自由論』では、個人の才能を十分に発揮させるべく、言論や経済などの自由主義が主張されているが、功利主義については一切触れていない。とくに印象に残ったところが、「思想と言論の自由」の項目。世間で認められている意見こそが真理だと盲目的になった時点で、人は排他的になり、成長が止まり、その意見の意味自体にも無関心になる。だからこそ対立した意見との議論が必要だというところは、身につまされる思いであった。続きを読む

    投稿日:2021.09.09

  • poyori

    poyori

    人間的に大きく成長したい人に
    何事においても、自分が選択するということ。自分の頭で理解できない他人の言葉を自分の意見にする、そんなことばかりしていれば使われない理性は減衰する。
    自分の人生設計を他人に預けない。そのために自分に備わる能力をすべて駆使しないといけない。自分なりに仮設を立てる、情報を集める行動力、実行する精神力。使われることではじめて鍛えられていく。

    質的功利主義∶最大多数の最大幸福という量的でない
    多数派の専制∶民主主義がなりたたなくなる→個性を大切にすることを優先したい
    社会的自由∶自由論。社会の中でどこまで自由なことができるのか

    哲学で言う意志の自由でなく社会的自由
    原理を明らかにする
    ・干渉が正当化されるのは、自衛の場合に限られるべき。他人に危害を加えないことを条件とした自由、本人のみに関わるなら本人の自主性が優先(大人が対象)

    意見と感想の自由∶間違っているとされても否定しない、自分が間違ったことを言わないというのか、一理あることがある。ぶつかることで変わる、議論なき意見は偏見だ→自分の人生を生きること
    最もやってはいけないのは、反対意見の人々を不道徳な悪者とすること
    目的追求の自由∶行動にうつせる自由
    団結する自由(少数派だといって批判しない)∶
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    投稿日:2021.05.19

  • やまたく

    やまたく

    自由論 J・S・ミル

    自由論の金字塔であり、新型コロナにおける自粛“要請”を取り巻く環境で、今一度見直されるべき名著。
    自由論の主張は、P29にある。
    「人間が個人としてであれ集団としてであれ、他の人間の行動の自由に干渉することが正当化されるのは、自衛のためである場合に限られるである。文明社会ではあ、相手の意に反する力の行使が正当化されるのは、他のひとびとに危害が及ぶのを防ぐためである場合に限られる」
    本書では、この原理について、様々な領域で、考えられる反論に対して、その原理の重要性を述べる形で論の展開が進む。そして、この自由ということについては、ある種の大衆社会への警鐘でもある。自由を阻害する、行動の自由に干渉するということにおいて、国家などによる暴力的な抑制と同等に、世間による干渉も同じレベルで制限されるべきと考えられている。トクヴィルの著作についても言及しながら、世論による自由の制限についても、その暴力性を指摘しているのである。ここに、アリストクラシー的な世界からデモクラシーに転換する時代の真っただ中において、天才であるミルが多数者の圧政に対してのアンチテーゼを展開した書ともいえるであろう。
    徹底的に自分で考えにぬき、そして、想定できる反論に対して、一つずつ丁寧に抗弁するミルの筆致や文章のスタイルもまた好感を持つことができた。
    全体として、自由が制限されるべきではないということの論拠は、個人的にはリスクヘッジと真理への渇望であるように思えた。ミルは、真理というものを考えたとき、その時代の多数者が必ずしも真理であるとは考えない。悠久の歴史の中で、その時代に信じられていることは、後世から見れば誤っていたということが多々あることを指摘し、真理への到達のためには、自由な意見の発揚と、徹底的な議論の必要性を説く。少数派の意見を抑圧することは、もし仮にその意見が正しかった場合の社会全体の損失の大きさを考えた場合に、理屈が通らないことを主張する。多様性はリスクヘッジのために必要なのである。よく例として挙げられる働きアリの例があるが。アリの集団では、いくらかの働かないアリがおり、隊列にも参加しない。しかし、そのアリは、いざ自分たちの群れの巣がなくなったときに真っ先に新しい巣を見つけ出してくる。働かないアリを無理やり働かせていると、巣がなくなったときに文字通り全滅してしまうが、それを防ぐためにリスクヘッジとして異なる行動様式を取らせているともかんがえられる。
    ミルの論拠もこれに少し似ている。どんな人間に対しても、そして、その人間がいくら現代的な視点で見て、常識とは異なる生き方をしていたとしても、その人が他人に迷惑をかけない限り、その行動を批判することは許されない。彼/彼女を批判し、行動を抑え込むことは、道徳的な観点というよりも、その社会にとって不利益であるからである。彼/彼女らが、実は現代の常識では考えもつかない真理に近づいているかもしれない。そうしたときに、彼/彼女の意見を抑圧することは、未来に対して不誠実ともいえる行動であり、社会という寿命の長い生き物が生き延びるためには、あってはならない行動なのであろう。
    これは現代に対しても非常に示唆がある。多様性は、短期的には統率を取ることに対して、障壁となる。しかしながら、長い時間軸で考えたときに、多様性はその組織のレジリエンスを向上させるのである。同質性の高い組織は、その時は一枚岩で強いが、長い時間の中では淘汰されてしまう。そして、その多様性を担保するのが自由に関するこの原理なのである。
    一方で、ミルは社会に対する不利益を決して許さない。例えば、P44で「正邪はともかく、暴君殺しは殺人の範疇ではなく、内乱の範疇にあるものである」と述べている。暴君は社会に対して不利益をもたらす個人である。そして、その個人を殺すことは、殺人ではなく、社会による反発であるということである。この文章を読んで、カントロヴィッチの『王の二つの身体』を想起した。近世において、反逆罪の罪人に対して、身体の限界を超えた残虐な処罰がなされたことについて、王の身体に二元性を指摘して、説明がなされていたと記憶しているが、反逆罪は、王の生物的な身体ではなく、政治的な身体への攻撃であり、その報告であるがゆえに、生物的な次元での刑罰(人が死んだら終わり)ではなく、政治的なレベルでの象徴的な刑罰を行っていたというものである。カントロヴィッチの論を引くと、暴君を殺すことは、政治的な身体への攻撃である。仮に君主が暴君であり、社会という巨大な生命体に対しての反逆を働いた場合、それに対して報復することは、身体的な次元での殺人ではなく、政治的な次元での内乱になるということなのだろう。
    ミルはやはり、社会というもの、ルソーの言う一般意志のようなもの絶対性や歴史的な責任を念頭に置いているように思える。長いスパンで時間軸を持ち、人間社会という次元での便益を徹底的に追求した思想家の爪痕が、本書には刻まれているのであった。
    続きを読む

    投稿日:2021.04.19

  • rissole

    rissole

    耳読で読破しましたが全く意味がわからずでした。こういう本をもっと読めるようにもう少し簡単な本から挑戦していきたいと思います。

    投稿日:2021.04.12

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