【感想】人口論

マルサス, 斉藤悦則 / 光文社古典新訳文庫
(19件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
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ブクログレビュー

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  • Green05

    Green05

    とにかく難しく、情報量が多く、途中で挫折しそうになったが、なんとか読了。最後まで読み切れたのは、翻訳が素晴らしかったからでもある。翻訳者に感謝。
    情報量が多く感じるが、論点はそれほど多くない。マルサスが指摘した人口増の問題は、彼の死後、的中している。200年以上前に書かれたのが驚きであり、内容は色褪せていない学者であり、キリスト教徒である著者ならではの研究と検証、確信に基づいているのが興味深かかった。
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    投稿日:2023.10.30

  • たかみの本棚

    たかみの本棚

    ちょっと難しかったけど食糧からみる人口論、切り口が面白かった
    またもう少し知識を持ったら読んでみたい

    投稿日:2022.12.10

  • 鈴華書記

    鈴華書記

    1798年に,匿名で本書が刊行された。現代では「マルサスの罠」として有名な主張が記されている。その考え方は,のちに産業革命期においてマルサス主義として流布することになる。

    マルサスの思想は,経済学のうえでは,人間理性の啓蒙による理想社会の実現を主張するウィリアム・ゴドウィンやニコラ・ド・コンドルセへの批判とも位置づけられる。これはフランス革命と付随する思想に対する懸念ともとれる。

    で,肝心の本文はというと,話がとっ散らかっていて,考察のない出来の悪いレポートを長々読まされているようで苦痛であった。全体的な印象はビジネス書に近い。

    経済学を考える上で重要な,本書の議題についていくつか整理した。

    主張(p30):
    人口は,何の抑制もなければ等比級数的に増加する。生活物資の増え方は等差級数的にしか増加しない

    自明の前提(p29):
    1 食糧は人間の生存にとって不可欠である
    2 男女間の性欲は必然であり,ほぼ現状のまま将来も存続する

    ※特に重要なのが「何の抑制もなければ」の部分で,「貧困や悪徳」(p45)がその抑制として命題として掲げられる

    抑制の観察(p62):
    事前予防的な抑制→家族を扶養するのが難しそうという予見
    積極的な抑制→下級階級の生活苦(救貧法に対する批判)

    マルサスから見たゴドウィンの主張の要素:
    平等社会,性欲の消失,寿命は無限に伸びる,理性のみの存在


    解説よりメモ:
    ・コンドルセへの批判・フランス革命に対する嫌悪,理性による進歩主義に対する懸念・ゴドウィン「政治的正義」・女性に怯えた中世のヒエロニムスの生まれ変わり,性欲の誇大・マルサス主義・1815年穀物法の成立・貧困の正当化?・プルードン,自由主義原理との関連・マルクス「資本論」での検証
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    投稿日:2021.05.06

  • midnightwakeupper

    midnightwakeupper

    フランス革命直後に書かれ、当時の地球の人口は1億程度、農地拡大の限度が人口限界と看做されたが。現在、文明国では貧困層も肉食が普通となり、適切に配分されれば70億でも餓えることは無いはずで。マルクスの「労働者団結せよ」は大間違いであったが「生物は繁栄するほどより困難なボトルネックに直面する」と指摘したマルサスの正しさは否定できない。著者の言う「性欲は不変」は子孫繁栄願望だが、今日先進国各国は少子化で移民受け入れしないと人口を維持できない。予期しなかったが都市化の最大の問題は失業で良質の仕事が不足しているのだ続きを読む

    投稿日:2019.03.25

  • JOEL

    JOEL

    1789年にイギリスで刊行されたマルサスが著した古典『人口論』
    人間の人口と食糧の関係性を法則として明確に提示した書物だ。


    「人口は等比級数的に増え、食糧は等差級数的に増える」とマルサスは論ずる。

    つまり人口はかけ算で増え、食糧は足し算的にしか増えないということ。


    その前提にあるのは、
    1つは、食糧は人間の生存にとって不可欠であること。
    2つ目は、男女間の性欲は必然であり、ほぼ現状のまま将来も存続すること。

    そして
    こう結論づける。

    人口の増加は食糧によって必然的に制限される。
    食糧が増加すれば、人口は必ず増加する。
    そして、人口増加の大きな力を抑制し、実際の人口を食糧と同じレベルに保たせるのは、貧困と悪徳である、と。


    この貧困と悪徳では、
    貧困の方が抑制力があると説く。

    悪徳で人口増加を抑制するというのはどういうことか。
    戦争、疫病、そして大飢饉だ。

    つまり人口と食糧のバランスが崩れると、必ず貧困、また悪徳によって人口調整の力が働き、人口増加を抑制するということだ。

    現在にあっては、
    この人口はかけ算で食糧は足し算というのは必ずしもそうだとは言えないし、
    しかも食糧の生産量は土地に制限され、人口が増加し続けることへの問題はすぐにでも勃発するような言い方をしているが、ここに関しても疑問である。

    すぐにでも食糧不足による危機が訪れると書かれてから、すでに200年以上たち食糧不足の地域ももちろんあるにはあるが、今や飢餓で死ぬのが100万人。食べ過ぎが原因で死ぬのがその3倍の300万人であるからして、食糧がないことに困る以上に、あり過ぎて困るという始末だ。


    カール・マルクスによって散々けなされたこのマルサスの『人口論』だが、結局は共産主義というのは幻想であったのだということが、歴史を見れば明白なのであって、マルサスのこの『人口論』というのは、上述したような不正確なこともあるが、それでも今も尚、本質を突いた鋭い洞察として感じるところは多々あり、それが今もこの古典を読む価値なのだろうと思う。
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    投稿日:2019.02.08

  • ysano911

    ysano911

    マルサス『人口論』光文社古典新訳文庫 読了。人口は等比級数的に増えるが、食糧は等差級数的にしか増えない。人間にとって食糧は不可欠で人間の性欲はなくならないとの前提からこの命題を導き、その不均衡が貧困を生むとして食糧生産を重要視する。論証の正確さは相当怪しいが明快でどこか心地よい。
    2014/07/05
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    投稿日:2018.11.06

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