【感想】ワーニャ伯父さん/三人姉妹

チェーホフ, 浦雅春 / 光文社古典新訳文庫
(34件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
9
11
8
1
0

ブクログレビュー

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  • サマ

    サマ

    このレビューはネタバレを含みます

    ものすごい閉塞感が溢れる戯曲。かみ合わない会話、実らない恋、中年の危機。生きていく意味を見いだせない空虚さを抱えた登場人物がたくさん出てくるが、同時に「人生に意味なんてない」という答えと「でも生きていかなくてはいけない」というあきらめが語られている。救いも希望もないけど、あきらめはあるのだ。
    今ちょうど仕事を辞めたばかりで日々もやもやそわそわしてるので、三人姉妹のイリーナの「人間は誰でも、骨身を惜しまず、額に汗して働かなくてはならないって。人が生きている意味も目的も、その人の仕合わせも歓びも、そこにあるの。」という台詞には肩身の狭い思いがした。でも、働いてみたって後のイリーナのようにただただくたびれて虚無になって、生きる意味も歓びも実感できないんだけどね。
    個人的にはワーニャ伯父さんのような生きていく意味が見いだせないという辛さよりは、チェーホフ自身の「人生に意味なんてない」というあきらめのほうが共感できる。鬱にただ耐え続けることが人生というこの感じ、そうありたくはないけど水のように自然に飲み込めるんだよな。寒い地域出身の鬱っぽい人間だからか、ロシア文学は昔から危険な親和性を感じるし、たぶん読まないほうがいいのだろう。どんどん暗くなるほうに引っ張られていく。

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    投稿日:2024.02.24

  • しあん

    しあん

    ロシア文学が気になっていた折にKindleで無料だったので読んでみた。
    ロシア革命前の、ちょうどナロードニキらが活動し革命の火種が各地で落とされつつあった時代を背景としている。当時の農村や地方都市の鬱屈とした暮らしが描かれていて、革命前夜の人々の燻る不満がこうした時代の作品にそのまま見て取れるのは面白い。
    また作品中にはフランス語やラテン語を当時のいわゆるインテリの人々が使う場面があり、当時のロシアのインテリの教養の高さ、そしてそれを活かしきれない環境への嘆きが窺い知れる。
    実際に劇として演じられているのも見てみたいと思った。
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    投稿日:2023.10.13

  • よっしい

    よっしい

    読書会のテーマ本として精読。
    ワーニャ伯父さん、三人姉妹共に、不仕合わせで、思い通りにいかないロシアでの群像劇が描かれます。

    暗いストーリーテリングの中では歌や、楽団の演奏も焼け石に水。ニコニコして読める一冊ではありません。

    ただ、それが良いところなのかもしれません。
    西瓜に振りかける塩のよう。しょっぱさが甘さを引き立てるように、読後に見返す自分の生活は幾分甘く感じられます。

    自分の暗い部分を代弁してくれる。そして、本を閉じた後の生活が少し明るくなる。そんな作品でした。
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    投稿日:2023.08.17

  • boobooooks

    boobooooks

    映画「ドライブマイカー」の舞台シーンが面白かったので、原典にあたるべく「ワーニャ伯父さん」読了。
    あまりに悲劇的、厭世的すぎて傍から見ると喜劇的とすら思えるような登場人物たち。ギリギリで保っている均衡が少し崩れたときに起こる展開。それでも、舌の根も乾かぬうちに、寸分違わない現実と日常と悲観が戻ってくる、という、あまりに救いようがなく皆が直面している生活。
    それでも懸命に生きる人ソーニャの存在が、癒しと最後の踏ん張りの糧になる。
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    投稿日:2023.02.14

  • yoshi2013

    yoshi2013

    2篇とも生きることの辛さ、閉塞感を感じながらもわずかな望みを繋いでいくような展開。時代背景も含めた土台となる状況がよくわからないので曖昧に読み進めてしまう。タイトルがワーニャ伯父さんとなっているがワーニャが主人公ではない。
    三人姉妹については更によく状況がつかめず。
    2作品とも演劇をみている気分にはなった。
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    投稿日:2022.12.03

  • gakudaiprof

    gakudaiprof

    4幕の劇である。ワーニャが仕えてきた教授をピストルで撃つ場面がクライマックスである。しかしけがはしない、ということであとはそのまま進行する。

    投稿日:2022.10.22

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