【感想】純粋理性批判 1

カント, 中山元 / 光文社古典新訳文庫
(19件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
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2
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ブクログレビュー

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  • djuax

    djuax

    人間は事物をありのままの姿で認識できない。自分の五感を信じるな。事物の本質は分からないのに、分かると考えるから心の平静が乱される。あらゆる物事の判断を控えるように。ピュロン

    あらゆる知識は「たぶんそう」なのであり、絶対確実なものはない。自分は間違えるかもしれないという謙虚な姿勢と生活をより良いものにする改善の精神が大切。ヒュームHume『人間本性論』1739

    人間はすべてを認識できない。人間を離れた世界、経験を越えた世界(死後に霊魂は残るか・神の存在)については認識できない。これらは認識の対象ではなく、希望や信仰の対象。人間は目や耳などの感覚を使って経験できる範囲の世界(現象)のみ認識できる。▼私たちが外にあるものを認識すれば、それがまさしく私たちの主観や意識から独立してそこにあるもの、というわけではない。人間は五感で対象をとらえた後に、その対象を分析・判断している。事物を受動的に受け取るわけではない。自分の主観の枠組みに対象を当てはめて理解している。感覚的な印象に思考の枠組みを当てはめている。主観が先にあり、それに経験したことを当てはめている。カントKant『純粋理性批判』 1781
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    投稿日:2023.04.06

  • yone97

    yone97

    この本は色々な2つのことが対比して述べられている。アプリオリ(経験から独立)とアポステリオリ、分析的と総合的、空間と時間、知性と理性、必然性と普遍性、それらの違いは何かを抽象的に考えさせられる。そもそも本書は哲学書だからだ。先天的、超越論的、誤謬、デカルト、ライプニッツ、実在性とは何かを深く考えていかないといけないと感じた。続きを読む

    投稿日:2022.12.25

  • あふろざむらい

    あふろざむらい

    長い解説のおかげでなんとなく理解できた。
    アプリオリとアポステリオリ。
    アプリオリとは、その事象を経験する前から、他の経験や知識を通じて、その経験を理解していること。アポステリオリは、経験しないとわからないこと。
    時間と空間についてはアプリオリなものとして挙げられる。しかし、時間や空間は生まれたときから認識しているのだろうか。これには疑問を覚えた。
    また、神の概念は避けがたいらしく、カントも持ち出してくる。神の概念を述べなければ、哲学というものは大きく違ったのではないだろうか。
    それにしても面白い本だ。理解できたとはとうてい言えないが。思考の訓練に役立つ。
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    投稿日:2021.10.16

  • Flooding Throne

    Flooding Throne

     まさかこの年でカントを読み始めるとは思ってもみなかったが、最近読む本読む本にやたらカントへの言及があり、そんなら一度読んでみようと決めた次第。訳書の中では最も平易だという触れ込みのこの光文社古典新訳文庫を選んだが、それでも僕には超難解。本文は全体の約半分しかなく、残りは訳者による頗る丁寧な解説が占めているという相当に親切な作りだが、それでも1回読んだだけでは殆ど理解できず。予め簡素な入門本を読んだ上、本書の本文と解説を何度も何度も行き来しつつ自分なりの読書ノートを作ってもまだよくわからず、最後に詳細な解説本を読んでようやく何となく、といったところ。通常の4、5倍は時間をかけ文字通り四苦八苦しながらやっと最後まで読み通した。

     何がわからないといって、まず題名からしてよくわからない。理性を「批判」とは?普通に考えれば批判とは否定的に検証するといったような意味だから、理性の存在基盤を疑おうということか?と思えばそうではなく、理性そのものの本性を対象として純粋に(超越論的に)批評を加えよう、という意味らしい。
     章立てもよくわからない。「感性論」などはまだいいが、「分析論」とか「弁証論」となると内容と章題とのつながりが相当に希薄であるため、読んでいてこの章がそもそも何を論じているのかすぐにわからなくなってしまうのだ。
     
     本第1文冊は人間の直感がどのように成立するかを論ずる「感性論」だが、ここでいきなり爪づく。本書解説でも触れられているが、空間・時間の「形式」としての存在様式が、客観的普遍性を担保する経験的な「実在」でありながらも同時に(超越論的ではあるにせよ)主観的な「観念」でもある、というカントの論理は逆説的で極めて分かりにくい。これは「批判」内で何度も立ち現れてくるテーマでありながら、その度に混乱させられることになる。この直感を支えるパブリックなプラットフォームとしての空間・時間の実在性がカントでは曖昧に処理されているため、空間-時間を橋渡しして自己の意識をメタ的に意識するという「統覚」の所在も今ひとつピンと来ないままだ。確かに、アインシュタインを経由した現在では、空間と時間に絶対性はないが、その歪みが実体的に電磁波や物体に影響を与える実在だということになっている。ただそうなると、今度はその時空の実在性をアプリオリに把握して直感を受領してしまうこの奇跡的な人間の感性の正体とは何なのか、というカント的地平に容易に引き戻されることになるのだろう。なるほどこれは一筋縄ではいかない…

     というわけでやっと7分の1。先は長い。
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    投稿日:2021.07.11

  • メサイア

    メサイア

    001.経験なしでは何も始まらない
    002.認識は合成されたものである
    003.アプリオリとアポステリオリ
    004.いわゆるアプリオリな認識
    005.アプリオリな認識と純粋な認識
    006.アプリオリな認識の二つの基準――必然性と普遍性
    007.アプリオリな純粋判断の実例
    008.経験を超越する認識
    009.純粋理性の課題
    010.理性の誤謬
    011.二つの判断の定義
    012.経験的な判断
    013.アプリオリな総合判断の謎
    014.数学的な命題と矛盾律
    015.純粋数学のアプリオリ性
    016.算術の命題が総合的であることの証明
    017.純粋幾何学の総合性
    018.幾何学と総合問題
    019.自然科学とアプリオリな総合問題
    020.形而上学とアプリオリな総合問題
    021.純粋理性の課題
    022.ヒュームと形而上学の不可能性
    023.二つの枢要な問い
    023n.純粋な自然科学の可能性
    024.形而上学の問い
    025.学としての形而上学の可能性
    026.批判と学
    027.学の課題
    028.形而上学の目的とその必要性
    029.純粋理性の批判のための準備学、超越論的な哲学
    030.超越論的な哲学と批判
    031.批判の課題
    032.超越論的な哲学と道徳
    033.超越論的な哲学の区分
    034.直観の力
    035.感覚と現象
    036.現象の素材と形式
    037.経験的な直観と純粋な直観
    038.感性の理論(エステティーク)
    038n.エステティークという語について
    039.感性のアプリオリな形式――空間と時間
    040.外的な感覚と内的な感覚の形式
    041.空間のアプリオリ性
    042.空間の必然性
    043.空間――純粋な直観
    044.概念ではなく直観としての空間
    045.超越論的な解明の定義とその条件
    046.幾何学の実例
    047.主体の外的な感覚の形式としての空間
    048.幾何学の可能性
    049.空間と物自体の特性
    050.感性の主観的な条件としての空間
    051.人間の立場
    052.空間とその他の主観的な像の差異
    053.物自体は認識できない
    054.時間のアプリオリ性
    055.時間の必然性
    056.時間は一つの次元をもつ
    057.感性による直観の純粋な形式としての時間
    058.時間の無限性
    059.変化や運動の概念と時間
    060.時間が主観的な条件でなければならない理由
    061.直線によるアナロジー
    062.現象が成立する条件としての時間
    063.認識の条件と時間
    064.時間の「実在性」と「観念性」
    065.時間の現実性の意味
    065n.時間の規定について
    066.空間と時間の現実性と観念論
    067.空間と時間の絶対的な実在性を主張する人々の誤謬
    068.超越論的な感性に含まれる要素は空間と時間だけである
    069.感覚的な認識の基本特性
    070.空間と時間という条件の要約――物自体の認識の否定
    071.概念と像の違い
    072.ライプニッツ哲学の批判
    073.ロック批判
    074.感性論の役割
    075.アプリオリで必然的な総合命題のための条件
    076.知的直観と自己意識について
    077.現象と仮象の違い
    077n.仮象の発生
    078.神は空間と時間のうちに存在するか
    079.派生的な直観――天使が直観するとき
    080.超越論的な哲学の課題のための第一条件

    序文はすべてを読み終わったあとに読んで欲しいという訳者の言葉通り、序文は未読。
    入門書とセットになっているお得な構成。
    アプリオリな認識、空間と時間の必然性によって、我々は世界を直観することができる。というところがここまでの非常におおまかな認識。次巻も期待。
    続きを読む

    投稿日:2019.07.17

  • Στέφανος

    Στέφανος

    訳:中山元、原書名:KRITIK DER REINEN VERNUNFT(Kant,Immanuel)

    投稿日:2018.12.27

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