【感想】機動戦士ガンダム I

富野由悠季, 美樹本晴彦 / 角川スニーカー文庫
(26件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
4
6
10
2
0
  • 挑戦という名の道標

    初代のガンダムがTV再放送によりブームとなった時期に朝日ソノラマから刊行されたモノの出し直しバージョン。
    (故に当時は放映半ばで安彦氏が倒れてしまった関係もあって、カバー絵はアリモノ版権のシャアの絵に背景を組み合わせただけ、挿絵も作監スタッフによるものになっていた)
    既に人気が定着してからの刊行になるため、こちらのバージョンはカバー・挿絵が美樹本氏、巻頭にキャラ紹介やメカ紹介ページも加わりこちらも豪華スタッフそろい踏みの贅沢な構成になっております。本来見開き構成になっていたページを単ページ扱いで電子化した版元の処理は正直どうかと思いますが。

    リアルタイムで紙の本を何度も読み返していた事もあり、今こうして改めて読み返しても当時の空気感が思い出されます。
    キャラ設定やメカ設定がアニメと違う、ガルマの撃退が超絶アッサリどころか地球降下すらしないじゃないか、そもそも文章の「てにをは」が一部おかしいのはどうなのか、モノローグの主体が切り替わってる所で文節が上手く切れてないのはどうよ、と今の読者にとって色々ツッコミどころは尽きないとは思いますが。
    この当時はこれが挑戦だったのです。
    当時のロボットアニメは完全な商品のプロモーションツールで児童向けがメインであり、スタッフの名前すら(一部アニメファンを除けば)知られる事がなかった状況で。
    それでもロボットアニメを作ってきたからこそ、富野氏はスタッフの作家的評価・地位向上のために色々試みておりました。阿久悠氏に教えを請うた(今に至るまで続いている)主題歌の作詞もそうですし、この小説もその一環と捉える事ができるでしょう。
    ガンダムブームでロボットアニメをSFの一種として捉えるファンに対し、某SF作家が「ガンダムはSFじゃない」と公言して軽く騒動になったのもこの時期です。
    そんな中で、コマーシャルフィルムの枠内で作られたアニメと(富野氏自身が考える)SF小説をなんとか融合させようとした試みの一つが、これだったのではないでしょうか。

    本書終盤でララァは斃れ、ホワイトベースも沈み、ガンダムも廃棄され、アニメ同様に宇宙歴0080を迎えますが、戦争はまだ終わりません。
    そこから先=2巻以降は、本書以上にアニメ本編から離れ、アニメのキャラとメカを借用した別の物語となっていきます。
    アニメ本編で生硬な語り口になってしまったニュータイプ概念を捉え直すには、いいサブテキストになるやもしれません。
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    投稿日:2013.12.05

  • 名作の歴史的プロローグは描写が圧巻でお見事

    家が厳しく、TVを余り観せて貰えなかった豚山田少年が夢中になっていたのがこれ。
    しかし当時は映像で観れない欲求を本で晴らしていた様なものだったので、TVシリーズと異なるストーリーに不満を感じていたものでした。
    ところがTVのストーリーを忘れ去った今、改めて読み直すとその様な違和感は全くなし。
    むしろニュータイプ覚醒という本作の主要なテーマの導入部がすっきりと纏められており理解しやすかったです。
    特にアムロ、シャア、ララアによる覚醒の描写は圧巻の一言。
    作者の作家としての力量も改めて目の当たりにしました。
    やはり名作。
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    投稿日:2014.08.31

  • アニメじゃない

    イラストが美樹本版です。
    アニメ本編とはかけ離れた話になっております。これはこれで良いと思い懐かしく読みました。
    まぁ アニメみたいに大気圏突入したり、大気圏突破したりせずに宇宙だけで話は完結しているし、ガンダムはぶっ壊れるし、
    HBぼ沈むし どうなんでしょう。2巻からは別物です。フラウの扱いがぞんざいです。
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    投稿日:2013.12.17

  • 懐かしいですね~

    当時の映画版はすべて劇場で鑑賞して、このシリーズもリアルで読んでます。富野さんの文は好みはあるのでしょうが、読みやすくて好きですね。本編と違う展開に賛否は分かれると思いますが、完全なパラレルワールドとして読んで欲しいです。もともとは1巻で終わる予定だったものなので、読んで気に入ったら2巻以降も読むという形でいいんじゃないかな。続きを読む

    投稿日:2014.01.08

ブクログレビュー

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  • sakopy

    sakopy

    このレビューはネタバレを含みます

    原作アニメは見たことあるし
    劇場版も見たことあるけど
    小説は初めて
    小説は本の形にして出版するまでには色々な人の手を経るけど
    テキストを書き上げるだけならば一人だけでできるからこそ
    原作の監督が描きあげたテキスト
    アニメとは違う
    展開が待っている
    こっちが本当に描きたかったことなのか
    アニメと小説で
    描きやすいやり方が違うからこういう展開になったのか
    テキストで描きやすいこと
    アニメだから描きやすいこと

    つい先日榊一郎の
    水星の魔女第一話のテキストを読みました
    いろんな描き方があるんですね

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    投稿日:2023.02.28

  • pandora

    pandora

    * 読了直後のメモが出てきたので書き直しました。

    あの最初の「劇場版三部作」から気持ちが一歩も出ていません。文字を読んで、シャアの言葉が、池田秀一の声で聞こえてくるうれしさ。それに尽きると言っても過言ではない。

    アニメで見るのとは別種の楽しさが、当然あります。文字で読む戦闘シーンが、実はリアルでおもしろい。
    アニメなら2秒なんて一瞬です。派手な爆発を、繰り返しいろんな角度から見せたって、それは一瞬。けれど、文章で読むと、そうではない。どんなに細かい生理的な反射があって、どのレバーをどう操作して、一瞬のうちにどれだけのことをなしおおせたのかなんか、アニメでは表現できない。
    メカフリークではないから分からない言葉だらけですが、イメージだけは、濃厚に伝わってくる。

    アニメではニュータイプだの人の革新だの、リアル感を持たせるためのガジェットでしかないけど、本で読むと、そっちにもけっこう力が入ってるなあという感じですね。

    それにしても、どの人物もかっこよく書こう、かっこいいセリフを言わせようとする 作為の目立つ文体であり、物語ですね。 まあ、その辺はあまり深く考えずに、楽しみました。かっこいい人物や行動には、軽薄に惚れたほうが楽しいです。(*^ ^*)

    -*- -*- -*- -*- -*-

    Ⅰ~Ⅲを読み、勢いで、同様に積ん読になってた「逆襲のシャア」も読んだ。
    本としては1999年に「機動戦士ガンダムF91 クロスボーンバンガード」を読んだのが最初。あれ、父と子の物語ですよね。初代のガンダムと基本は同じだと感じました。

    アニメは初代しか見てなくて、(劇場版3作のTV放送と、TV版再放送を切れ切れに)延々続いているTV版には縁がない。
     
    結局、池田秀一だけが好きだったんでしょうね。子役時代の彼が私にとってはアイドルでしたという古い話は置くとしても、数十年後、彼の声をTVで聞いて「池田秀一?」と気が付いたくらい。
    と言いつつ、その後に登場したクワトロ・バジーナは見ていない。機会があれば、「Zガンダム」だけは見たいですね。
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    投稿日:2019.10.22

  • Rocketman3

    Rocketman3

    このレビューはネタバレを含みます

    アニメとは設定でいろいろ違う点があってへえーと思いながら読んだが、なんと行っても展開が早い!1巻ででララァが死んでしまうとは。ジオンのモビルスーツもザクしか出てこず、いきなりエルメス登場か(開発中のリック・ドムという記述あったけど)。
    ニュータイプに関する記述が多いのは小説ならではか。となるとこのあとはそれについてのストーリーとなる?ここまではフムフムという感じだったが、この後の展開に期待。
    美樹本晴彦のイラストがたまらん。この頃の線が大好きなんだよな。

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    投稿日:2019.05.11

  • sky-reader

    sky-reader

    ガンダムの小説版
    アニメとは異なるオリジナルストーリーが展開

    全体の世界観というか流れはは維持されつつ、ニュータイプが登場する。

    アニメを見た人でも楽しめる1冊

    投稿日:2018.10.28

  • takekoubook

    takekoubook

    小説版のファーストガンダム。ガンダムを好きな人がアニメとの違いを楽しむための本だと感じました。所々文章におかしな点があり、上手い表現とは言えないですが、富野さんは小説家ではないので仕方なしという感じですかね。続きを読む

    投稿日:2017.12.22

  • reinou

    reinou

    このレビューはネタバレを含みます

    ネタバレ 朝日ソノラマ版を読んでいるので、軽く流し読み。変更点が少しあるらしいがあまり気が付かなかった。あのクスコ・アル(ZZのキャラ・スーンからエキセントリックさと子供っぽさが抜けた、あるいはUCのマリーダに似たタイプかなぁ)が出てきて初めて富野氏らしい「本物」の作品なので、まだまだ序章の巻。今から見れば、本作は、おそらく、原作というよりも、TV版のストーリーとテーマを、対象年齢層を上げてリビルドしたオリジナル・ノベライズに近い(3巻が1981年刊行で、映画版ファーストも上映後なので)との印象がある。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2017.01.23

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